【オーディブル】ツバキ文具店【読書感想文】
オススメに出てきたものからなんとなく選んで聴きました。
ツバキ文具店
著者 小川糸
ナレーター 多部未華子
まず、多部未華子さんのナレーションがいい!ハキハキとしていて明るい感じがこの作品に合っているし、さすが女優さんなだけあって、感情の乗せ方がすごくお上手で、引き込まれるように聴きました。
主人公は、文具店と由緒正しき代書屋の跡取りとして働く鳩子さん(通称ぽっぽちゃん)。手紙を取り巻く鳩子さんと人々のストーリーが展開していきます。
人間って複雑で面倒くさくて、上手くいかなくて悲しくなることもあるけれど、それぞれの思いがあり、一生懸命に生きているんだよなあと、日常の小さな小さな灯りを大切に両手で掬い上げるような作品でした。
この作品の中で特に印象に残った三つのことについて少し書きたいと思います。
手書きの手紙の良さ
私の日常生活からは、縁遠いものとなってしまった、手紙というもの。作中ではメインテーマとなっていて、数々の手紙が登場します。
思いを込めた文章、手紙の内容や人となり、関係性をも考慮して丁寧選ばれるペンやインク、便箋、封筒などの文房具の数々、形式だけではない、思いに寄り添った手紙としての文章の形式…。プロとして代書屋をされている主人公だからこそできる様々な洗練された仕事ぶりに、ただただすごい!と感心しきりでした。
自分ではここまでのことはできませんが、手書きの手紙というものには、ここまでその人の思いを乗せることができるのですね。
生き生きとして個性的な登場人物
主要なキャラクターほど、意外と本名で呼んでいなかったり、本名自体が紹介されなかったのが面白いと思いました。あだ名で呼ばれるそれぞれのキャラクターは、あだ名や作中での振る舞いを元に私の頭の中で像を結んで、驚くほど生き生きとして感じられました。主人公との心理的な距離感みたいなものも表しているのかもしれません。
とても美味しそうな食べ物の瑞々しい描写
カフェのモーニング、うなぎ、おいなりさん、海辺のタイ料理屋台、和風キーマカレー、お土産のくず湯、缶の練乳を煮詰めたキャラメル…どれもとっても美味しそうで、聴いていてお腹が空いてしまいました笑
特に、ご飯の間にもうなぎが入った鰻重(通称二世帯住宅)がめちゃくちゃ美味しそうでした…🤤
鎌倉を舞台とした物語なのですが、登場するお店や街を見てみたくなりました。
ツバキ文具店の感想文でした。多部未華子さんのナレーションが物語にとても合っていて、オーディブルで聴く価値があるように思いました。
年賀状くらいしか、人に手紙を出すことって無くなってしまいました。しかも、郵便料金値上げや、作成の手間などもあり、年々枚数は減っています。それでも、大切な人に手書きのメッセージを添えて渡す機会があるのは、良いことかも、大事にしたいな、と思うのでした。