【医師×レバレッジETF】基礎編④タイミング投資は有効か?
Twitterで以下のような質問を受けました。
レバレッジ金利4%戦略ですが、種銭はタイミング見ずに投資した方がいいのか(積立投資)、年に一回は起きる大きな下げを狙って投下がいいのか(タイミング投資)どちらが統計確立的に見て良いでしょうか?
株価が長期的に右肩上がりであることを前提とすれば、
タイミングを測るより、
可能な限り早く投資するというのが最も良い
というのは直感的に感じることなのですが、
それをデータとして示したものは
見たことがありません。
また、通常のインデックスよりも
振れ幅の大きいレバレッジETFでは、
暴落時を狙って投資額を増やせば、
リターンが大きく改善するようにも思えます。
タイミング投資は、設定の仕方によって
様々なやり方があると思われますので、
今回は第一弾として、
最もシンプルな条件を設定してみます。
この記事では、SPXLを対象として
一括投資vsタイミング投資
について検証しています。
1.比較方法
1954年7月1日から2020年7月1日までの
SPXLの擬似データを使用します。
まず起点となる日を設定し、
その起点日の株価と、
その日から1年後までの株価の最低値を比較します。
つまり、
「投資をしようと思い立った日」が最低値なのか、
1年間待つことで、さらに低い値が現れるのか
という検証になります。
検証可能な日は、全部で16362日ありました。
それでは結果です。
起点日が最低値だった日=1088日(6.65%)
個人的には、起点日に一括投資するのが良いと思っていたので、
かなり低い確率だと感じました。
例えば、現時点で100万円の余剰資金があり、
SPXLに投資したいと思った場合、
その日に投資するよりも、1年待てば、いつかのタイミングで、
さらに低い株価で買い付けることができる確率が
およそ93.35%ということになります。
もちろん、起点日の次の日に株価が少しでも下がれば、
タイミング投資の勝ちという条件ですから、
比較の仕方に問題があるかもしれません。
2.どこまで下がる?
1年間待つとして、どの程度まで低下することが
期待できるのでしょうか?
起点日の株価と、最小値の株価の比率を
計算してみました。
起点日より低下するといっても、実際にはわずかな低下に終わる確率が
高いことが分かります。
タイミング投資を行うとしても、
どの程度低下したら投資するか
ということは事前に決めておく必要があります。
起点日よりも5%下がれば満足、という気持ちなら
タイミング投資による勝率はそれなりに高いと言えますが、
その場合は5%低下した時点で、
ただちに投資を行う必要があります。
その目標値を下げれば下げるほど、
実現率も低くなるということですね。
それぞれの実現率も出してみましょう。
この実現率は、起点日の株価が最低だった場合も含んでいますので、
下落率が0%の確率は93.35%です。
5%以上下落する確率が79.21%
10%以上下落する確率が66.20%
という意味になります。
例えば、
「現在の株価から-15%の値になったら、投資する」
と決めていれば、54%の確率で実現するわけですから、
それほど悪くない賭けかもしれません。
ただし、実現しなかった場合は、
どの時点で諦めて投資するかが難しくなりますし、
起点日よりも株価が高くなっている可能性もありますから、
こういった戦略をとることで、期待値として
取得単価が下がるとは言えません。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人的には、
タイミング投資によって取得単価が低下する確率は
思ったよりずいぶん高いと思いました。
ただ、この戦略を考える時には、
設定した株価まで下落しなかった場合にどうするか
ということを厳密に決めておく必要がありますし、
どんなに上手くいったとしても、
取得単価はせいぜい10~15%下げられるかどうか
といったところなので、
それほど大きな意味はない
とも感じます。
SPXLの年率期待リターンはおよそ12%ですから、
1年間運用期間を延ばして、
最後に12%のリターンを上乗せできれば、
平均取得単価を10%程度削減した場合と
最終的なリターンはほぼ同じになります。
取得単価にこだわりを持っていたり、
タイミングを読むことが好きと言えるような方は、
タイミング投資にチャレンジしても良いかもしれません。
ただし、これを労力に感じたり、取得単価が上がってしまったときにストレスを感じてしまうようなら、
基本的にはやる価値はないと思います。
長期的なリターンを押し上げるような効果は
ほとんど期待できませんし、
手間に見合うだけの効果はありません。
次回は、積み立て投資やドルコスト平均法などについて
検証してみます。
最後までお読みいただきありがとうございました。