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入間市で古書とステーキと塩アイス

のどかなベッドタウンに突如現れるアメリカ郊外風の街並み、入間市のジョンソンタウン。“米軍ハウス”と呼ばれる家屋が立ち並ぶこの街には、アメリカ・沖縄・イギリス・インドネシアまで!? 異なる文化がとけ合っている。1時間もかからない場所にあるけれど、今回初めて足を運んだ。

都心からほどよい距離とアクセス


池袋駅から西部池袋線の特急ラビューに乗車し、約30分で入間市駅に到着。懐かしい感じの団地があり、車通りの多い道路が通る、いかにも埼玉や東京西部のベッドタウンといった雰囲気。そんな街中を駅から歩くこと約20分、米軍ハウスが集まる「ジョンソンタウン」に到着した。

白い家が立ち並ぶ街並み


ジョンソンタウンは、終戦後のアメリカ進駐軍の軍人のために作られた、アメリカ風の住宅が集まる街だ。白い壁に三角屋根、テラスや芝生の庭がついたアメリカ郊外の雰囲気がある家。街の名前は、当時の進駐軍の基地の名前が由来だという。
米軍人が住まなくなってからは、画家や音楽家のアトリエとして使われた。その後、建物はアメリカ風の雰囲気を残しながら修繕して保存され、現在はその雰囲気に惹かれた人たちがお店を開いたり住居として住んだりしている。120戸以上の住宅や店舗でにぎわう。

気が合いそうな古書と一期一会


一通り街を歩いてみて、気になる古書店に入った。静かでとてもいい雰囲気。本棚がぎっしり壁一面についているため、一歩入ると少し暗い。マットな質感の表紙で、静かで素朴なイラストが美しい2冊の本に吸い寄せられ、購入。一冊は2021年の月のこよみをイラストや豆知識を交えて教えてくれる本。もう一冊は、あるイラストレーターさんの漫画作品の自選作品集。幻想的で温かくてユーモラスな雰囲気で、一目で気に入ってしまい、なぜかここに置いて帰ることはできないような気持ちになった。初出が1980年の作品が含まれ、この作品集の出版は2004年。私が手に取っているのは2021年。そのイラストレーターさんは、今も絵を描いていらっしゃって、ある雑誌の表紙絵を手掛けていることがわかった。

古書店やいわゆる独立系の新刊書店は、セレクトショップの性質が強いからか、店主のセレクトや棚づくりのおかげで、自分と気が合いそうな本に出会いやすい気がする。もちろん意外な出会いもある。あとは、かなり古い本から比較的新しい本まで、出版年にかかわらず、いわば年齢関係なく気が合う友達と出会えるような感じがある。

チェーンの新刊書店だと、出版社の勢力が書店の棚作りに反映されるからか、似た品ぞろえのお店が多かったり、比較的新しい本しか置かれていなかったり、小規模出版社や地方のリトルプレスの個性的で素敵な本に出会いにくかったりする。チェーン書店の棚はそれはそれで、自分の好みに縛られずいろいろな本と出会えたり、今何が世の中で流行っているのかを知ることができたりするので、利点もある。

とりあえず、今回訪れた古書店は、直感で自分と気が合いそうな雰囲気があったのだった。

人と犬の往来を眺めながらステーキ


さて、お昼どき。飲食店はいろいろなお店があってどれも美味しそうで迷う。レトロな雰囲気の喫茶店や、自転車の人向けの軽食スタンド、カレー専門店、餃子のお店、アメリカンダイナーなど。迷った挙句、メイン通りに面したステーキ屋さんに入った。
バドワイザーとペッパーライスを注文。通りから少し上がったテラスのテーブルでいただく。薄切りのお肉とごはんと野菜に、肉汁がからんで胡椒がよくきいていい味。隣のステーキも一口いただく。やわらかすぎず適度に噛み応えがあっておいしい。テラスで風を感じ、人や犬の往来を眺めながら、瓶ビールを直接ごくり。いい週末だ。

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ジョンソンタウンはペット連れの人にやさしい。テラス席はワンちゃんOKのところが多いし、ワンちゃんの洋服やグッズを扱うお店もある。老犬のデイサービスというのは、私は初めて見た。

ニュアンスのある洋服に一目ぼれ


インテリアや洋服のセレクトショップ、ハンドメイド革小物店、家具店、アメリカ雑貨、英国雑貨、北欧雑貨、バリ島雑貨、フライングディスクの専門店まで、本当に見ていて飽きない。
そのうちの一軒の洋服のセレクトショップに寄る。何気なくウィンドウショッピングしていたはずが、ちょっとひねりのあるデザインでニュアンスのあるブラウスに一目ぼれして何着か購入。あれ、こんなに財布のひもゆるくていいんだっけ。今日のところは気に入って納得しているのでよし。

沖縄黒糖カフェで塩アイス


歩いてのどがかわいたので、「氷」ののれんがかかったお店へまっしぐら。
私は石垣島の「島アイスキャンディー」の塩ミルクを注文。つめたくて、塩味がきいていて、濃厚なミルク感でおいしい~。汗ばむ季節にはよりいっそうしみる。
無類のかき氷好きであるこの日の相棒は、シークワーサーかき氷を注文。一口、いや二口三口いただく。かき氷には甘くないシークワーサー果汁がかかっていて、添えられた黒蜜で甘さを調整できるようになっている。シークワーサー果汁だけでもすっきりとした酸味でおいしい。黒蜜はさらさらしていて控えめなきれいな甘さでこれまた単体でもおいしい。シークワーサーかき氷に黒蜜をかければ、言うまでもなくおいしさ倍増。

水の入ったグラスは見とれるほど色鮮やかで透明できれいな琉球ガラス。各席には葉っぱでできたうちわが備えられていて、あおいで涼を感じることもできる。お店の入り口には物販コーナーもあり、琉球ガラスの食器や葉っぱのうちわ、シークワーサー果汁や調味料などが購入できる。
ちなみに、あとでわかったのだが、葉っぱのうちわは「クバオージ」といって、クバという木の葉を乾燥させてつくられるものだそう。ふむ。

店内の本棚には沖縄や石垣島のガイドブック、島移住の雑誌、海外の南の島に関する本がたくさん。風通しのよい店内でページをめくれば、ゆったりした気分になる。
沖縄そばのランチ、黒糖オレや黒糖チーズケーキなど、ほかにも気になるメニューがたくさん。とても居心地が良いお店なので、ぜひまた来たい。

名産の狭山茶を使った米粉パン


帰り際、グルテンフリーの国産米粉パンのお店に立ち寄った。多数の種類のパンの中には埼玉の名産「狭山茶」を使ったパンも。国産米粉でグルテンフリーで狭山茶のパン……特徴満載で気になって購入。帰宅してからいただくと、ほどよくしっとりして弾力があって、お茶の香りをしっかり感じる、おいしいパンだった。
ほかにも焼ドーナツやジェラートやドリンクもあり、お茶したい人やスイーツ需要にも応える懐の広いお店だった。


一見すると白い平屋建ての家の統一感のある美しい街並みだけど、それぞれの中身は多様性に富んでいて、どのお店も個性的で面白い。今回立ち寄れなかったお店にも、次回はくまなく回ってみたい。


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