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おたくの玉ねぎについて/大いなる抵抗(7/24)

私は固く誓った。もう、夜ご飯に玉ねぎは食べない!

もちろんしっかりと歯磨きはしている。朝も夜、あと食後も。(外出時は口を濯いでいるだけだが、どうかあなたに突然接吻などしないのでお許し頂きたい)

なのにどういうことであろう。毎回、夜に玉ねぎを食べると、朝起きた時に口の中が玉ねぎ臭いじゃないか!
舌の雰囲気も何となく玉ねぎ的なひりつきを匂わせ(匂うのは玉ねぎだけにしておくれよ。いや、玉ねぎ、お前も匂ってくるなよ)、口全体が玉ねぎに乗っ取られたに違いない!という疑惑でやり場のない怒り、もとい、もう目に見えなくなっている玉ねぎをサウンドバッグに見立てるようにして、天井に睨みをきかせる。

私の知る限り、最低最悪の寝起きだ。

日本では、あからさまに生玉ねぎを食べた時だけ後悔していた。料理に混ざって火の通っている玉ねぎと寝起きに鉢合わせたことはなかった。生玉ねぎのスライスが大好きな私はしばし欲望と衝突し、その度に丁寧に協議を重ねてきたが、結論から言うと「価値観の不調和につき、離婚に至りました」ということになる。

この日記を見ている玉ねぎ農家の方がいらしたら、精神的にとても辛い想いをさせてしまうかもしれない。これだけは言わせてほしい。味は本当に好きなのだ!
本当は食べたい... 本当は愛している..... 大人の恋愛はビターだ。愛しているから結ばれるとは限らない。多分、シェークスピアとかもそういう感じでやってきたはずだ。

フランスに来てからは、しなしなのヘロヘロになってドロドロのベチャベチャの食べ物に分からない程度に入っている場合を除いて、火の通った料理の玉ねぎすら、翌朝の私の口から一反木綿みたいに、アラジンの魔法のランプから出てくるみたいに現れるようになった。フランスの玉ねぎは、味が違うのか?構造が違うのか?ジーニー元気?

小学生に対して大人気ないことを言ってしまうが、私はちびまる子ちゃんのクラスメイトの永沢くんがあんまり好きではなく、永沢くんも玉ねぎだったな(人の容姿をとやかく言わないようにしているのに、矛盾していてごめん)と、こんな感じで玉ねぎに対する「むかついている!」を主張したいばかりに各方面で巻き込み事故を起こしながら、もう何度同じ朝を迎えたことだろう。(歌詞風)

昨日、みなまで言わずだったが(群衆が私の目の前にいなかったから仕方がないが)、手を抜いて近所の中華料理屋さんのデリ(野菜のチャーハンと、鶏肉と生姜炒め)を買って食べたのだった。

生姜はなんか健康になれる気がするので好きだ。「もう、あなたは風邪もひかない身体になりました」と言われたも同然という無敵感。悪くない。
でも今朝の私はこう思う。料理名に”生姜”を入れる前に”玉ねぎ”って入れとけよな!

これからは、料理のタイトルと玉ねぎには一層プロフェッショナルな警戒心を強めていきたいと思う。

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