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【剣】第25話~第26話


第25話

アンデッドの手に渡ってしまったブラックファング。マシンの力は、アンデッドをもパワーアップさせていく。必死で追うブレイド、ギャレンは取り戻すことができるのか? そんな頃、一方ではオーキッドアンデッドのみゆきとエレファントアンデッドの戦いが始まっていた。虎太郎は思わず飛び出していくのだが……。

仮面ライダー剣(ブレイド)  第25話[公式]  東映特撮YouTube Official

 徹夜でブラックファングの改良に取り組む剣崎と橘さん。なんだかんだ言って橘さんが乗り気なのは、ブラックファングにBOARDへの郷愁の念を抱いているからである。そもそもこのマシンは、烏丸所長の肝煎りの一台であった。
「人類の未来を守るための研究だ」
 その一言は橘さんを大いに奮いたて、研究に向かわせた。壮大な目的は、切実な理念でもある。
 BOARDは壊滅し、もはや存在しない。だが剣崎や仲間たちはまだここにいる。かつてBOARDにいた者たちが理想を忘れず抱き続けていれば、BOARDの灯は消えない。その結晶が、橘さんにとっては、新名たちの作り上げたこの完成版ブラックファングなのである。

 だが、マシンの完成により新名はその本性を表す。アンデッドハンターどころか、実際には彼自身がアンデッドで、ブラックファングも新名=ウルフアンデッドがより強さを求めるために作り上げたものであったのだ。
 モーターレースに乱入し、自身の性能を見せつけるウルフアンデッド。プロのレーサーもいいところまで食らいつくものの、追い抜くには至らない。だが、その様子を間近で観戦していた橘さんは「スリップストリーム」を利用してブラックファングの真後ろにつけることを思いつく。『弱ペダ』で見たやつだ!
 かくしてブレイドとギャレンは勝利を収めるが、夢のマシン・ブラックファングはウルフアンデッドとともにその短い生涯を終える。さみしそうな橘さん……だが、思い出に浸って過去の遺物をいじくりまわしているだけでは、前に進むことはできないのだ。

 虎太郎は傷ついたみゆきを見つけ、思わず助けてしまう。緑色の血を流す彼女が紛れもなくアンデッドなのは重々承知なのに、である。始のこともあり、虎太郎の気持ちは揺れている。アンデッドはすべからく悪なのか、中には信じられる者もいるのか……。
 ライダー陣営に肩入れしてはいるものの、虎太郎自身はベルトに適合しているわけでもない、好奇心が強いだけのただの一般人だ。ジャーナリスト志望の彼の仕事は、何かを守るとか勝ち残るとかではなく、隠された真実をつまびらかにすることである。大いに悩んで、ぜひ自分だけのものの見方を掴んでほしい。それはきっと剣崎にも橘さんにもできないことだ。


第26話

エレファントアンデッドの力はすさまじく、ブレイドはダメージを受ける。剣崎と橘は、そのショックを隠し切れない。そんなとき、嶋昇という男が白井家に訪ねてきた。彼はチベットで烏丸所長と一緒だったと言うのだが……。やがて、エレファントアンデッド、そして嶋もカリス=始の存在に興味を抱き始める……。

仮面ライダー剣(ブレイド)  第26話[公式]   東映特撮YouTube Official

 チベットからの使者、現る。カナリヤの「ナチュラル」をぶら下げてひょうひょうと白井家にやって来た男・嶋さん。直ぐに自分のペースに人を巻き込んでしまう様子は一見胡散臭いようだが、烏丸所長の知り合いだというなら話は別である。
 嶋さん曰く、アンデッドとの戦いに必要なのは「心」なのだそうだ。
「たくましくあれ、そして怯むことなかれ。絶望の後には必ず希望が来る」
 使命感だとか義務感だとかで戦っているうちには強くなれない、と嶋さんはのたまう。お仕着せの力では本当の自分の強さとは言えない、というところだろうか。また、お仕着せの極みである睦月のことも心配しているようだ。睦月自身は「人類を守るために戦いたい」と耳触りの良いことを言ってはいるが、それがどこまで彼自身の言葉なのか、あるいはカテゴリーエースが取り繕うためにそう言わせているだけなのか、もう睦月本人にもわからなくなっているのではあるまいか。

 ともあれ、嶋さんの言葉を思いながら戦いに臨む剣崎。逃げ遅れた子どもを助けた時、彼は「そこにいる人を守りたい」という自分の気持ちを再発見する。子どものころ、火災現場から両親を助けることが出来なかった剣崎。その経験をバネにして、彼はこれまで生きて戦ってきた。
「ひとを愛しているから俺は戦っているんだ」
 使命でも義務でもなく、己の心の中にこそ戦う理由があるのだ。
 満足そうな嶋さんは、剣崎に烏丸所長からのお土産を寄こす。黄金の羽も眩しい、仮面ライダーブレイド・ジャックフォームの完成である。

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