ニホンヤモリで気になった外来種の分類
ニホンヤモリの外来種判明により界隈が盛り上がっていますが、人によって外来種の意味が違って混乱することがあります。せっかくの機会なので、外来種として扱われるだろう種の分類を調べてみたいと思います。
ここでは以下の分類を紹介します。
外来生物法による分類
植物の帰化時期による分類
外来生物法による分類
外来生物法(e-Gov)による分類はニュースでよく使われる最も有名な分類だと思います。生物は以下の通り分類されます。
在来生物
外来生物
特定外来生物
未判定外来生物
それ以外の外来生物
それぞれの定義は以下の通りです。いずれもe-Govの文章を改変しています。正確な定義は法律を確認してください。なお、「それ以外の外来生物」は条文には現れない用語であり、「その他」を想定しています。
在来生物:日本に本来の生息地を有する生物。
外来生物:海外から日本に導入されることで本来の生息地や生育地外に存在する生物(その生物の交雑で生じた生物を含む)。
特定外来生物:在来生物と性質が異なることで生態系等に被害を及ぼし/及ぼすおそれがあるとして政令で定める外来生物(条件付きで卵や種子、器官を含む)。
未判定外来生物:在来生物と性質が異なることで生態系等に被害を及ぼすおそれの疑われる外来生物として主務省令で定める生物。
植物の帰化時期による分類
『雑草はなぜそこに生えているのか』(稲垣 栄洋、ちくまプリマー新書、2018年)で学んだ植物の帰化時期による分類です。生物は以下の通り分類されます。日常用語としての帰化植物は新帰化植物とされています。
在来種
帰化植物
史前帰化植物:有史以前に帰化した植物。
旧帰化植物:江戸時代末期未満に帰化した植物。
新帰化植物:日本が開国した江戸時代末期~明治以降に帰化した植物。
史前帰化植物にはハコベやツユクサのように在来種と思いがちな種も含まれるそうです。
余談
帰化植物に対して帰化動物という用語はあまり使われず、ネット検索した限りは有名な分類は見つかりませんでした。正確性は別としてWikipedia日本語版の「歴史時代」によると3世紀中頃が先史と有史の境目だそうです。西暦250年と考えると先史は1772年前です。
植物の定義だと史前帰化植物が先史以前の帰化なので、動物の定義もそれに倣えば約3000年前に帰化したとされるニホンヤモリは「史前帰化動物」になります。帰化した年代は大きく異なりますが、その意味ではヒト、イヌ、ニホンヤモリは「史前帰化動物」仲間です。
ニホンヤモリは外来種。同時に「史前帰化動物」仲間。そう考えると特定外来生物を想像しがちな外来種のイメージがちょっとだけ和らぐ気がします。