【医師×レバレッジETF】番外編②とあるツイートに反論。
先日、SPXLについて、こんなツイートが流れてきました。
SPXLを積み立てるのは戦略的にどうなのか?今日はこれについて考えていきましょう。
— たりたり🦉機関投資家企業分析 (@taritariblog) June 22, 2021
多くの人がやっているSP500積み立ての前提は
『暴落は発生するし、そのタイミングは予測不可能。でも長期的には右肩上がりに株価は上がる』
暴落が来ない前提なら積み立てるのではなく、一括投資が効率的ですから
聞いたところによると、どなたかがSPXLの積み立てについて、Twitter上で配信を行なっていたようで、それを受けてのツイートのようです。
私はその配信について、いつ、誰が、どんな内容を語ったのか全く存じ上げないので、今回そちらには触れません。
今回、お伝えしたいのは、
インフルエンサーだからといって、正しいことを言うわけではない。
「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」ということを冷静に考えて、変な意見に惑わされないようにしましょう
ということです。
この「たりたり」さんという方は、元アナリストで、書籍も販売しており、現在5万フォロワーを超えるインフルエンサーです。
今回のツイートも当然大きな反響を得ています。
しかし、その内容はツッコミどころ満載でしたので、上記のことを伝えるための、とても良いサンプルとして活用させていただきます。
ほとんどの内容は、このnote内で確認できますが、全文ではないので、気になる方は元ツイートも参照して下さいね。
①
多くの人がやっているSP500積み立ての前提は
『暴落は発生するし、そのタイミングは予測不可能。でも長期的には右肩上がりに株価は上がる』
暴落が来ない前提なら積み立てるのではなく、一括投資が効率的ですから
→前半はその通りですが、後半は誤りです。
暴落の有無に関わらず、右肩上がりであれば、常に一括投資が効率的です。
この勘違いは割と多く見られますが、積立投資がプラスに働くための絶対条件は、
「現在の株価を下回るタイミングが未来にある」ことです。
「いつか暴落が起こる」のは確実ですが、「暴落時の底が現在の株価を下回る」かどうかは分かりません。
そこまで分かるのであれば、その底の時点で一括投資するのが最も効率的です。
「暴落は来るもの」→「積立投資が良い」というのはよくある間違いですので気をつけましょう。
②
3倍レバレッジをかけてる状態でコロナショックなどあればすべて強制償還されますし、そうでなくても回復が出来ない状態にまで価値が下落します。
→これはもう何から何まで嘘です。
SPXLもTQQQもコロナショックを経験しましたが、全く償還されていませんし、どちらも現在、史上最高値を更新中です。
好意的に文意を汲み取ってあげると、恐らくコロナショックではなく、「リーマンショック」や「ITバブル崩壊」などと言いたかったのでしょうか。
そう読み替えると、嘘は一部になります。
まず強制償還については、誰にも予測できないという以外にありません。
コロナショック程度では問題ないということは確認されましたが、それ以上の暴落の際にどうなるかは分かりません。
SPXLは3倍レバレッジの中では、最もよく分散されたETFですので、常識的に考えれば、償還のリスクも最も低いと言えますが、断定はできませんし、償還のリスクは、レバレッジETFが存続する限り、永遠に解決されない問題です。
つまり「全て償還される」というのは明確に間違いです。
「回復できない」というのは、そのETFによりますが、このツイートのテーマは「SPXLの積立」ですので、「SPXLが回復できない」という意味であれば嘘です。
金利やその他コストまで考慮したシミュレーションでは、1934年1月2日に0.000609ドルだったSPXLは、ブラックマンデーを超え、ITバブル崩壊を超え、リーマンショックを超え、コロナショックを超え、現在100ドル以上の値をつけています。
一体いつ、回復不可能になったのか聞いてみたいものです。
③
レバレッジETFというのは簡単に言うと借金をして運用しているので、下落するたびにどんどん元本が削られます(詳しい記載は割愛)
→これも表現が分かりにくいですね。下落した時に元本が削られるのは当たり前ですし、全ての投資に当てはまります。
前半からの文脈を考えると、恐らく下落時に自動的に売却が起こるというレバレッジETFの特性について言いたいのでしょうか。
しかしそれは下落時には有利に働く特性ですので、これを欠点のように表現しているのはよく分かりません。
全体的に理解困難な文章です。
④
そのため、レバレッジETFを運用する最大のポイントは『ショックを回避する運用ができる事』なのです。
つまりレバレッジETFは短期・中期で株価が好調持続する!といった読みがある場合に取れる戦略なのです。
→ツイートの最初の方で、「暴落のタイミングは予測不可能」と言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに「読みでショックを回避しよう!」と来ました。
もう説明不要ですね。
⑤
そのような特徴を持つ金融商品(SPXL)を、最大の天敵であるショックを織り込んだ運用方法である長期積立で保有するというのは非常に非効率だと言わざるを得ません。
→ここまでの前提と理論の組み立てが破綻しているため、結論も支離滅裂です。
SPXLは過去の全てのショックを乗り越えていますので、ショックを織り込んだとしても何の問題もありません。
このように、過去の数字を一切検証することなく、「SPXLって暴落が来たら終わりなんだろうな」という感想のみで突き進むと、結論ありきのこういった文章ができあがります。
しかし、これらは一見もっともらしい文章で構成されているため、何の知識もなければ、正しいことを言っているように見えてしまいますし、その発信者が有名なインフルエンサーであれば尚更です。
インフルエンサーというのは、必ずしも「常に正しい情報を発信する人」ではありません。
インフルエンサーに共通する唯一の特徴は、「人を惹きつけていること」であり、それ以外の共通点はありません。
レバレッジETFというのは、主にこういった人達からの否定的な意見が多く見られますが、
本当に取り入れる価値がある意見なのか、
それを判断できる力が持てれば素晴らしいことだと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。