だれか人生の取捨選択について教えてほしい
「La La Land」は主人公ふたりが成功したから涙涙の良い話で終わったわけだけど、現実はどうだろう?夢のために大切な人を手放して、夢破れたら、一体手のひらにはなにが残るだろう?
そんな恐怖がチラリズムして、それでも私も「真冬のセーヌ川に飛び込みたい」と、ミアのオーディションを聞きながら滂沱の涙を流した深夜2時。
ミアとセバスチャン(セブ)の恋愛を軸に夢追い人としてのふたりを描くこの映画、どうも賛否は分かれたらしいけれど、私は惜しみない拍手を送りたい。
なにを貫き、なにを捨てるか?
「La La Land」は人生における取捨選択の話で、まさに私はその取捨選択をできずに揺れている。
*
もうすぐ25歳になる。18歳の頃に思い描いていた「恋も仕事も充実した結婚秒読みの25歳」とはだいぶ違うけれど、まあ今の私のことも最高に好きなので問題ない。ないのだけれど、なんだかずっと焦ってる。
18歳、高校を卒業する頃の私の夢はいわゆるワールドワイドなバリキャリの女性だった。
優秀有能で世間とも戦える、常に前進していく女性。素敵でスマートな恋人もいて、仕事の合間を縫ってはふたりで食事をしたり旅行をしたり…。いや、25歳ならもう同棲してるかも?仕事を続けながら28で結婚して、30に第一子出産。私の産休が明けたら旦那さんに育休を取ってもらって、一家の稼ぎ頭は選手交代。子が巣立った頃に、もう一度大学へ通い直すのも良いかもしれない。そうやって互いにキャリアも子育ても夢も諦めず協力して…。
なんていうのが理想。
現実は、まあ、バリキャリにはなった。ワールドワイドかは置いといて、海外経験もした。いろんな経験から私の生涯をかけた野望もぼんやりと輪郭を見せはじめた。
やりがいもあって社会的意義も大きい、そして私の野望実現への一歩になる、そんな今の仕事が大好きだし、"仕事が大好きでいる私”も大好き。”仕事に100%全力投球で頑張っている私”も大好き。
恋人に時間を割くより、私は私の野望を優先する。
その選択がいかに愚かでも。
それが25歳を目前にした今の私だ。
正直、とても気に入っている。
しかし、だ。仕事に100%全力投球してしまうと、驚くほどにプライベートがゼロになる。休みの日は溜まった洗濯物を片付け、掃除をして、明日からの食糧を買い出しに行ければとても良い方。下手したら映画を流してベッドに横になっていたら夜が更けてたりする。冷蔵庫の中は常にビールとキムチ、絹豆腐だけ。
はい、財布も時間も侘しい限界OLの出来上がり。
不満はない。うん、不満はないよ。
自分で選び取ってきた道を誇りに思う。
現状を飛び越えてもなお掴みたい野望も今は持っている。
けれど、たまにこれで良いのか?と不安になる。
友人や先輩たちから結婚式の招待状が届くたびに誰かが囁く。
「このまま仕事一本で生きて、いったいなにが残る?」
*
「La La Land」に話を戻そう。
ミアとセブは、最終的には互いに別れを告げ、それぞれに夢を叶える。ミアは女優に。セブはロスでジャズバーのオーナーに。
そしてIfの世界ではミアが女優として成功、セブはミアを支えながら奏者を続ける。結婚し、家をつくり、子が生まれ…。ミアとセブが少しでも自分の夢を譲歩していれば、あるいは有り得たかもしれない世界。
それでも、私はIfではなく現実のふたりの選択が好きだ。
ミアもセブも「真冬のセーヌ川に飛び込む人間」で、愛する人のために飛び込むことをやめられる人間ではなかった。これまで、真冬のセーヌ川に飛び込むことを諦めて愛する人を選ぶストーリーに全く共感できなかった私にとって、ひとつの救いだった。私も「真冬のセーヌ川に飛び込む人間」でありたいと心から思った。
同時に、これはあくまで成功した人間のお話だと思うと腹の底がヒヤリとした。
私も恋や家庭を手放し、仕事に邁進して成功をおさめ、独身貴族として悠々自適に暮らす。結婚はしない、子も産まない。憧れの都パリで美術館通いをする謎の独身マダムなんて素敵じゃない?そうやって一人気ままに楽しく暮らすのは、我ながら私好みな生活だと思う。
けれど、この生活の前提には仕事の成功と一定以上の収入がある。果たして私にそれを手に入れる力はあるのだろうか。
もしもなかったら?
想像すると恐怖の感情しか湧きあがらない。だってあまりに悲惨すぎる。家庭を諦めて、仕事に全てを捧げて、それでも”中途半端な自分"のまま一生を過ごす。大した功績もお金も、当然自分の人生への納得感もなく、「あのとき彼の手を取っていれば」「やっぱり仕事なんてほどほどにして家庭を選んでいれば」なんて後悔を抱えて。
…いや、きつすぎない?
*
なにを貫き、なにを捨てるか?
本当はそんな極端な生き方ではなく、バランスを取ってどちらも掴み取るやり方もあるのかも。けれど私にそんな器用さあるかしら。
取捨選択の仕方が分からず、うんうん唸っているのが今。25歳目前の私。
未来の私よ、どうか「こんなことに悩んでたの~」なんて笑って読み返してくれ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?