第2回 学校開放条例の根拠について
こんにちは。
第1回、フォロワーさんがほとんどいない割にまあなんとかなったので、慣らし運転で第2回と行きたいと思います。
第1回は学校の設置根拠だったので、今回は学校開放について書いてみます。
さて、学校の定義はというと、学校教育法では、
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第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
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となっています。そして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法、地方教育行政法と略することが多いです。総則的な法律でこの長い名前は何とかならないでしょうか。)では、
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(教育機関の設置)
第三十条 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる。
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とあるとおり、「教育機関」です(当たり前)。
さて、放課後や土日に学校をサークル活動や少年団などで使う、いわゆる「学校開放」ですが、本来は学校施設の目的ではありません。社会教育施設や社会体育施設(スポーツ施設)の担う役割です。
ただ、施設の供給量からも、効率的な利用という点からも、そうもいっていられないので、学校教育法では次のような規定があります。
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第百三十七条 学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。
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「社会教育に関する施設を附置し」というのは、学校図書室と公立図書館の併置などの例があります(これについては日を改めて書けたらいいなと思っています)。
「その他公共のため」というのは、よくあるパターンとして、学校の施設を選挙の投票所として使っている例がありますね。
かたや、社会教育法やスポーツ基本法には、このような規定があります。
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社会教育法
(適用範囲)
第四十三条 社会教育のためにする国立学校(学校教育法第一条に規定する学校(以下この条において「第一条学校」という。)及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園(以下「幼保連携型認定こども園」という。)であつて国(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人(次条第二項において「国立大学法人」という。)及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。)が設置するものをいう。以下同じ。)又は公立学校(第一条学校及び幼保連携型認定こども園であつて地方公共団体(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人(次条第二項及び第四十八条第一項において「公立大学法人」という。)を含む。)が設置するものをいう。以下同じ。)の施設の利用に関しては、この章の定めるところによる。
(学校施設の利用)
第四十四条 学校(国立学校又は公立学校をいう。以下この章において同じ。)の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。
2 前項において「学校の管理機関」とは、国立学校にあつては設置者である国立大学法人の学長若しくは理事長又は独立行政法人国立高等専門学校機構の理事長、公立学校のうち、大学及び幼保連携型認定こども園にあつては設置者である地方公共団体の長又は公立大学法人の理事長、大学及び幼保連携型認定こども園以外の公立学校にあつては設置者である地方公共団体に設置されている教育委員会又は公立大学法人の理事長をいう。
(学校施設利用の許可)
第四十五条 社会教育のために学校の施設を利用しようとする者は、当該学校の管理機関の許可を受けなければならない。
2 前項の規定により、学校の管理機関が学校施設の利用を許可しようとするときは、あらかじめ、学校の長の意見を聞かなければならない。
第四十六条 国又は地方公共団体が社会教育のために、学校の施設を利用しようとするときは、前条の規定にかかわらず、当該学校の管理機関と協議するものとする。
第四十七条 第四十五条の規定による学校施設の利用が一時的である場合には、学校の管理機関は、同条第一項の許可に関する権限を学校の長に委任することができる。
2 前項の権限の委任その他学校施設の利用に関し必要な事項は、学校の管理機関が定める。
スポーツ基本法
(学校施設の利用)
第十三条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二条第二項に規定する国立学校及び公立学校並びに国(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人を含む。)及び地方公共団体(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人を含む。)が設置する幼保連携型認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。)の設置者は、その設置する学校の教育に支障のない限り、当該学校のスポーツ施設を一般のスポーツのための利用に供するよう努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、前項の利用を容易にさせるため、又はその利用上の利便性の向上を図るため、当該学校のスポーツ施設の改修、照明施設の設置その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
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いずれも「支障の(が)ない(と認める)限り」となっているところが肝で、学校開放のために本来の学校の目的を阻害することはできないということになります。
さて、ここまでは法律の話でしたが、それでは条例ではどのように規定されているでしょうか。
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佐伯市立学校施設の開放に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、本市において社会教育、生涯学習及び社会体育の普及並びに幼児及び児童・生徒の身近な学校外活動の場の確保を図るため、学校施設を学校教育に支障のない範囲で開放し、幼児及び児童・生徒その他一般住民の利用に供すること(以下「学校施設の開放」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
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これは全く法律を引用していないパターンです(規定ぶりについてはさておきます)。「学校教育に支障のない範囲」については書いてあります。
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豊田市立学校施設開放条例
(趣旨)
第1条 この条例は、学校教育法(昭和22年法律第26号)第137条の規定に基づき、豊田市における社会教育の振興を図るため、豊田市立の小学校、中学校及び特別支援学校の施設を市民の利用に供することに関し、必要な事項を定めるものとする。
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これは、学校教育法側だけの規定を引用している例です。使えるのは体育館と校庭とテニスコートですが。
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北上市立学校施設の開放条例
(目的)
第1条 この条例は、スポーツ基本法(平成23年法律第78号)第13条の規定に基づき、スポーツ・レクリエーションの活動の場として、北上市立学校条例(平成3年北上市条例第70号)に定める北上市立小学校及び中学校の施設(以下「学校施設」という。)を市民に開放することを目的とする。
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これは、スポーツ基本法のみを引用している例です。ここでも、屋外運動場と体育館のみの開放となっていますが、スポーツではないことをする場合は第1条に「スポーツ・レクリエーションの活動の場として」となっているので、本来は使用できないと思われますが、実際はどうかはわかりません。
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湖南市立学校施設開放条例
(趣旨)
第1条 この条例は、社会教育法(昭和24年法律第207号)第44条及びスポーツ基本法(平成23年法律第78号)第13条の規定に基づき、社会体育及び社会教育の普及のために学校施設を、学校教育に支障のない範囲で市民に提供すること(以下「学校開放」という。)に関して必要な事項を定めるものとする。
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これは、社会教育法とスポーツ基本法の「攻め」(おいおい)を両方引用している例です。
(あれ、なんで法律の規定とそのあとの順番が逆なんだろう)
最後に、攻めと受け(だからやめなさいって)を両方引用している例です。
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上田市立学校施設の開放に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、学校教育法(昭和22年法律第26号)第137条、社会教育法(昭和24年法律第207号)第44条第1項及びスポーツ基本法(平成23年法律第78号)第13条の規定により、上田市における生涯学習の振興、一般スポーツの推進その他公共の目的で、上田市立小・中学校の施設(以下「学校施設」という。)を学校教育に支障のない範囲で市民の利用に供すること(以下「学校施設の開放」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
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でも、この条例、引用しているところ以外ですごくもやもやすることがあります。どこかわかりますか?
興味を持っていただける人がいればまだ続けようと思います。