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Vol.67 チョンシー~♪ チョンシー~♪
今回は、「前に観た映画と似てるけど…」と思いながら観た映画が、案外面白かった…というお話です。
それは、映画『イマジナリー』を観た時の事。
※ちなみに、こんなあらすじの映画です。
悪夢にうなされてばかりの絵本作家ジェシカは、気分を変える為に夫のマックスと、マックスの連れ子であるテイラー、アリス姉妹と共に、自らの生家に引っ越してくる。
その家の地下室で、アリスはクマのぬいぐるみを見つけて ” チョンシー ” と名付け、まるで友達の様にかわいがるのだが…
※下記は約30秒の予告編です。
この映画を製作したブラムハウス・プロダクションは、2022年に『M3GAN/ミーガン』(注1)という作品を劇場公開していて(※日本では2023年に劇場公開)、そちらでは「少女と友達になったAI搭載の人形 ” ミーガン ” が人に襲い掛かる」という内容だったので、この『イマジナリー』の予告編を観た時は「あれ?AI仕掛けの人形をクマのぬいぐるみに置き換えただけ?」と思って期待していませんでした。
しかし、たまたま上映時間が合ったこともあり、実際に観てみると、 ” 意外な仕掛け ” や ” (軽いジャンルシフトも含む)意外な展開 ” が仕込まれている、なかなか楽しいエンターテイメント作品で、更にはグロテスクな描写も絶妙にコントロールされているため、ホラー映画にも関わらず 映画倫理機構(映倫)の区分は ” 年齢にかかわらず誰でも観覧できる映画 ” を示す「G区分」。
超ビビり体質の私にはうってつけ(笑)。
正直、クリーチャーの造形や、デザインの一貫性等々、詰めが甘い点も多々ありましたが、そんな不満も どこか間の抜けた『チョンシー~♪ チョンシー~♪』のテーマ曲が消し去って!?いきました。
なお、観終わってみれば…
「 ” 引っ越し ” 、 ” 継母と継子 ” 、 ” 腕の傷 ” 、 ” 少女の新しい友達 ” 、 ” 新しい友達が求める通過儀礼 ” 等々、(Vol.36(右手の過去と左手の現在が交錯する時。)で取り上げた)映画『毒娘』(注2)を構成する要素と通じるものがあるなぁ」
…と、思ったり。
もっとも、通じる点があっても両作品のテイストが全然違う辺りが、面白い所ですね。
では、今週の締めの吃音短歌(注3)を…
夢の庭 遊びも半ばで 引き返し 「おはよう」の「お」を 言いよどむ朝
※まぁ、夢の中でも どもる時はありますけどね(笑)
【注釈】
注1)映画『M3GAN/ミーガン』
ジェラルド・ジョンストン監督による、日本では2023年に劇場公開された作品。
あらすじは…
おもちゃ会社で、AIを搭載した人形「ミーガン」の開発にいそしむジェマは、不慮の事故で両親を亡くした姪のケイディと同居することになる。
こどもの扱いが苦手なジェマは ” あらゆる出来事からケイディを守る ” という指示を与えた「ミーガン」をケイディに与えるのだったが…
…というもの。
※下記は約1分間の予告編です。
注2)映画『毒娘』
内藤瑛亮監督による、2024年劇場公開作品。
あらすじは…
元・衣装デザイナーで専業主婦の萩乃は、夫の篤紘、夫の連れ子である萌花と、一戸建て住宅に引っ越ししてくる。
新生活にも慣れ始めた、ある日。赤い装束に身を包み、ハサミを握りしめた不気味な少女 ” ちーちゃん ” が現れる…
…というもの。
※下記は約1分半の予告編です。
注3)吃音短歌
筆者が抱える障害でもある、吃音{きつおん}(注4)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。
注4)吃音(きつおん)
かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。