メディカル・インサイトVol.1 『医療の未来を創るため「目利き」する』
医療現場を「支える人たち」の信念に迫る「メディカル・インサイト」。
今回はクリニックのDX化・IT化の無料相談サービス『目利き医ノ助』の事業責任者・松岡 敬介さんにインタビューしました。
医療機関を支援する今までにないサービス『目利き医ノ助』を立ち上げた想いにも迫ります。
Q1.電子カルテの販売シェアNo.1の御社からみた「医療業界の課題」はなんですか?
松岡:当社は創業58年目を迎え、医事・電子カルテシステムの販売は40年以上行ってきました。今まさに感じている課題は「DX化・IT化」です。
医療機関で働かれている方々は、とにかく「多忙」なのです。
医師だけでなく、看護師さんや事務の方まで、みなさんもれなく忙しくされています。
それが院長先生ともなると、医師と経営者を兼務されていますから「超多忙」です。
原因は「高齢化社会」「慢性疾患患者の増加」「医療従事者不足」など、たくさんの理由があります。
対策として、各医療機関は「業務の効率化」を進めています。
厚生労働省としても「医療DX令和ビジョン2030」という方針を打ち出し、2030年までに電子カルテの導入率100%を目指しています。
この対策が実行できれば良いのですが、医療現場では上手く進んでいないのが現状です。理由は大きく2つあります。
1.業務の効率化をするために必要な「データ」がない
日本はながらく「紙のカルテ」が主流でしたから、電子カルテが普及してきたのは割と最近のことです。電子カルテは、様々なシステムと連携させることで「データ」を集めることが可能です。
例えば「WEB予約システム」「WEB問診システム」や「会計システム」などと連携することができます。
業務を効率化させるためには、非効率な業務を数値化して、改善することで「どれだけ短縮できるか」が重要なわけですが、エビデンスとなるデータ(数字)がないと、憶測で業務改善をすることになり、正しい「原因」にアプローチすることができません。また、どれだけ改善できたのかも見えなくなり、効果がみえないと形骸化しています。
2.新しいものに抵抗を感じやすい風土がある
医療業界では、DX化やIT化をする際に、新しいモノ、革新的なモノを敬遠する傾向が強いです。その敬遠を緩和するためにも、前述した数値化や見える化が必要といえます。
またクリニックを開業する場合、外部コンサルが入ることが一般的です。
しかし、この無形サービス「コンサルティング」に抵抗感を持つ方が増えています。これはもしかしたら医療業界だけでなく、日本人の特性なのかも知れません。
ではどうしているかというと、現在はネット上の記事やSNS、「医師だけのコミュニティ」がありますので、そこで情報交換がを行う医師が増えています。
一方で親しい医師や先輩からの助言でシステムを選ぶケースも従来通り多いです。しかし、あるクリニックに適合したシステムが、別のクリニックで適合するとは限りません。
それは、
・患者層の特性
・スタッフのITリテラシー
・既存医療機器やシステムとの連携
・地域特性
・院内導線
・将来の拡張性
がクリニックによって様々であるためです。
システムを導入してから「失敗した」とならないためにも、俯瞰した現状把握と最適なシステム選びが必要だと考えています。
Q2.『目利き医ノ助』立ち上げの想いを教えてください
松岡:これまでお話してきた通り、医療業界にはIT化・DX化に対していくつか課題がありました。そうした「ミスマッチ」は医療機関にも、患者さんにも、システムを販売した会社にもデメリットが大きいです。
大事なのは、医療機関ごとに最適なシステム・サービスを『目利き』することだと考えました。それが『目利き医ノ助』というサービスです。
『目利き医ノ助』は、無料でIT化・DX化のご相談に乗るサービスです。
医療機関にヒアリングを実施して、課題解決に最適な業者を複数ご紹介いたします。
このサービスを壁打ちのように使っていただき、最適なシステムを選定する一助になればと願っています。
そして私どもの存在が、医療機関や医師だけでなく、システム販売会社にもメリットになり、ひいては患者さんのメリットとなればいいなと考えています。
それが『目利き医ノ助』というサービスの立ち上げ込めた私たちの想いです。
Q3.なぜ医療機関は「無料」でこのサービスを利用できるのですか?
松岡:よく聞かれる質問です。
まず、当社がご相談いただいたクリニックの状況を正確に把握し、ニーズにあわせて事前に『目利き』した親和性の高い販売業者をピックアップし、その中から複数社をご紹介します。
当社がマッチングを行うわけですが、その中から成約に至った場合に、当社はそのシステム販売会社から手数料をいただく仕組みです。
このサービスを開始してからちょうど2年が経ちますが、多くの医療機関と販売会社をマッチングしてきました。
この販売会社については、事前に弊社が面談やサービス説明を受け、目利きしており、現在は約100社を紹介可能です。
Q4.『目利き医ノ助』の今後の展望を教えてください
中長期の展望としては、医療業界のDX化・業務効率化の基本的なプラットフォームにできたらいいと考えています。
また、政府は2030年までに電子カルテの普及率を100%にするとしています。
その目標に向け、電子カルテ化をまだ導入されていない医療機関に、正しいシステム選択をしてもらえるよう支援することが『目利き医ノ助』の目標です。
さまざまお話してきましたが、私たちは『目利き医ノ助』が医療機関のIT化・DX化について1件でも多く「正しい選択」をする一助になればと考えています。
日進月歩の膨大な情報を整理し、多忙な医師に代わって私たちがサービスの「目利き」をします。
それは結果として、医療機関・患者さん・販売会社みんなのメリットとなり、医療業界やそこに関わる全ての人に貢献できると信じています。
<編集後記・スクラムエディター>
今回は『目利き医ノ助』事業責任者の松岡さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
医療機関と販売業者さんのマッチングは本当に革新的だと思いました。
業界の問題の一つに「営業電話」があります。
販売業者さんは自社製品を普及していくために、営業担当者が日々医療機関にアポイントをとる活動をされています。
様々な手法がありますが、直接電話をすることが一般的です。
この「営業電話」が医療機関では大きな負担になっています。
その電話番号は、基本的に患者さんが問い合わせるための番号ですので、医療機関の受付の方も疲弊してしまいますし、場合によっては、緊急性の高い患者さんの妨げになってしまいます。
「医療業界に貢献したくて仕事をしていたはずが、医療機関の負担になってしまう」こんなことが起こっています。
もちろん販売業者さんも仕事ですので、悪意があるわけではありません。
問題なのは「他のマッチング方法がない」ということです。
『目利き医ノ助』は、事前に販売業者のサービス内容や理念を精査してくれて、医療機関がDX化・IT化したいと考えたとき(ニーズが発生した際)に、マッチングを「無料」でしてくれるので、医療機関としてはこんなに嬉しいことはないですよね。
販売業者としては、受注した際に手数料はかかりますが、既にニーズが発生している医療機関にアプローチできることで、営業の無駄打ちがなくなり、営業に係るさまざまな経費を削減することができます。
何より、貢献したいはずの医療機関に対して負担をかけることがなくなる点が最大のメリットといえます。
まさに、医療機関・販売会社・患者さんに「三方よし」になっていると、感銘を受けました。
<目利き医ノ助サービスサイト>
<目利き医ノ助noteアカウント>
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@Scrum Editor
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