【医師×レバレッジETF】基礎編⑥積立投資は有効か?その2

前回の記事で、SPXLとS&P500にそれぞれ30年間積立投資をした結果をシミュレーションしました。


方法として、
積立投資の合計額を初期に一括投資した場合の
最終的なリターンを計算しました。

SPXLでもS&P500でも、
一括投資の最終的なリターンが、
積立投資の2.6倍程度となったため、
レバレッジETFにおいても積立投資でのリターンの改善は見込めない
と結論しました。

今回は同様のデータを用いつつ、
その比較において「修正ディーツ法」
使ってみます。

1.修正ディーツ法

初めて聞く方も多いかもしれませんが、
修正ディーツ法は、年初来リターンなどを計算する際に使われる方法です。

例えば、1月1日に10万円を投資し、
12月31日に15万円になっていた場合、
1年間のリターンは+50%と、
直感的に計算できます。

それでは、7月1日に10万円を投資し、
12月31日に15万円になっていた場合、
1年間のリターンはいくつでしょうか?

後者の場合も、10万円を投資し、
15万円に増えたという点では同じですが、
短期間で同じ利益を上げているため、
より難易度が高そうということは分かります。

このリターンを測定する方法が修正ディーツ法です。

修正ディーツ法では、
投資額=金額×時間
という概念を用います。

前者の投資額は、10万円を1年間投資しているため、投資額は10万円ですが、
後者は、10万円を半年間(1/2年間)投資しているため、
投資額=10万円×1/2=5万円
と考えます。

つまり後者のリターンは、
5万円投資し、5万円の利益を出しているため、
+100%となります。

この方法を用いると、
投資期間の短さによる投資額の少なさを平準化できるため、
積立投資の真の有効性を測定できるのではないでしょうか。

2.S&P500における積立投資と一括投資

毎月300ドルを30年間積み立てた場合、
最終的な投資額は108000ドルになりますが、
修正ディーツ法を用いると、
投資額の合計は54150ドルになります。

積立投資のリターンを、
この投資額を元に計算し直すと、
以下のようになりました。

中央値 11.19倍

前回の検証と比較して、
リターンは大きく改善しました。

一括投資のリターンは、
前回と同様の14.41倍ですので、
その差は1.29倍に縮まりました。

3.SPXLにおける積立投資と一括投資

それでは同じようにSPXLの積立投資も検証します。

投資額を54150ドルとしてリターンを
計算し直しました。

中央値 13.32倍

一括投資のリターンは17.34倍であったため、
その差は1.30倍でした。

4.積立投資の勝利はあり得るか?

こちらも前回の記事で検証した内容ですので、
同じように比較してみます。

ただし今回の条件では、投資額を平準化しているため、最初から積立投資に不利な条件ではありません。

比較した431個の期間のうち、
S&P500の積立投資のリターンが一括投資を上回った期間は、35個(8.1%)でした。

同様にSPXLにおいては、431個のうち、
156個(36.2%)が一括投資を上回っていました。

前回と比較すると、勝利する回数は増えていますが、
リターンの中央値で負け、かつ勝利する期間が50%以下では、
積立投資の完敗といえます。

4.標準偏差

最後に興味深いデータをお示しします。

修正ディーツ法を用いたリターンについて、
それぞれの標準偏差(結果のばらつき)を
計算しました。

数字が大きいほど、ばらつきが大きいことを示します。

S&P500の積立投資 5.01
S&P500の一括投資 5.65

一括投資の方がばらつきが大きくなっていることが分かります。

それではSPXLも見てみます。

SPXLの積立投資 32.50
SPXLの一括投資 25.23

S&P500に比較して、ばらつきが大きいのは当然ですが、
何と積立投資の方がよりばらつきが大きくなりました。

積立投資は、
買付価格の平均化によってリスクを低下させる
というのが常識だと思っていたため、
これは面白い結果です。

もちろんこれは修正ディーツ法のリターンから計算した結果であり、
前回の記事のように単純な金額ベースでリターンを計算した場合には、
いずれも積立投資の方が標準偏差は低いという結果でした。

5.まとめ

今回は修正ディーツ法を用いることで、
投資額を平準化し、対等な条件で
積立投資と一括投資を比較しました。

前回と比較して、一括投資とのリターン差は
かなり縮まりましたが、
やはり長期的に右肩上がりの株式市場において、
積立投資では平均取得価格が引き上げられ、
最終的なリターンは低下することが分かりました。

その傾向はレバレッジETFでも変わらず、
期待値としては同程度にリターン低下をもたらします。

そして、興味深いことに、
レバレッジETFでの積立投資はリスクを高める可能性もあることが分かりました。

その原因は、私の頭ではよく分かりませんし、
この傾向が普遍的なものではなく、
今回のデータで偶然起こっただけの可能性もあります。
また、修正ディーツ法を用いなければ、
金額ベースでのリスクを低下させる効果はありますから、
現実的にはあまり気にする必要はないかもしれません。

ここまでの2記事の検証を元にして、
次回は積立投資の考え方について書いてみようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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