再会?〜ロイヤル再び〜
最初に。
長きに亘る北海道遠征記事の拝読、ありがとうございました。(読んでない人はまたマガジン読んでね)
冒頭画像の記念乗車証とレシート状の特急券は、その北海道遠征で滝川から乗車した際に出力されたもの。
この滝川で、自分はある列車に出会っております。そして、その列車がまさかの場所で再びの運転…
この話を聞いて自分は緊急の遠征を挙行。
まだまだオーバーワーク甚だしい中、舵を切ったのでありました…
ではどうぞ。
再会への機運
その情報が出された時、あまりにも驚くしかなかった。
伊豆急行のロイヤルエクスプレスが、東急電鉄・JR貨物との協力によって伊豆を出張し、今度はなんと瀬戸大橋を渡った四国で運転をするというのである。
走行の行程は4日間。岡山を出発し、そこから四国を最長で松山まで移動し四国をクルージング運転するといった内容であった。
しかも牽引機は、JR貨物よりEF210形を調達して運転するというらしい。このプロジェクトの発表の際、自分は
「再会が叶うなら行くしかないな…」
と少し思っただけだったが、計画は思うように進行しなかった。同じ西日本とはいえ、四国とは遠い環境なのである。
青春18きっぷ春シーズンの最初。どうにかしてラストの期間に滑り込めたので撮影に赴く事にした。編成は既に伊豆急下田から東海道本線などを経て四国に送り込まれ、既にJR四国の運転士向けにハンドル訓練や車両扱いの習熟テストもしていたのだが、そうしたチャンスの撮影も出来ず時期だけが経過していくもどかしい日々を京都で過ごしていた。
前回を振り返って
さて。少しだけロイヤルエクスプレスを撮影した前回を振り返ってみよう。
前回は北海道でのクルーズ運転に立ち会った。
営業運転ではなく、クルーズ客を降車させた後に行われる滝川駅での機回しに遭遇し、この機回しのチャンスに滑り込み何枚も様々な角度から列車を撮影できた。
こちらのクルーズ行程も4日間という長いものであり、最終的には貸出期間中にこの時…令和5年の運転では機関車列車の入線可能な最北端、南稚内への入線も果たしたのであった。
この時の滑り込み撮影では滝川だけでしか撮影できず、
「次あったら良いもんだなぁ」
なんてぼんやりしていたのだが、まさかその願いが生活に近い地域で叶うとは思ってもいないのであった。
滝川を離れてからどれだけの事だったろう。あまりにも意外な再会の知らせであった。
今回の違いに関して
前回、ロイヤルエクスプレスの先頭に立った機関車は黄色いDE15形機関車であった。
DE15形はディーゼル機関車。この選定は、石北本線に石勝線、宗谷本線と非電化区間を走行する事…が主な理由である。
その為、電源車を後方に連結し客車列車さながらの光景を目の当たりにしたのだが今回の四国入線に関してはJR貨物協力…とあり北海道での運転とは違った機関車の起用がなされるのであった。
そもそも。DE15形のロイヤルエクスプレス塗装機に関してはJR北海道内で様々な仕事をこなしている機関車なので、ロイヤルエクスプレスに帯同して全国を運転するわけにはいかないのだ。
あくまでも『北海道を走行する際のエスコート』を担当しているだけである。
そして。
今回の四国入線に関しては、JR貨物よりEF210形の300番台が選定された。
EF210形は勢力を大量に増やしているJR貨物の直流電気機関車の標準形式となった機関車である。
果てはEF66形の置き換え。EF65形の置き換えで新鶴見に配属され貨物列車の近代化に貢献したかと思いきや。
広島に投入された機関車に関しては瀬野〜八本松までの急勾配…通称・セノハチの後方補機としてその力を尽くすべく『紅葉色のセノハチ専用機』ことEF67形の置き換えも行った。
写真はそのEF67形を置き換えた後方補機の仕事に就業している写真である。
そんなJR貨物の看板機関車となったEF210形が今回の四国クルーズを担当する。
甲種輸送…として全国に鉄道車両を配送する場合には電車を牽引する姿を度々見せるEF210形であるが、今回のように乗客を乗せた列車の牽引は初となるであろう。
非常に楽しみになってきた。
現地にて
四国に上陸し、ロイヤルエクスプレスの撮影に向かった。
青春18きっぷを使用し、山陰本線・東海道本線・山陽本線・瀬戸大橋線・予讃本線と乗車し、途中の観音寺で特急列車に乗車。
やってきたのは愛媛県は西条市の伊予西条である。
乗車した松山に向かう特急/しおかぜ・いしづちを下車すると見慣れない表示が。
しっかりと四国内をエスコートする牽引機・EF210形の顔が記されている。
伊予西条駅には駅最寄りの施設として『四国鉄道文化館』を構えている縁からか駅の発車標には相当な気合を注入している。
そんな中での見慣れない列車の表示。
限られたドットスペースの上手い活用で花を添えていた。
一応、編成で撮影するとありきたりしかない…ので、四国らしさの写真を撮影すべく駅を早足で移動して反対側へ。
乗車した列車が途中の駅でロイヤルエクスプレスを待避させていたとはいえ、余裕はなかったので少し急ぎ気味に構える。
駅周辺には列車を迎える親子の見物が多く、鉄道ファンというよりかはファミリーたちの出迎えを受けて入線する感じであった。
少しだけ記録の撮影を。
留置線に停車し、土讃線との合流地点である多度津に向かう7000系電車だ。
1両だけでの走行、とあって非常に身軽なスタイルをしている。
本命を迎えて
撮影ポジションで待機中には、見物に来ていた家族との話し合いで時間を潰した。
見慣れない列車・四国を走るには珍しい列車の到着を楽しみにしているようであった。
やがて、駅構内に伊予西条駅の接近メロディである『千の風になって』が流れ列車が入線する。
真っ青なEF210形…そして黄色いラインを引いた如何にも専用機たる出立ちの機関車に先導されて入線するロイヤルエクスプレスの姿がそこにはあった。
まず、四国での撮影の挨拶代わりに7000系電車と小さく映る姿を。
この姿、格好良いのでまた四国に来てほしい。
もう少しだけ遅めにシャッターを切る。
ここにいる車両、映り込んでいる車両は左から順に『東急電鉄』・『伊豆急行』・『JR四国』である。
これが発生しているのが、愛媛県は西条市。
どれだけシュールな1枚な事か…
伊豆急行2100系としての特徴的な傾斜も光に反射し、どうにか良い記録が残った。
やはりこれを撮影しなくては。
この非日常感。この旅をしている列車という感じの記録。編成撮影はいつでも…と言っては何だが、場所を変えれば可能なので四国らしさにフォーカスした写真を残す事にした。
ロイヤルエクスプレスの旅路を支える電源車・マニ50-2168と伊豆急行2100形独特の展望席、そして後方の『四国鉄道文化館』の文字。
来訪には相応しい記録だと思う。
再び、四国7000系との共演を収める。
今度に関しては停車中だったので少し余裕を構えつつの撮影であった。
互いの先頭形状を感じさせるような記録で終了。
前回も撮影したが、電源車マニ50-2186との共演。
電車と客車のテールランプが向かい合っている様子は非常に珍しい。
現在では電車の協調運転文化。そして電車が架線の下を離れて走る光景自体が珍しいので、やはり何度も「悔いのない記録を」との思いにて撮影を繰り返してしまう。
前回の北海道入線時には電源車の連結理由に関して、最初に
・非電化区間を走行する為
と記したが他にも北海道走行時に電源車を併結する理由として
・電化区間はあるが関東圏とは異なって交流電化で電化されている為
として電源車が併結されて走行した。
今回の四国行きの電源車帯同に関しては
『伊豆急行を離れての全国走行』
での使用が主な理由として推察される。
関東圏と四国では、そもそもJ Rとはいえ様々に異なる部分も多い為、そうした事情では機関車列車として機関車・電源車に全てを委ねての走行とする方が気兼ねない運転になるのだろう。
発車、再会はいつに?
伊予西条では、停車して『列車の交換待ち』をするといった要素が濃かった。
予讃本線は単線の為(高松〜多度津は除外)、何処かの駅で行き違い待ちをしなければ目的地に到着せず、何度も列車同士が待避したり交換したりと譲り合って走る姿を見る事ができる。
そのまま余裕がありそうだったので、駅先端の方まで少し走って向かった。
写真に映る看板、『石鎚山登山下車』の表記。
「これはこの場所でしか無理だな!!」
と思っいつつ、即反射神経で撮影。
機関車・電源車がメインになってしまったが無事に撮影できた。
やはり、『特別な車両の普段走らない地域入線』となればその地域の主力車両と撮影したいのが本音である。
今回は伊予西条で特急/しおかぜ・いしづちの行き違い待ちを行った為こうした四国8000系との共演が撮影できた。
機関車・電源車まわりには多くの鉄道ファン・見物人がおり列車の注目度を写真に残す事にも一定成功した。
汽笛を一笛、高らかに鳴らしてロイヤルエクスプレスは予讃本線を松山まで動き出した。
発車後、編成撮影はこの場所で…
として、駅を出てすぐの分岐点にて記録した。
しかし、思うような画角にならなかったのがどうも心残りな点である。おかげでEF210形のパンタグラフは切る寸前…
しかし、うまく列車のカラフルなコントラストに関しては上手く写真に取り込めたと思う。
青春18きっぷだけではなく、列車撮影に全力を投資して伊予西条まで来て成功だったと思う。
この機会で得られた成果は必ず好評だと思いたいので、また次回に期待してしまう。
というか。
それにしても機関車の色がテカテカというのか発色がキラキラしすぎている。機関車自体の前照灯も粒状の白色LEDなので、それが余計にテカリを与えているイメージだ。
駅構内では撮影できなかったので、この部分に関しては一括で撮影してしまう。
機関車+電源車+ロイヤルエクスプレス。
列車は自力でこの路線を走行できる電車のハズだが、機関車越しに観察するとここまで上品に…というか高貴な感じになるのは何故だろうか。本当に物語に登場しそうな空想の世界のクルーズトレインのような空気である。
そして、先ほどの発車時の汽笛が駅周辺で響き渡ったのか伊予西条駅周辺には何人かの住民がもの珍しくやってきた。
近くでタバコを吹かしていた男性も
「なんだ…あれ…」
というような感じで、線路脇を面白そうに眺めていた。
最初で最後の四国の出会いを体験し、自分は少しだけエネルギーの充填された思いになったのであった。
列車を後打ちにして残す。
電源車とロイヤルエクスプレスの共演だ。
ちなみにこの四国運転に際して、実は列車に変化が発生している。
ロイヤルエクスプレスが出張運転する際には、車両前面のロゴが変更されている。
北海道では…
こうして『HOKKAIDO CRUISE TRAIN』のマークが貼付されている。
それが、四国での運転に際しては…
ロゴが変更され、『SHIKOKU CRUISE TRAIN』として変更されている。運転区間に配慮した設計になっているのだ。(ロゴは小さくしか見えないけど)
5両編成の列車が松山に向かう姿を撮影し、自分は再び走った道を戻って伊予西条の駅に戻った。
その際に、ロイヤルエクスプレス待ちに話した家族づれと再会。跨線橋を渡って駅に戻るまでの時間を過ごしたのであった。
最後は
ロイヤルエクスプレスを撮影し、少しだけの折り返し時間。
予讃本線…は四国随一の幹線であっても、そこまで列車の本数が多いわけではなく多度津…いや、観音寺より松山に入るに従って列車の本数が減少していく。
そうした中では、折返しの列車を拾うのも難しい。
特急列車ですぐに飛べた観音寺〜伊予西条でもとんでもない時間と体力が吸われ、正直に今思ってみると虚無の連続で最終的には岡山に戻る。
写真は、伊予西条の主…として四国鉄道文化館にて余生を暮らす『フリーゲージトレイン』と乗車した普通列車の共演だ。
また次回には、この場所にも再び訪問できたらと考えている。
それでは、しょうもない再会の話でしたとさ。