毒なのかもしれない
やがて目は濁り、耳は詰まる。
甘い香りに浸ったまま動けなくなるように退化し、その働きは失われる。
この夜が明けてほしくないだとか、ずっと一緒に居たいだとか、そんな事を言いながら僕らは毒を健やかに育み死んでいく。
いつしか満足して、もしくはどうでもよくなって、生きたいという気持ちなんかも忘れて、あぁ幸せだったなんて言って。
ショックで飴玉が割れないように、幸せというものに溶かされて終わりを迎えられるように、丁寧に転がしている。
ガリッと思いきり噛んで飲み込んでしまおうか、この飴の味は変わるのだろうか。みんなの飴は甘いのだろうか。
私の飴はどんな味だっただろうか。
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