Turn.21『家族の記憶』
今回も阪急です。
車両は、知る人ぞ知るレアな車両。
ある意味で助っ人的な存在ではありますが、この車両を狙う為に朝の神戸線に何回も通いました。
朝の神戸線…
それがピタリと浮かんだ方、その話です。
今回の車両は、8200系。
阪急の中でも異端中の異端な車両で、扉にはワイドドアを採用し、かつては座席収納機構を搭載して朝ラッシュ時には乗客をとにかく詰める事に全力を振り切った電車でした。
かつては夕方ラッシュ時にも活躍をしていましたが、それに関しては阪急の須磨浦公園乗り入れ時代…と滅茶苦茶に遡るので、その話はしない事にします。
さて、そんな『時間限定』の助っ人、8200系。
そんな電車にはじめて出会ったのは高校1年生の時期でした。
まだまだ暑い夏。
丁度この7月くらいでして、この時は通っていた高校を家族を失った忌引き休みで1日欠席しました。
忌引き休みといえば、告別式の翌日…なので(大概は)、やはり
「こんな日くらい故人を偲んで家に居てやれよ」
と感じるかもですが、自分の中ではやはり『学校』という束縛された環境がどれ程辛かったのでしょうか。
忌引き休み=合法的な自分専用休日
と勘違いしたかのように外へ行き、当然のように阪急電車の撮影に参じました。
この忌引き休みを利用し、朝限定となっていた8200系の撮影に挑んだのです。
時間は朝の限られた列車のみ。
但し、時間は非常に簡単で
『10両運用の梅田側に連結』
との事でしたので、手始めに10両編成の列車を調べて向かいました。
で、撮影できたのがコレ…という。
8200系の特徴である、
・シングルアームの前パンタグラフ
・電照式の車両番号
が見えた瞬間に
「あぁ!!やっと出会えた…」
と感動が収まらなかったのは今でも忘れていません。
この時は西宮北口ないし神戸三宮での解放があったので、途中に芦屋川や御影に行けば2両で神戸線を走るシュールな姿を見れました。
しかし、その時の写真は何処へ…
但し、幾つかの写真を手繰っていくと
『後ろ2両は神戸三宮まで』
の表記を記した方向幕を掲揚して走る8200系の写真も幾つか確認できました。
そちらに関しては別の話題にして掲載していきます。
失った家族には申し訳ない…にしても、
きっと天国に向かう道中の中で
「これもお前らしい過ごし方だなぁ」
と笑っていたのでしょうか。
なんだろうなぁ。
複雑な1日だったのは今でもぼんやり思い出します。
乗車して、8200系でしか聴けない東芝の特殊なGTO-VVVFインバータを聞いた瞬間の感動とか、もうそれは今でも。
自分にとっては形容し難い日の話でした。
もうこんな思い、阪急を撮影していてしないんだろうなぁ。
夏になると触れる、我が家の片鱗なのでした。