生き方と最有効使用の変遷。私達は旅をするかのように拠点を選ぶ。
以前「昔はオフィスという建物があった」という記事を綴りました。昨今の働き方改革とリモート勤務の推進により、従来型のオフィスは減少し、新しいタイプのオフィス(コミュニティスペースとでも言うべきか)が出現しているという内容です。
そして今、更にリモート勤務が一般化したことにより、働き方だけでなく、私たちのライフスタイル、生き方そのものにも大きな影響を与えている。どこでも仕事ができるようになった為、職場に近い街に住む必要性がなくなった。これによって働く拠点と住む拠点を複数確保し、その中から柔軟に選ぶスタイルがとれるようになってきている。これは今までは富裕層や一部の専門職のみに許されたスタイルだが、一般の人々にも可能になってきている。
そして、この先の変遷について予測も含めて綴りたいと思う。
1.旅をするかのように自分の拠点を選択する。
①働く場所の変化
従来型オフィスは半減し、新しいタイプのオフィス「コミュニティスペース」が台頭している。
リモート勤務の普及により、以前ほどオフィス面積は必要とされなくなった。
その代わりに、よりクリエイティブな発想を誘発させる活動場所、例えば以下のようなシーンが期待できるコミュニティスペースが増加している。
・自分にないノウハウを持っている人々に偶然会えて、SNSで交流する仲
になった。
・常に新しい商品が展示されているイベントスペースがあり、探していた
商品をリアルで見ることができた。
・実証実験イベントが定期的に開催されていて、想像もしていなかった
新技術を、リアルで視察できた。
・ランニングやサイクリングコース・フィットネスやキックボクシングジム
がいつでも使え、運動後に知人達と趣味の話で盛り上がった。
・業務後、多様な業種のワーカーやアーティスト達が集まるカフェ・バー
で、マスターのファシリテートで交流の輪が出来た。そんな小さな
コミュニティが沢山ある。
例えば、最近私が会員になった有楽町SAAIというコワーキング&コミュニケーションスペースは、上記のような働き方が実現し得るスペースだと感じている。
SAAIには、スタートアップ系の若い企業の人々や、企業に勤める一般社員など多種多様な人々が集まる。
企業が、自社の新事業担当者を通わせているケースもあれば、社員が自発的にSAAIに通っているケースもある。
今後、このようなスペースが都心では増えると思う。
まだ職種は限定されるが、今では週2~3回の出社で成立するサラリーマンも増えている。実際、私の同僚にも、普段は住環境の優れた地方に暮らし、週2~3回は新幹線で出社して都心の宿泊施設に滞在するという勤務スタイルに人も出てきている。
そういった時流をうけて、都心では宿泊サービス付ワーキングスペースも増えている。
勤務先・自宅・コミュニティスペースを選ぶ働き方
最近、私は東京駅付近の職場・自宅・SAAIの中から、今の作業に最も適した場所を選んで活動している。
SAAIで活動する時はPC1台を持ち込んで、リモートで作業をしたり、オンライン会議をしたりしている。そうすると同じくSAAIで活動していた知人から声をかけられて、お互いのプロジェクトの近況を話し合う。
仕事に煮詰まったら、すぐ近くのmicroという姉妹店に顔を出して食事をとったり、近くのランニングステーションで着替えて皇居ランを1時間ほどしてSAAIに戻る。
夕方ごろになると、SAAIの中心にあるバーに人々が集まり、アルコールを飲みつつ仕事やプライベートの話で盛り上がっている。そこに私も混ざる。
自分のプロジェクトでの課題を解決する情報やパートナーを見つけられることも少なくない。
そんな働き方が、少しずつだが浸透しつつある。SAAIには宿泊機能はないが、今後は周辺ホテルとの提携もありえるのではないだろうか。
②住む場所の変化
コワーキングスペース付き住居の登場
次に住む場所の変化について。多くのサラリーマンの住居には変化が出ていると思う。効率的・快適な在宅勤務を実現させる為、自宅内の執務スペースを作った人もいるだろう。
しかし子育て世代の家庭では執務に集中できなかったり、都心の住まいでは執務スペースを確保する面積的な余裕もないかもしれない。
そんな中、コワーキングスペース付きマンション、住宅エリアコワーキング
が増加している。
もうこの先、リモート執務はなくならないだろうし、このような職住一体型の住宅はますます一般化するだろう。
都心⇔地方を行き来する住み方
また住む拠点も、自分が求めるライフスタイルに即して複数の住処から選択するようになる。既にそうなってきているのではないか。ざっと検索した中で興味深かった記事は以下です。
数年前までは2拠点生活が出来るのは、一部のIT系職種等に限定されていた。しかし今は幅広い職種で可能になってきている。不動産系や金融系の企業に勤める私の知人達も2拠点生活を始めている。
私自身も2拠点生活は十分可能だ。例えば、昔からワーケーションで滞在する長野県下諏訪に週の半分は滞在し、残りは都心で働くことも出来る。
複数拠点生活が実現すれば、出来ることも一気に増えるし、なによりワクワクする。
2.生き方の変化により「不動産の最有効使用」が変化している。
以上のよう、働き方や生き方の変化を反映して、働く場所と住む場所は大きく変化している。
超都心のコミュニティスペースはもっと増え、宿泊機能も備え始めるだろう。そして、都心と地方を自由に行き来する二拠点や他拠点生活はもっと一般化する。
今まさに生き方の変化により、不動産の用途・最有効使用が大きく変わろうとしている。
①都心エリア
都心エリアでは、従来はオフィス・商業施設・ホテルなどが独占していたが、今後は、先に述べたような働き方の浸透により、もっとコミュニティ形成を誘発したり、就業者が宿泊できる施設が増え、それをサポートする生活利便施設が増えていく。自転車通勤者の増加により駐輪場も増えている。
新型オフィス(コミュニティスペース)
宿泊施設
教育関連施設、保育施設
駐輪場
フィットネス・スタジオ・バー・など
②住宅地
一方、住宅エリアにも、リモートで働く要素が入り込んでくる。
コワーキング付マンション、
宿泊施設付きコワーキングなど
以上の観点をふまえつつ、自分たちの職場近辺や住宅エリアを見直してみると、既に街並みは変化しつつあるのではないでしょうか?
今後、私たちは、旅をするかのように、活動と生活の拠点を自由で柔軟に選択できるようになり、リアルの刺激や体感にもっと貪欲になると思います。
本当にありふれた内容で恐縮ですが、私の最近の実体験にもとづく所感をまとめてみました。
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