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【医師×SPXL】実践編⑤暴落を分析する。
今回は久々の実践編として、
過去のSPXLのシミュレーションから、
暴落時のドローダウンについて分析したいと思います。
米国株が絶好調の昨今において、SPXLは驚異的なペースで上昇していますが、
一方で「バブルだ」とか「暴落が近い」という予測も散見されます。
個人的にはこういった予測にはほとんど意味がないと思っていますが、
長期投資を行う上で、暴落は避けられないイベントですので、
パニックにならないためにも、暴落時のシミュレーションをしておくことはとても重要です。
1.SPXLの長期成績
まずは1954年7月1日から2020年7月1日までの
SPXLの株価の推移を、対数グラフで見てみます。
グラフを見てみると、やはり2000年、2008年頃に大きな下落を迎えているのが分かります。
これはもちろん、「ITバブル崩壊」と「リーマンショック」ですね。
この時にSPXLはどのような動きをしていたのか、
詳しく見ていきましょう。
2.株価のシミュレーション
まずITバブル崩壊について見てみます。
ITバブルは、2000年3月23日にピークを迎え、
この日のSPXLは53.38ドルをつけていました。
しかし、この日を境にハイテク銘柄を中心とした暴落が起こります。
SPXLは2002年10月9日に4.09ドルとなり、
結果的に底を打ちます。
およそ2年半かけて、−92.3%下落したことになります。
※ちなみに、TQQQの下落率はSPXLの比ではありません。
その後、株価は少しずつ持ち直し、
2007年7月19日には22.67ドルまで回復します。
底から見れば、およそ4年9ヶ月で5.5倍になったとも言えます。
しかし、この日から再びリーマンショックという暴落を迎え、2009年3月9日に0.99ドルまで下落します。
この時は、およそ1年半で−95.7%の下落を記録したことになります。
2つの暴落を合わせて考えると、
2000年3月23日に53.38ドルだったSPXLが、
2009年3月9日に0.99ドルになりましたので、
およそ9年間で−98.2%のドローダウンが起こったと見ることもできます。
3.途中で売り抜ける?
ここまで、2000年代の2回の大きな暴落を受けた時に、SPXLがどうなるかというシミュレーションを見てきました。
暴落の話をすると、必ず
「黙って見ているのではなく、途中で売れば良い」
と言う人が出てきます。
もちろん途中で売るのは自由なのですが、
それによって損失を軽減できると考えるのは、
あまりに楽観的です。
未来から見れば、いつがピークだとか底だとか言うことはできますが、
実際には、暴落がいつ来るか分からないのと同様に、
暴落がいつ終わるのかも分かりません。
「今売った方が損失が減るのか」、
「ホールドしていた方が損失が減るのか」、
その時には分からないはずです。
そもそも暴落が予想できず、売買のタイミングを逃したから損失を被っているのに、
「今から売れば損失を減らせる」と思っている時点で、既にパニックなのです。
ちなみに、ITバブル崩壊の底で売り、リーマンショック直前に同額を買い直したとすると、
その間の回復期を完全に逃すことになりますので、
損失は−99.7%に拡大します。
更に言えば、長期投資を前提とするなら、
「下落時に売る」という行動はあり得ません。
長期投資において正当化される売買は、
リバランスのみですから、
下落時にできることは、
「買い」もしくは「ホールド」のみです。
4.暴落の本当の怖さ
さて、ホールドし続けるということは、
仮に暴落前に1000万円のSPXLを持っていたとすると、
9年かけて1000万円が18万円に減っていくのを見守るということです。
この損失額ももちろん恐ろしいのですが、
本当に怖いのは9年という期間ではないかと
私は思います。
例えば35歳からSPXLへの投資を始め、
65歳までの30年間を投資期間として見込んでいるとします。
10年間かけてコツコツと積立を行い、
SPXLの上昇にも乗って、
45歳で評価額が1000万円になりました。
そこで暴落が始まると、
みるみる評価額が減り、
54歳時点で18万円になっているということです。
45歳から投資を始めていた場合は更に悲惨です。
55歳時点で評価額が1000万円になったとしても、64歳時点で18万円になってしまうのですから。
通常、人生において投資ができる期間というのはそう長くありません。
30代から始めたとしても、
定年まではせいぜい30年ほどですし、
残り20年を切っているという方もかなり多いと思います。
その期間で結果を出さなければいけないのに、
9年かけて−98.2%下落していくのを見守る
ということは普通はできません。
それができるのは、
このような暴落が起こっても、
SPXLが必ず回復すると知っている人だけです。
次回は投資期間がこの9年間を含んだ時、
実際のリターンがどれほどのものになるのか、
検証します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。