【医師×SPXL】実践編②超長期データを分析する。
前回の記事では、1954年7月からの長期データを元に、
SPXLの長期リターンの検証を行いました。
あの後、レバレッジETFを中心にブログを執筆されている
okometsubu様から情報提供いただき、
米国3か月債利回りの1934年1月からのデータを入手しましたので、
さらに長期の分析が可能になりました。
okometsubu様のブログはこちら
前回の記事の検証期間を、そのまま延長して
更新することも考えたのですが、
1930年代ともなると、S&P500自体が
今では考えられないようなリスクを
持っていた時代でした。
投資環境や経済も、今とは大きく異なることから
その時代のデータを加えることで、
かえって今後のリターン予測の精度が
落ちてしまう可能性もあります。
そのため、前回記事や、今後の検証においても、
当noteでは、1954年7月からのデータを使用することとします。
今回は、参考までに1934年から現在までの
超長期データの分析結果をお示しします。
1.1934年からの超長期リターン
1934年1月1日から2020年7月1日の86年間の株価を解析します。
まずは前回と同様に、仮想インデックスの成績を見てみましょう。
全期間リターン 2183.5倍
年率リターン 9.3%
1954年からのデータの検証では、年率リターンは9.1%でしたから、
大きな変化はありません。
次にSPXLの長期的なリターンを見てみます。
全期間リターン 70184.4倍
年率リターン 13.8%
86年間ともなると、全期間リターンがすごい数字になりますね。
こちらは、前回検証の年率リターンが12.2%でしたから、
かなりリターンが上昇しました。
それでは次に、1年ごとのリターンを詳しく見てみましょう。
2.1年リターン
ここでは、1年間のリターンとして、
1934年1月1日~1935年1月1日
1934年1月2日~1935年1月2日
と、1日ずつ運用期間をずらすことによって
1年間の運用で得られる結果を分析しています。
分析できる日数は、全部で21487日ありました。
まず、仮想インデックスの1年リターンの分布を見てみます。
幾何平均 9.3%
標準偏差 17.7%
最大リターン +90.2%
最小リターン -50.2%
正規分布である点は前回と変わりません。
リターンがわずかに上昇した代わりに、
リスク(標準偏差)もやや増えています。
最大リターンと、最小リターンも更新される結果になりました。
今回のデータからは、仮想インデックスの1年間のリターンは、
68%の確率で、−8.4%から27.0%の間に、
95%の確率で、−26.1%から44.7%の間に収まる
ということが言えます。
それでは、SPXLの1年リターン分布です。
幾何平均 13.8%
標準偏差 62.0%
最大リターン 543.8%
最小リターン -92.2%(2009年3月6日)
SPXLのリスク(標準偏差)は、前回でも凄まじく高かったのですが、
今回のデータでは、より高くなっています。
1年で50%暴落するくらいは当然、というグラフです。
データが、中央にピークを持つ正規分布でないことと、
標準偏差があまりに大きすぎることから、
先程と同じ計算で、リターンの確率を論じることはできませんが、
データの数から推計すると、
95%の確率で、おおよそー70%から+150%といったところでしょうか。
3.年次リターン
ここでは年次ごとにリターンを計測するため、
1934年から2019年までのデータを
検証に用います。
年次リターンで比較すると、
1934年から2019年までの86年間のうち、
仮想インデックスが勝った年は32年、
SPXLが勝った年は54年
という結果になりました。
4.まとめ
今回は、参考データとして、1934年からの超長期データを
お示ししました。
全体の印象としては、1934年から1954年のデータを
新たに組み込むことによって、
インデックスは大きく変化しないが、
SPXLのリターンはかなり上昇する
ということが分かりました。
理由として、
1934年から1954年の期間のほとんどは、
金利が1%未満の低金利時代だったことが考えられます。
レバレッジETFの運用コストが低く抑えられながら、
高いリスクとリターンを実現していた時代と言えます。
このあたりに、レバレッジETFの攻略のカギがありそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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