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Vol.70 私の ” 推し活 ” 的な瞬間?

前回(Vol.69)は、母の “ 推し活 ” 的な瞬間!?を書きましたが、今度は私の “ 推し活 ” 的な瞬間の話です。

11月30日に名古屋芸術大学にて、(日本語ラップの草分け的存在であるヒップホップグループ「RHYMESTER」のマイクロフォンNo.1にしてTBSラジオ「アフター6ジャンクション2{略称:アトロク}(注1)」のパーソナリティーでもある)宇多丸さんの講演会が開催されると知ったのは11月16日のこと。
(※ちなみに、講演会の正式なタイトルは “ 名古屋芸術大学 芸術教養領域 第16回 公開講座『リベラルアーツ×「日本語ラップ」を開拓する』 ” )

アトロクのライトリスナー(の、そのまた端くれ)の私は「なにっ!名古屋!…いけるかも?」と色めき立ったものの「でも、日本語ラップに詳しくないから…」とか「たしか同じ日に、予定入ってたよね?」とか、後ろ向きな考えが頭に浮かび、「無理、無理、行けないね」と頭の中で打ち消してしまいました。

ところが数日後、スケジュールを見直してみれば ” 同じ日 ” と思い込んでいた別の予定は “ 1週間前 ” という事が判明し、がぜん行く気になってダメ元の おっとり刀で「受講申し込みメール」送信して、「受講受付メール」が返信されてきたのが11月20日のこと。

そこから先は、自家用車で行くことを決めたり、職場の上司(※お子さんが名古屋芸大生)から「あの辺りは道幅が狭いから注意するんだよ」とレクチャー!?受けたり、もし宇多丸さんに挨拶する機会があってもスムーズに自己紹介できるように「名札」を作ったり…等々の事前準備を重ねて当日を迎えました。

会場に到着してみれば、関西アトロクオフ会(注2)で顔なじみの方々と相次いで遭遇し3人で入室して、中央寄りの席を陣取り、白湯を仕込んだタンブラーと筆記用具を準備して迎えた定刻。
登壇した宇多丸さんを見て、おしゃれな着こなしのファッションに圧倒される、ウォーボーイズTシャツ姿の私でした(笑)。

そこから始まった、
『自らがヒップホップにハマったきっかけ』
『日本語ラップの黎明期』
『日本語でラップをするため方法論の気づき』
…等々のお話はラップに詳しくない私にも分かりやすく、更には 参考映像も紹介しつつ熱く語られる宇多丸さんの姿は『一種のライブ感』すらあり、筆記用具を出していたものの、メモを取るために視線を下げる事すら惜しくなって、ただただ聴くことに専念。

それだけで十分「自分の居場所がなければ自分で作ればいい」という、強いメッセージが立ち上がってくる素晴らしい内容だったのですが、それに留まらず、後半に かなり長い尺の質疑応答タイムを設けて下さる心遣い!

最初は「吃音(注3)の私が指名受けても、マイク握った瞬間 どもって恥ずかしい思いをするだけかも…」と考えて挙手できなかったのですが、「そんな ” 後ろ向きな考え ” は、さっきまで聴いていた ” 自分の居場所がなければ自分で作ればいい ” という趣旨に反する」と思い、恐る恐る挙手。

そうこうしている内に、何巡目かで指名を受けた とある学生さんが、 ” 小さい声を震わせながら(時には文語体になりつつ)懸命に質問する姿 ” を見て、「あの学生さんは ” うまく喋れなかった事 ” を後悔しているかもしれないけど、私の ” どもりながらの質問 ” を聞いたら、 ” 似た人がいた! ” みたいな感じで 救われるんじゃないか?」と考え、力強さを増して挙手。

その後、終盤にさしかかり「もうムリかな」とあきらめつつも挙手し続けていたら、頭にかぶっていた『 ” 黄色い ” タマフル(注4)キャップ』が目立った為に、まさかのご指名。

ところが、いざマイクを握ってみれば予想以上にどもって、どもって、私の頭の中は真っ白になったのでした…(笑)
{※そんな聞き取りづらい私の質問(&しゃべり)でしたが、宇多丸さんは丁寧にご回答くださった事を書き添えておきます…そして、名札を使う機会が無かった事も…(笑)}

では、今週の締めの吃音短歌(注5)を…

声に出ぬ 「ごめんなさい」を 諦めて 「すみません」で 隙間を埋めた

※喋ろうとする直前に「言いにくそうな言葉」「言えそうな言葉」が頭の中を駆け巡っているのです…そうして選んだのに どもる場合や、その言葉から先の言葉が(まるで口がロックされた様に)言えなくなる場合もあるのです…

【注釈】

注1)アフター6ジャンクション2

TBSラジオで月~木曜日の22時~23時55分に放送されている「カルチャー・キュレーション番組」。
略称は、 ” アトロク ” もしくは ” アトロク2 ” 。

注2)関西アトロクオフ会

前述の『アフター6ジャンクション2』を聴くリスナーの、関西における集まりで、発起人の方々の温厚篤実な人柄も相まって、ヘビーリスナーとかライトリスナーとかいったことに こだわらず集うやさしい空間が魅力。

注3)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。

注4)タマフル

TBSラジオで2007年4月~2018年3月にかけて、土曜日の夜に放送されていたラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」のこと。
前述の「アフター6ジャンクション2」のルーツ。

注5)吃音短歌

筆者が抱える障害でもある、吃音{きつおん}を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

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