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言葉に踊らされないこと

SNSが日常だけでなく、仕事にも活用されるようになって久しい。当たり前に使う中で、タグという言葉のクリップと、ファボという瞬間風速的なバズりに社会全体が熱狂している。でも、そこから生まれるものは小粒ばかり…なぜだろう?

1、言葉を簡単に使うこと

よく聞くものに、マーケティング界隈や人事周りで「グロース」という言葉がある。

「このプロジェクトをグロースして…」とかいう使われ方をしている。日本語の「成長」と意味が違うのだろうか。いや、日本語には「拡大」という言葉もある。あるいは「拡張」という言葉だってある。

漢字は表意文字であり、その字に意味が含まれていて、情報が短く無駄なく伝わる。でも、先程の「グロース」には、これらすべての意味が含まれているように思う。

「成長」なら、物事が「発達」する意味をもつが、「拡大」ならその広がるものは「量の概念」であるし、「拡張」であれば、「範囲」という「質の概念」を伴う。これらを使い分けずに、「グロース」というだけで相互理解やコミュニケーションができるのなら、世の中みな天才なんだろうと思う。

まさかとは思うが、意味をわからずに使っている人なんていませんよねぇ?

2、「売上」より「経費」、PLよりBS

経営を語るのに、「売上規模」で語る人がいる。特に、Instagramなどで、お金を見せびらかしている人ほど「年商いくら」などという。

確かに売上はそれだけ稼ぐ能力を語る上で大切だろう。でも経費を使いすぎたり、利益が得られても、キャッシュフローが回らなければ、黒字倒産だってする。大事なのは「売上」よりも「利益」であり、その利益を出すのは「経費」の使い方次第である。

だから、実務に長けている経営者ほど「経費」をいつ、どうやって、何に支払うか、をずっと考えている。商売の基本は「経費が先」である。物を仕入れたり、人を雇ったり、そうやって「先に払うことで」売るものは得られる訳である。

だから、PL(損益計算書)よりもBS(貸借対照表)を気にする。それは、BS(貸借対照表)とは、右側に入ってきたお金が借入もしくは資本としてどこからきたかがわかり、そして、左側の勘定項目に、資産として変わっていくからである。つまり、会社がどの方向にむかっているかが、BSからひと目で分かるということなのだ。

3、「無知」を自覚すること

世の中は、すべての時間を費やしても、学びきれないほどのものと体験にあふれている。だからこそ、誰かが体験したことを効率的に得る方法として、読書や人と合うことが有効なのであり、そして、自ら体験することで、感覚すべてを研ぎ澄まし、全身で身を持って深く理解をする。

そうやって、知り得たことがつながるとき、はじめて「ひらめき」というものが降りてくる。

すべての物事が効率的に無駄なくできるわけじゃない。あのとき回り道や無駄と思えることが、あとからつながることはよくある。だからこそ、予定調和や、同じ仲間だけでなく、意図して偶然やエラーとも思える出会いやムダをどんどんするべきなのだ。

そうやって、いつもと違う視点から見ることで、知らなかったこと、すなわち「無知」を知ることができる。

4,狂乱の起業ブームは周期がある

僕自身が学生のころは、ベンチャーブームだった。六本木のベルファーレ(今は廃止)というディスコに、学生を集めて、当時イケイケだったIT業界の黎明期に、だれもが一角千金やシリコンバレードリームを真似て、当時渋谷でベンチャーが増えていたこともあり「ビットバレー(渋谷の「渋」の字からそう呼ばれていた)」と呼称され、狂乱していた。

あれから、どれほどの起業した企業が、この世の中に残っているだろう。存在し続けているだろう。今のスタートアップブームがまさにそれに近い風景に見えて仕方がない。

あの当時だって、新しい「カタカナ語」が流行し、それを口ずさむことで、何か時代の最先端に入ることのできたイニシエーション(儀式)のような感覚があった。それに近いのが昨今のスタートアップ界隈であり、同じ空気感を感じるのだ。

よく考えられなければ、スグに真似される。
深く根を降ろさなければ、吹き飛ばされるかスグ抜かれる。

小粒のような起業、単なる単体事業ほどの事柄で、起業することが果たしてこの世の中を変革し、幸せをもたらし、最終的には投資家を喜ばせるリターンを得ることができるのか。全く金の匂いがしない。

まずはやってみたいという行動力は評価する。でも、行動の次にすぐ「考え」が問われる時期が早々に来る。だから、深く考え、早く行動し、また広く接していかねば、かつてのベンチャーであり、スタートアップが、いまある既存の企業ほどに影響を与えることはむずかしい。

あ、それを昨今では「ソーシャルインパクト」というのか。

カタカナは、まだ僕には理解できない…。

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