ヨーロッパ文化教養講座(2019年イタリア・フランス映画「オフィサー・アンド・スパイ」)
2023/06/04
個人的採点は、★★★
(★★★は、再び観たいとは思わないが、退屈せず、観ていた時間は楽しめた作品)
Filmarks: 3.6 (2,125レビュー)
1894年フランスのドレフュス事件を基にして書かれたイギリスの小説の映画化作品。
コメントと感想:
1.実際に起きた19世紀末の事件を題材にしているとのことだが、えん罪、証拠隠蔽、文書改ざん、改ざんした将校の自殺など、数年前の日本でも起きた事件との類似に愕然とする。
人間は何と進歩しない生き物だと暗澹たる気持ちになる。
2.エンディングは、フィクションのように、正義が100%勝つまではいかないが、何とかえん罪で投獄されたドレフュスが助かってほっとした。
3.正義の味方である、主人公のピカール中佐も、上司の妻と不倫していたりして、正義の味方=道徳的に正しいという構図でないところが、欧米の映画らしくて好ましい。(人間は原罪を持って生まれたというキリスト教の基本価値観によるものだと、小生は勝手に思った。)
4.権力側の軍隊が証拠隠滅を計ろうとするが、ゾラを筆頭にマスコミも力を合わせて糾弾するところが、外圧ではなく自国民の力で民主国になったフランスらしいと思った。
5.この事件の約半世紀前を舞台にした、「ラ・ミゼラブル」の悲惨な人権抑圧のシーンを思い出すと、この時代は人権意識が大幅に改善されたのかなと思った。
そうではなくて、ジャン・ヴァルジャンの階級と、ドレフュスやピカール中佐が属する階級が大きく違うからで、庶民に対してはまだ人権意識が低いままなのかもしれない。
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