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Vol.52「え~!ズレてますか?」

先日、 ” ひこね市文化プラザ グランドホール ” で開催された(「中部日本吹奏楽連盟滋賀県支部」が主催する)『第67回 中部日本吹奏楽コンクール 滋賀県大会』の「中学校小編成の部(※30人以下の編成による演奏部門)」を聴いてきました。

以前の趣味は” 楽器いじり ” で、 ” 社会人音楽サークル ” に籍を置き、「 ” 吹奏楽コンクール ” に出る側」だった私ですが、実は(自らが ” 出る側 ” という事もあって)「 ” 吹奏楽コンクール ” と名がつく場で ” 中学生の演奏 ” を複数聴く機会」は滅多に無く、今回は久方ぶりの体験。

ではなぜ、今回 会場に足を運んだのかと言いますと、書籍『聴かずぎらいのための吹奏楽入門』の著者 ” 漆畑奈月さん ” のライフワークである、『日本各地で開催される ” 吹奏楽コンクール ” の聴き歩き( #吹奏楽コンクール2024地方大会めぐりのたび )』に触発されたからです。

※書籍『聴かずぎらいのための吹奏楽入門』の詳細な情報は下記にて↓

そんなこんなで ” イチ観客 ” として鑑賞した「吹奏楽コンクール」。ほぼ地元の会場にも関わらず、どの出演者とも 全くしがらみが無い中で聴く…という体験は、なかなか味わい深いものがありましたが、聴いていて ” 気になったこと ” の一つが、『一部の団体で、ユーフォニアム(注:1)パートの音の立ち上がりが遅かったこと』

これには、いくつかの理由がありまして…
理由(1)
ユーフォニアムは楽器としての構造上、ベル(音が出る部分)は奏者の右耳に近い位置にある。
結果、無意識的に「自分の耳近くで響く、音の聴き心地」を頼りに練習を重ねると『 ” 音の立ち上がり(音の出だし) ” と ” 音のリリース(音の終わり) ” に対して「必要以上に ” ソフト ” な( ” やさしい ”  ” ぼやけた ” )処理」という悪癖』がつきやすい(←特に初心者…そして、この悪癖は早めに是正しないと、年月重ねれば重ねる程 改善が難しくなる)。
理由(2)
ユーフォニアムは楽器としての構造上、ベル(音が出る部分)が天井を向いている。
結果、「客席には乱反射して音が届く(つまり、奏者の感覚よりも若干、客席への音の到達に遅延が生じる)」ので、前述した『「必要以上にソフトな ” 音の立ち上がり ”  ” 音のリリース ” (更に言えば、それらに付随する ” 息のスピードの遅滞 ” )」の悪癖』は、 ” 致命的なタイミングの遅延 ” を招く(←しかも、奏者自身は気づきにくい)。
理由(3)
更に、メンバーが20人を下回る様な小編成での演奏となると、指揮者が(全体の音量不足から)各奏者に対して ” 過大な音量 ” を要求するケースがある。
結果、大きい音を出すために、動作や操作が若干スローになり、更なる ” タイミングの遅延 ” を招く(←例えるならば、『「ボールを遠くに投げよう」とすると、「体の使い方が大きくなって、動き自体が遅くなる」ようなこと』です)。

…もっともこれだけ理由がハッキリしていても、奏者本人は(おそらく)『え?私はちゃんとタイミング通り音出してますけど?』と錯覚しているのが怖い所(←かくいう私もユーフォニアムを演奏した際、色々と ” やらかし ” を重ねたことがあるので、偉そうなことは言えません…)。

ちなみに ” この錯覚 ” 、よくよく考えてみれば『「自身の自覚」と「実際に周りに及ぼすエフェクト」との差異』という、 ” 誰しもが日常生活で起こりうる事態 ” の縮図にも見えてくる……と考えるのは、私だけでしょうか??(笑)

では、今週の締めの吃音短歌(注2)を…

気がつけば 空の果てから 醒めた目で 苦しみ喋る 自分見下ろす

※まぁ、「客観視できてしまう瞬間」にこそ感じる ” 残酷さ ” もある訳で…(笑)

【注釈】

注1)ユーフォニアム(Euphonium)

金管楽器の一種。
日本国内では、某小説(及びコミカライズ版、アニメ版)のタイトルに使われるまで「知る人ぞ知るマイナー金管楽器」の代表格であり、そのマイナーぶりは、TVドラマ「中学生日記」の1エピソードで ネタになる 題材になるほどだった。

注2)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}(注3)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

注3)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。

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