2021年10月、スコットランド、グラスゴーで観たFontaines D.C./フォンティンズDCのライブ・レポートです。
こんにちは。そもそも音楽のせいでUKを留学先に決め、ライブを通じてソーシャルライフがほぼほぼ回っていたのに、パンデミックで音楽ライブが一切!消滅。買っていたライブのチケットは次々と延期され、推しのバンドたちが延期の際に追加日程を入れると、それまでお札のようにチケットを買って、いつの日か行ける日をひたすら待つ…という日々がすぎ18ー19ヶ月くらい? 9月くらいからキャンセルの心配もなくライブが催行されるようになりました。(注:スコットランドはイングランドと対策がちょっとだけ違うのです)9月にグラスゴーでティーンエイジ・ファンクラブを観たりしています。
ご存知の通り、英国は、ワクチン普及率が上がってからは、かなり大胆な緩和策を取り続けたまま、ぶっちぎりで進行しており、今も、感染者数と死者数が急増したとニュースを聞きながらこの投稿を書いているところです。並行して音楽配信サービスのせいで、なかなか音楽を作って売るだけではアーティストたちはお金にならないよ、というニュースも。
そんななか「イベント参加時にはワクチンパスポートの提示が必要!」というスコットランド政府からの発表があってすぐの10月19日(火)、グラスゴーのBarrowlandで、グラミー賞にまでノミネートされて国際的スターになってしまったアイルランド出身のバンド、フォンテインズDC/Fontaines D.Cを観に行きました。その時の様子を、スコットランドのコロナ対策的角度からレポートします。
チケットサイトからの”ライブ参加時の注意事項”メール
はい、Ticketmasterから以下のようなメールが送られてきました。(チケットサイトが違っても似たようなメールはきています)
会場入場時に必要なものが、1)ワクチンパスポート (18歳以下および医療上ワクチンを打てていない人を除く) 2)ライブのチケット(!)
当日にやってもらえると望ましいこと1)飲食とライブ中以外のマスク着用 2)Lateral Flow Test(→まだ無料提供してもらえる。PCRテストも感染の可能性がある場合は無料でできます)3)NHSのTrack and Traceチェックイン
なのですが、グラスゴーのバロランドでは必ず!NHSのチェックインを見せないと入れてもらえないです。
当日、会場到着…
(会場前に停まっている二階建てバスが、バンドのツアーバスです)
入場の列に並んでいる間に、こんな感じの↓Track and TraceチェックインのQRコードが貼りまくられているので、チェックインしてください。
対応機種は現段階で iOS 11 またはそれ以降/ Android 6.0 またはそれ以降。(チケットもですが、あらゆるアプリに対応しているスマホが基本条件かもしれないです・・・)
チェックインには名前と携帯番号、何人で入場するかをタイプして送信するだけです。なので1グループに1人がやれば大丈夫です。
実はこの10日前にマンチェスター・アカデミーで同じバンドを観ているのですが、その時も上記の注意がメールでありまして…。現地でも並んでいるときに「ワクチンパスポートのチェックとチェックインのチェックをするからみんな準備してー!」と叫ばれ、みんな慌てて準備したのに、入り口でまるで!!チェックされず、結局必要だったのはチケットだけだった…。今夏、里帰りから英国に戻った時の思い出が鮮やかに蘇る経験をしたので、チェックって言ってもどーせ・・・と思いきや、
ワクチンパスのチェック(ワクチンパスに記載されてるQRコードが正式かをチェックするセンサーみたいのを持ってた)、チェックインのチェック、セキュリティ・チェック(→空港とかでやるみたいのが置いてあります。ピーってなるとマニュアルでチェックされる)、そしてついにチケットのチェック!とエントランス前のかなり狭い中で、ちゃかちゃかとやってました。ここのスタッフの手際の良さは昔から変わらないのですが、他の会場が言うだけ言って終わりにしているところを、ものすごいスピードで実行。あ、もちろんみんなマスクしてます。
ですので、本当に準備しておいた方がいいと思います。ちなみに自分はLateral Flow TestもやってNHSにレポートもしといてます。メールとテキストで陰性のお知らせをもらえるので、バックアップとして…
多分、一番前のフェンスかぶりつきが、より感染予防?
もともとソロで行こうと友人と行こうと、一番前しか選択肢はないタイプなんですよ。前エリアって、中央前のモッシュエリアでなければ、開場と同時に入らなくても、余裕でフェンス位置取れるし、モッシュの影響も少ないです(例外アリ)。背が160cmあるかないかなので、後ろに行けば行くほど、人だかりしか見えない。前じゃないと意味がないんです。
なんですが。
パンデミックが起きてから最初に行ったライブは(→ティーンエイジ・ファンクラブ)「前は怖い。どうせ前は嫌がる友人たちと一緒に超後方で、客とステージとソーシャルディスタンスを保とう…」と超後ろにいたんですね。ところが始まるに近くなると、後方のスペース、ソーシャルディスタンスもクソもなくてですね。
(両手を高く上にあげてとった写真なので、自分の視線はうんと下)
みんな飲んで歌ってマスクとっちゃって、前も後ろも人だらけで。前も後ろもそんなに変わらないなら、前行った方が視界が確保されるだけずっといい…と前に行ったら以外とスペースがあってですね。ほらこんな感じで。
これ以降、入場後は迷わずいつも通り一番前へ向かうことにしてます。というわけで、今回のフォンティンズDC。
一番前なので前方に誰もいない。厳密にいうとマスクをした警備のおじさん一人と撮影カメラマン2−3人。後ろを向く必要はゼロ。バンドとの距離は2メートル以上(もっと近くていいですけど…)前に人の圧迫感がないと密!って感じがしないですね。
通常はカーリーくん側でグリアンくんから目が離せん病になるのですが、実は音的にカルロスくんのギターテクニックがこのバンドにハマった要素の一つだったので、一回くらいカルロスくん側から、と(笑
特に、Too Realでビール瓶使うところを間近で見たかったんですよ・・・
セットリスト
だいたい15−6曲でA Hero's Deathで始まり、1枚目2枚目から織り交ぜ、Living in America あたりくらいからウォームアップで、Hurricane Laughterで(客が)爆発、Too Real & Bigで破裂、Boys in the Better Landでほぼ燃え尽きそうになるのですが、最近アンコール的なものがありまして、Roy’s Tune とLiberty Belleでシメ。です。全曲、客が全員カラオケして踊りまくるっていう、まさにオアシスの1−2枚目現象みたいなやつです。
(グリアンくん&カーリーくんはマンチェスター・アカデミーでの写真をどうぞ)
「ニュー・ノーマル」なライブ、について考える
ライブ体験においてもお土地柄はありますよね。グラスゴーで体験する(特にバロランドの)ライブって、ここならではの「一体感」と「ライブってサイコーだぜ!の表現」があるんじゃないかと、この街のファンは思っています。
それが定番のチャンティングだったり、歌だったり、たまたま周囲にいる人々と久しぶりに会った旧友みたいに話しちゃう事だったり、90sバンドのライブになると、上手にセットリストに入ってない曲をリクエストで叫ぶ人が出没したり…みたいなことです。
ビールのシャワーに遭うとか、頭上を転がってくウエーブがあるとか、ハグとか握手とか互いの肩ポンポンとか、そーゆーやつも含めてです。
(↑パンデミック前のIDLES @グラスゴー、バロランドです)
今回のライブは9月からの3回のライブ体験(うち1回はマンチェスターですが、一番「あ、元に戻ってきた!」というものでした。多少ですが頭上をコロコロ転がっている人もいたし、ビールもかかってきた(注:ビールをかけて欲しいわけではない)。モッシュもあった。モッシュピットではないのに、すごい熱気で汗かきましたよ。10月後半の!スコットランドで!半袖なのに!暑くて汗かいたんですよ!
でもやっぱり、通常のはじけっぷりはこんなものではない、と感じてしまうのです。「元に戻ってきた!」で「元に戻った!」ではない。
正直いうと、パンデミック前もこんなもんだったかもしれない、のです。パンデミック前を懐かしむあまり、理想化されてしまって、現実と違う作り話が思い出になっているかもしれません。こう感じることを含めて「ニュー・ノーマル」のライブなのかもしれない、と思っています。
ただ、当分の間、この場で出会った人たちと意気投合してのハグはないし、握手もない。モッシュでたまたまぶつかる以外の接触は、ない。
バンドのメンバーがオーディエンスに飛び込んでくることは、ない。
ステージを降りてくることは、ない。
そして、感染者数爆上がり、死者爆上がりのニュースを耳にし、近日中に軽く倍になっちゃうよ、と保健大臣(?)Health Secretaryがちゃらっと言うの聞く。
パンデミックがもたらした密への恐怖と罪悪感を背負いながら、亡霊になったパンデミック前のライブに取り憑かれて、ライブに行くのがニュー・ノーマル。もちろん「ニュー」は次々と更新されるということも忘れないでおきたいと思います。