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Turn.22『嘘っぽいけど事実の話』

 皆さん。特に京阪沿線の方なら。
 京阪沿線の親子連れの方や鉄道に興味のある諸君方々なら一度は訪問の経験があるであろう施設、
『くずはモール内・SANZEN-HIROBA』
には運転シミュレータがあります。
 1つは8000系。
 皆さんご存知、京阪では花形格の車両で3000系・テレビカーから継承した『京阪特急』の座を現在も誇示している30年近い中堅選手です。現在でもその人気は高いですよね。
「いやいやお前。一体何が言いたいねん」
と。そう思う方も中には混ざっているでしょう。
 ここからなんですわ。
 そんな8000系シミュレータの近くには、もう1つシミュレータがあります。
 それが、緑色の電車として変わらぬ大御所として現在は30番台のみを残し活躍中の車両です。
 んでこいつのシミュレータが8000系シミュレータの近くに鎮座しています。
 8000系なら特急運転ができる…のは容易に想像が付くでしょう。
 んで、近くには2600系。
「じゃあ2600系は急行運転が出来るのか?」
と思うでしょうが、なんと…
 2600系も特急なんです。
 最初、見た時が中学時代だったんですが見た瞬間は
「え?」
と半硬直になるくらいの衝撃でしたし、
「いやいや京阪さん、何を考えてらっしゃるんですか」
と。最初は本当にこうでした。
 時々、友人たちと行って2600系特急シミュレータを操っている間には
「こんなん走ったら沿線エグいんやろなぁ」
なんて言っていましたが、実際にそれが走行してしまうのは中学生の自分には予想だにしなかった衝撃…
 なんとそれは、予想以上に不幸な形で実現します。
 それが写真の姿。
 本当に2600系が特急に充当されてしまったのです。
「何故コレが実現したのか?」
と言いますと、それは京阪の特急車運用の都合によるもの、そしてあの社会現象が引き金となったのでした。
 まず1つは
・京阪特急の新サービス、プレミアムカーの休止
です。
 この制度は既に8000系はおろか、3000系にも波及し既に
『京阪特急になくてはならない車両』
として機能を果たしていました。
 そんな中、もう1つこの中の原因となった社会現象というのが
・新型コロナウイルスの流行
でした。この時に世界中で
『ステイホーム』
などの合言葉を掲げて戦った経験は今や懐かしいものですが、今でも鮮明に記憶している…という方も少なくないでしょう。
 そんな中で、社会全体が大打撃を受ける中、奔走する事になったのがこの大御所車両でした。
 中堅選手・若手選手の戦線離脱を埋めるかのように活躍し、京阪線を奔走したのがこの緑色の電車たち。
 その中に、2600系の姿もあったのです。
 まさかの形で。まさかの現象でこのようにトンデモ列車が走る事になったのですが、勿論時の社会情勢により、遠方からの来訪者もそこそこになく。撮影に繰り出していたのは主に大阪方面・京都方面の鉄道ファンの一部だけでした。
「こんなん走ったら沿線ヤバいで」
とは裏腹に、粛々とした大御所の大活躍でしたが、それでも一部の駅では何人かの鉄道ファンを発見し、その注目度を感じるのでした…
 ある意味、もう二度と走ってほしくない列車ですが良い社会情勢の記録にもなったと今では感じています。
 大学とは疎遠になっている状況だったので、隙を見つけては何本も撮影していたこの代走特急たちの活躍は、今でも色褪せません。

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