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SDGsスタートアップって何?~PMI日本支部SDGsスタートアップ研究分科会について~

こんにちは。
PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会の稲葉涼太です。
PMI日本支部の理事とSDGsスタートアップ研究分科会の代表をしています。
 
このアカウントでのBlog第1回です。
このBlogを見ているということは、おそらく皆さんは「SDGs」に関心があり、他に「プロジェクトマネジメント」や「スタートアップ」というキーワードに関心があるのではないかと想像します。
 

■今更ながらSDGsって?

日本では近年急速にSDGsの認知度が高まり、SDGsという言葉とSDGsアイコンの認知度も85%を超えたともいわれています。
みなさんもSDGsアイコンを見たことがあると思います。

しかし、認知度が高まるにつれ「SDGsって何?」「何をしたらSDGs?」「いろんなことがSDGsに結び付けられていてよくわからない」と思われる方も多いと思います。
 
「エコバッグ持っていればそれでSDGsでしょうか?」「無料のエコバッグいくつももらっているけど本当に環境にやさしいの?」「紙の本の代わりに電子書籍読んだらSDGsでしょうか?」「環境にやさしそうなことしていたらそれでSDGsでしょうか?」「何でジェンダーとか教育とか環境に関係なさそうなこともSDGsなの?」などの声もよく聞きます。

また、SDGsの知名度が急速に増えるに比例して、「SDGsって胡散臭い」「SDGsをWebサイトに出したり従業員がSDGsバッジ付けていても何もしてない会社が多い」「今やっていることをSDGsにこじつけているだけではないか」「単なる企業のイメージ広告でしょ」という声も聴くようになりました。

■どうして「うさん臭い」と思われるのでしょうか?


それはSDGsがイメージ先行で広まり、なぜSDGsが必要か、SDGsとは何かが知られていないからだと思います。
電通の調査ではSDGsの言葉の認知度は86%です。
2021年のユーキャンの新語・流行語大賞に「SDGs」がノミネートされました。

「流行語」になるということは、いずれ廃れる一過性の流行りという扱いになります。
「なんか分からないけど流行ってるあのカラフルな17個のアイコンのアレ」という位置づけになり、「流行ってるから乗っかって宣伝しておこう」という企業が増えます。

そうすると、SDGsと関係なくても「環境にやさしそうなアレ」「人にやさしそうなアレ」「SDGs的なアレ」という使われ方をし、そうこうするうちに「なんだかわかんないSDGs的なやつ胡散臭いよね」になりかねません。

■ではSDGsとはなんでしょうか?

そもそもSDGsは「Sustainable Development Goals」の略ですが、 サスティナブル(持続的)とかディベロップメント(発展)って何でしょうか?ゴールって何でしょうか?

SDGsがなぜ必要かを一言で言うなら「地球ヤバい」と答えます。
下の図は形がケーキに似ていることから「SDGsウェディングケーキモデル」と言われています。

私たちの社会は地球環境があって成り立ち、社会の上で経済活動を行っています。
環境問題はずっと昔から認識されてきましたが、私たちは経済を優先させ環境問題を後回しにてきました。

しかし、いよいよ地球環境の課題を後回しにするのも限界が来ました。
土台となる環境が、人類が持続的に生きていけなくなってしまえば社会も経済活動も成立しません。
つまり「Sustainable Development」とは、発展自体を持続的に行うのではなく、人類が発展(Development)する活動の前提である「環境の持続性(Sustainable)」が根底にあります。

図:SDGsウエディングケーキモデル

しかし、いくら環境問題が大事だと頭ではわかっていても…
今日生きていく経済的余裕が無かったり、毎日の健康や安全・衛生の危機にさらされていたり、衣食住がすべて足りなかったり、自分の人権が脅かされていたり、課題を認識して解決するための知識や考え方を知らないし学ぶ機会もなければ、地球環境の課題を解決しようとは中々思えません。
 
そうして、今まで私たちは環境・社会・経済をトレードオフの関係にして環境問題を後回しにしてきました。
そうではなくて、環境・社会・経済はどれも大事であり、環境を持続的にするために、私たちの社会も経済も持続的にすることが大事です。

下の図は「5つのP」と呼ばれるものです。
人間(People)が生きていくための社会、経済的な豊かさ(Prosperity)地球(Planet)の3つの課題を解決するための達成手段を人類のパートナーシップ(Partnership)で創ることが必要であり、その土台に平和(Peace)の必要性があります。
 
ものすごくざっくり言うと「地球ヤバい」の課題を解決するためには、その課題を解決しようと思えるために、「社会のヤバさ」「経済のヤバさ」も解決する必要があります。
 
だから、貧困、健康と福祉、教育、ジェンダー、働きがいと経済成長、人や国の不平等…など社会課題や経済課題もSDGsに含まれています。

「課題を解決する」とは、ざっくり言い換えると「なんとかすること」です。
しかし、ただ闇雲に「なんとかしよう」と言ってもどうしたらよいのかわかりません。
その「なんとかする」の目指す的がSDGsの17ゴールです。
これが「Sustainable Development Goals」という名称の構造です。


図:5つのP

どうして企業がSDGs?~「ESG」と「CSV」~

世界を良い方向にも悪い方向にも、大きく変えるのは政府や市民だけではなく「企業」が大きな力を持っています。
そして、国連を中心に世界各国がSDGsの必要性を重要視する現代において、企業に対してサステナビリティへの貢献が大きく求められています。
 
また、環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)の頭文字をとった『ESG』と呼ばれる考え方が浸透し、投資家や市場の消費者の企業を見る目も変わりました。

つまり、企業は単に利益を上げていればよいのではありません。
利益を上げていても、環境破壊をしたり反社会的で合ったり、労基法違反や不正会計など企業統治が杜撰であると、『誰一人取り残さないSDGs』という前にその会社が投資家や市場の消費者から見放されます。
 
また、投資家や市場の消費者から見放されることが見込まれる会社には優秀な人材も入ろうと思わなくなります。
そのため、SDGsやESGは企業の持続性の意味でも大事なキーワードです。
 
そもそも、ビジネスとは顧客の課題を解決して対価を得ることです。
そうであれば、社会や環境の課題を解決することは、企業にとってボランティアではなく、むしろ市場から期待されるビジネスチャンスです。

そのような、企業の経済的価値の向上と、稼ぐ源泉として企業が社会課題を解決し社会価値を向上させること、つまり経済価値と社会価値の向上を両立させることを『共有価値の創造(Creating Shared Value)』といい、英語の頭文字をとって「CSV経営」と言います。

これからの企業に求められるのは、単にコストセンターとしての無償ボランティアでかけられるコストの範囲で行う社会貢献活動にとどまらず、経済価値と社会価値を両立して向上させ、社会課題や環境課題の解決を事業として行い収益を上げていくことが大事です。

図:CSVとESG

■私たちは何者か?~PMI日本支部SDGsスタートアップ研究分科会~

①PMI日本支部「SDGsスタートアップ研究分科会」について
ここでようやく、私たちの自己紹介です。
私たちは『PMI日本支部』という法人の中の『SDGsスタートアップ研究分科会』という部会組織です。
 
PMIとは「Project Management Institute」の略で、グローバルなプロジェクトマネジメントの専門家団体です。
プロジェクトマネジメントに興味がある方はPMIが認定するPMPというプロジェクトマネジメントの専門資格やPMBOKというプロジェクトマネジメントの書籍をご存じかもしれません。

私たちはPMIの日本支部で、SDGs事業の立ち上げを支援するための方法論の開発と普及や実際の法人のSDGs事業のプロジェクトマネジメント支援を行う部会です。
 
「プロジェクトマネジメント」というと何か堅苦しい管理をする話をイメージする方もいるかもしれません。
 
しかしそれは誤解です。
「管理」を英語にすると「Control」です。
マネジメントとは誰かをガチガチと窮屈にコントロールしたいのではありません。
マネジメントとは「目的を達成するために何とかすること」です。
 
PMIはグローバルで『アイデアを実現するために人々に力を与える』(“Empowering people to make ideas a reality.”)というスローガンを掲げています。
 
つまり私たち『PMI日本支部SDGsスタートアップ研究分科会』はSDGsというゴールを目指し何とかするために、SDGs事業を立ち上げようとする法人を支援する活動をする部会です。
2022年時点で50名を超えるPMI日本支部会員で運営しています。


②内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」
また、私たちは内閣府が設立した『地方創生SDGs官民連携プラットフォーム』という組織体の中に分科会を立ち上げています。
 
内閣府『地方創生SDGs官民連携プラットフォーム』とは日本の地方創生とSDGsの課題を解決するためのプラットフォームで、省庁、地方自治体、学校法人、企業、NPOなど6,900団体が参加しています(2022年11月現在)。

■私たちの課題認識と目的


SDGsの認知度も上がり、多くの企業や行政やNPOや教育研究機関で「SDGsいいね!」「SDGsやろう」という機運は高まっています。

しかし、いざ実際にSDGs事業を立ち上げようとすると、中々立ち上がらないし、何とか立ち上げても上手く進まない。
そういう課題認識を私たちは持っています。



もちろん、そうなる理由は色々あります。
SDGsのような社会課題、環境課題を事業として解決する場合
①   何を目指せばよいのかわからない
②   問題意識はあっても解決すべき課題がわからない
③   解決すべき課題の認識があっても、どう解決していいのかわからない
④   解決策がわかっても、どう社会に普及させて広めて良いのかわからない
⑤   答えが初めから明確じゃないためどう計画してよいのかわからない
⑥   自分たちの活動がうまくいって社会・環境課題を解決できているのか、うまくいっていないのか評価方法がわからない
…などです。
しかし、答えがわからないのにいつまでも「確からしい計画」を作ることに時間をかけていては、いつまでも事業は立ち上がりませんし進みません。

■私たちがしていること~SDGsスタートアップ方法論の開発と普及促進~


そこで私たちは「アジャイル」と「リーンスタートアップ」という考え方や「SDGコンパス」というフレームワークをベースに、「デザイン思考」や「ロジックモデル」などの手法を組み合わせ、素早くSDGs事業を立ち上げ素早く軌道修正しながら進める「SDGsスタートアップ方法論」という新規SDGs事業の立ち上げのためのマネジメント方法論を開発し、改良し続けています

図:SDGsスタートアップ方法論概要

不確実な状況下で、答えがない新しいことをするために

  • 事業を素早く立ち上げる

  • 「困っている人が誰で課題は何か」と「課題の解決策とその広め方」の仮説を素早く検証して探索する

  • 素早く世の中のフィードバックを得て学習する

  • 修正が必要な場合は素早く軌道修正をしながら「なんとか進める」

その在り姿が「スタートアップ」です。


私たちは2019年から内閣府『地方創生SDGs官民連携プラットフォーム』の会員法人向けに「SDGsスタートアップ方法論」を全3回の研修・ワークショップで体得していただくベーシックコースを開講し、3年間で70団体以上の企業・行政・学校・非営利法人に方法論の普及促進を行ってきました。

今年度も10月に2022年度のキックオフと第1回研修を行い開講中です。
 
ちなみに、研修・ワークショップの参加費はなんと「無料」です。
 

図:SDGsスタートアップ:ベーシックコーススケジュール


また、単に研修・ワークショップだけでなく、ベーシックコースの修了団体の実際のSDGsプロジェクトマネジメントの支援を行う「アドバンスコース」も実施しています。
 
私たちの目的と目指すことは「日本の多くのSDGs事業の立ち上げと推進を何とかすること」です。
「何とかする」ために方法論を開発して日本中に、さらに言えばその先の夢として世界に普及をすることを目指しており、皆さんのプロジェクトを一緒に進める支援をしています。
 
この「SDGsスタートアップ方法論」や「ベーシックコース」「アドバンスコース」に関して、今後当ブログでもドンドン記載していきますのでお楽しみにしてください。

■PMI日本支部:SDGsスタートアップ研究分科会に興味を持たれ方へ


・今後、「SDGs」や「SDGsプロジェクト」「SDGsスタートアップ方法論」などについて定期的に発信していきます。
ぜひnoteの「フォロー」をしていただけると嬉しいですし、「スキ」がつくと励みになります。
 
■以下のサイトも併せてご覧ください
・PMI日本支部:SDGsスタートアップ研究分科会 WEBサイト
PMI日本支部会員としての入会希望や、外部団体としてのベーシックコース研修申込などもこちらをご参照ください
https://www.pmi-japan.org/sdgs/


・PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会Facebookグループ
※安心安全のプライベート設定:参加希望の際はFacebookグループアンケートにお答えください
https://www.facebook.com/groups/sdgsstartup.pmij
 
・PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会 youtube
※チャネル登録お願いします
https://www.youtube.com/@SdgsStartup_pmij


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