育休中に働いた場合の影響について
はじめに
近年、男性の育休も少しづつ増えてきたり、在宅勤務の普及などの影響もあり育休中での就労についての相談も増えてきました。
会社側が気になる点
・育休中にそもそも働かせても良いのか
本人が気になる点
・現在支給されている育児休業給付金には影響がないのか
・現在免除されている社会保険料には影響がないのか
このあたりが気になる点かと思いますので、今回はポイントを絞って書いていきたいと思います。
育休中に働かせても良いのか
育休中の労働については、会社側から強制的に働かせることは当然NGです。
そのため会社からの依頼に対しては必ず本人の同意をもらうようにしましょう。
またあくまでも一時的・臨時的な労働が前提になりますので例えば曜日や時間を固定するなどは職場復帰とみなされますのご注意ください。
育児休業給付金への影響
満額支給される前提条件
・月10日(10日を超える場合は80時間)以下
・支給される額は休業前の10%程度にする
まず月で10日(10日を超える場合は80時間)を超えてしまうと、その時点で育児休業給付金がその期間は支給されなくなります。
ではどの期間で判断するかというと、支給単位期間ごとになります。
例えば育児休業開始日が11/20だった場合は11/20-12/19が1つ目の期間となり、ここから1ヶ月ごと区切った期間が支給単位期間です。
また育児休業給付金の計算式は賃金月額×67%です。
※賃金月額は原則、育児休業開始前の6ヶ月分の賃金を180で割って30をかけたもの
※6ヶ月経過後は67%→50%
育児休業給付金と実際に働いて支給される額を足して賃金月額の80%までは満額支給、80%を超えると調整となります。
また実際に働いて支給される額が賃金月額の80%以上の場合は支給がされません。
具体例な例でみていきましょう
育休開始日:2020年12月15日
休業開始前が基本給30万 交通費や残業なしの場合
育児休業給付金の額:賃金月額30万×67%で20万1千円
支払われる額が3万円の場合:13%までなので変わらず満額支給
支払われる額が6万円の場合:賃金月額30万×80%-6万円=18万
支払われる額が24万円の場合:賃金月額の80%なので給付金は支給されない
また少しややこしいですが、もらう額というのは支給単位期間中に支払われた額となります。
例:月末締めの翌月25日払いの場合
12月15日から12月31日までに働いた分=1月25日に払われる
支給単位期間①:12/15-1/14
支給単位期間②:1/15-2/14
1月25日の給与をもらうのは②の期間中となるため、支給申請書では②の期間に支払われた額を記載する。
ただし働いた日数や時間数については①の期間に記載します。
また育児休業給付金については上限額というものがあります。
2021年1月時点では賃金月額の上限は456,300円となります。
つまりは月給が50万の方については以下の計算式になります。
育児休業給付金の額:賃金月額456,300円×67%で305,721円
そうなると一時就労して満額支給をもらうには元の月給50万の13%ではなく456,300円の13%となります。
そのため前述の満額もらう前提条件には休業前の月給の10%程度と記載しました。※ただし半年を超えた場合は67%が50%になるので、もう少し働いてもらう額の幅は広がります。
社会保険料の免除への影響
・一時的、臨時的な業務であること
・曜日や時間固定はNG
最初の方でも記載したように、職場復帰とは異なり育休中の就労はあくまでも一時的・臨時的であることが前提です。
以下厚生労働省に記載がある例示となります。
引用元:『育児休業中の就労について』
雇用保険の育児休業給付金のような時間数や支給額の定めは特段ありませんが例示を見てもわかるように、突発的な事象や、その人しか対応できないなど割と緊急的な状況を想定していることがわかります。
さいごに
今回は育休中に就労した場合の影響について書かせて頂きました。
スタートアップでも人数が増えていく中で初めて社内で育休を取得する方が出た時などはバタバタすることも多いかと思います。
その中でその人しかできないような事象があった場合、会社側も本人にお願いしていいものなのか、また本人も働くのは良いけど給付金とかに影響がないのか、など心配されるケースもあるかと思いますので、その際にこちらの記事がお役に立てれば幸いです。
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