夏の風物詩・せロピカルひろこ(7/21)
さて、生活そのものがお洒落な人たちからは何かと涼しい目を半開きにして見られるが、私はLes Halles(レ・アル)という広場とショッピングモールが大好きである。
実際のところLes Hallesに用事があるのは、大型の薬局に行く時、もしくは映画を観る時くらいなのだが、「雑多な人混み」がとても好きなので、私にとってとても居心地が良い。
「雑多な人混み」とは、そこにいる人たちに分かりやすいジャンルやカテゴライズ、ラベリングのない状態、のことを指す。私の勝手な感覚言語なのだけれど、そっくりな人たちばかりがいる、好きなものが似ている人たちが集まっている場所には何故か警戒心が働いてしまって、実はあまり得意ではない。
ある程度の人気商売である自分の職種を考えても、つくづく私個人の性格とは合わないなぁとガッカリする瞬間が未だにあるが仕方がない。誰しも全部は得ることができない。自分の持ち札の中で生きていくしかないのだから。
そんなわけで、とにかく(一部の大金持ちを除く)あらゆる人種、社会的地位、観光客に地元民などが入り混じっているところがLes Hallesのイケているところだ。こういう場所にいる時、兎に角自分という存在が薄まって、まるで透明になったかのようで心地よく、気分が良い。期待されることの悲劇は多くの人が一度は感じたことのある感覚ではないかと思う。
さて、今日は、そんなLes Hallesからそう遠くないBHVという何でも百貨店みたいなお店にまず足を運んだ。
プランタン、ラファイエット、ボンマルシェ、サマリテーヌ... パリには有名な百貨店が幾つもあるが、これらは名前を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
百貨店群の中で私のイチオシは断然BHVだ。
ついでにすぐ目の前のパリ市役所前広場もお気に入りスポットのひとつ。(只今オリンピック前で訳のわからないパラダイス感を醸し出す謎イベントが連日入っているようだが)
そのBHVとLes Hallesの間くらいに位置するLeroy Merlinがまた良い。ここはイメージ的にニトリとかの感じだろうか。ニトリとIKEAの間くらいだろうか。
とにかく百貨店に行くならばここへ行きたい感じで、会員にもなっている(カード発行型じゃないところがパリのいいところで、電話番号か名前をレジで伝えたら済む。ポイ活?とかしている人にとっては可視化が難しいので好かれないかも?)
Leroy Merlinで土やポットを買う。家庭菜園デビュー用のアイテムたちだ。こういうところに来ると、やれ掃除用具だ、洗濯籠だが欲しくなってくる。これまで徹底してミニマリストで生きていた癖で、欲しいと思ってもすぐに「いやいや、あなたは飽きますから、辞めておきなさい」と買い渋るのだが、実は逆ってことはないだろうか?と生まれて初めて考えている。
そうやっていつまで経っても愛着を生まない家に住むからすぐに引越しをしてしまうし、すぐに飽きてしまうし、飽きたらなんの躊躇もなく切り捨ててきたのではなかろうか。
それなりの年月をこうして生きているから、そんなすぐに生活の癖は変えられないもの。生命の危機に遭遇するわけでもないし、やってみてもいいかなって思うことはやったらいいのだ。最近は前よりもそう思っている。パリマジックのひとつかもしれない。
そういや、BHVのセールが終盤を迎えて続々と半額になっているので、いくつか夏の服とか靴を購入した。この数週間でみるみるうちに焼け焦げて、小学時代ぶりくらいに日焼けしてしまって、日本から持ってきた服が兎に角似合わない。
オレンジは讀賣ジャイアンツの色だからとずっと避けてきたのだが、日焼けした肌にオレンジやら緑やらがとてもフィットしてしまうではないか。
「野球は関係ないから。あくまでこれは、夏を可愛く過ごすためだから。ビタミンカラーだし?皆んな元気になるし?」言い訳をたんまりしながら、オレンジのショートパンツを購入した。こういう自分への言い訳が多いところも少しずつ減らしていきたいところ。いや、しかし讀賣カラーに関してはやはり慎重にいきたいところだ。(なんやねん)
ミニマリストと言いながら柄の多い派手な服が好きな気質もあるため、夏はどうしても一人トロピカルを繰り広げがちだ。バカンスには興味がないくせに、バカンスになるのはやぶさかでもない模様。
せロピカルひろこ、と呼ばれる日も近いか。