藝祭2018:すべての表現が祝福される場所
親しい友人から,「藝祭の後夜祭のサンバに行かないと夏を終えられないから絶対に行こう」と言われて,日曜に藝祭(東京藝術大学の大学祭)に行ってきました。
サンバ?? とよく分からないながらも面白そうだと思って行ったんですが,結論から言うとめっっっっっっっちゃくちゃ楽しかったですサンバ。
サンバ最高!!!フゥーー!!!ビバサンバ!!!!!
くらいの楽しさだった。分かりづらい。
もちろんサンバだけが楽しいわけではなかったのですが。
キャンパスの中に入ると様々な出店が食べ物やお酒を売り,学部棟には学部1年生から修士生まで様々な学生が制作した絵や映像作品,デザイン作品や体感できるタイプのアートまでが展示されていました。
そして出店の集まる中央広場には特設ステージがセットされていて,学生たちが次々と出てきてライブをしている,という感じ。
驚いたのは,学生たちがそこらへんでも各々好きなように演奏している,ということ。
あっちからケルト音楽が流れてきたかと思えばこっちでは弦楽二重奏が聞こえてくるし,向こうでは爆発的な音圧でビッグバンドが演奏を繰り広げる。
そして一番よかったなあ,と思ったのが,学生の人たちが一人残らず心から楽しそう,という様子が見られたことでした。
一つひとつの作品や曲に対して自分はちゃんとした評価をつけられるわけではないし,「すごい!」「これ好き!」「あーーーいい!!」とか,そういう言葉にならない感想しか持つことができなくて自分の言語能力の低さを呪い続けていました。
けれど藝大の生徒のみなさんは,外からの評価は一旦置いておいて,「自分の表現したいものを,全力で表現しきる」ということをこの学校祭でしているんだろうな,ということはすごく理解できました。
外野から余計な茶々を入れられることなく,さまざまな形で表現をつくる仲間と競い合うように,あるいは協力して,自分ができる最大限の表現をする。
そうやって出来上がった作品や音楽は,「どうだ!」と言わんばかりの自信と迫力にあふれていて,見ているだけで,聴いているだけで爆発し続けるエネルギーを全身に浴びているような感覚になりました。
作品のそばに置かれたノートには感想が何ページにも渡ってあふれ,ライブパフォーマンスには万雷の拍手が鳴り響き,ビッグバンドのソロパート奏者には観客から,他の演奏者から最大級の賛辞が贈られる。
そうやって,すべての表現に惜しみなく祝福が与えられるこの場所は,本当に貴重な聖域なのだなあ,と感動していました。
ちなみに藝大後夜祭のサンバは毎年恒例のイベントのようで,開始前から異様なほどの盛り上がりを見せていてちょっと怖いくらいでした。
ただ,ステージ上にサンバ部の部員が出てきてひとたび演奏を始めると,耳をつんざくような轟音が。
サンバってなんかリオのカーニバルのイメージしかなくて,陽気なミュージックに合わせてお姉さんたちが「ビバサンバ!」とか言って踊るイメージだったんですが,甘かった。
もう半分暴動でした。もちろんいい意味で。
大小様々な大きさのドラムから発される,一糸乱れぬリズムの波。
打楽器しかないはずなのになぜか伝わってくる,原始的なメロディ。
そしてそのリズムに合わせて踊り狂う人たち。
男子も女子もおっさんも,外国人も日本人も関係なくステージに殺到しては押し戻され,ステージの上に上がっては降ろされ,そこかしこではペットボトルから水が飛び交う。
しまいにはステージからバケツで水をぶっかけられる始末。
人にまみれてぐっちゃぐちゃになりながら,太鼓の音に合わせて魂を燃やすこの踊り。こりゃハマる人がたくさん出るわけだ,と納得しました。
心残すことなくサンバで踊り倒したので,わたしの夏は強制終了されました。
今年の夏は間違いなく人生史上最後の夏でした。
幸運なことに毎年,人生史上最高の夏を過ごせているわけですが。笑
毎年毎年楽しいことが加速度的に増えていくので,歳をとるのも悪くないな,と思っています。
来年はもっと楽しい夏が来るんだろうな。わくわくしちゃうな。