ヨーロッパ文化教養講座(「ダウントン・アビー」)
2022/09/13
ダウントンアビーの主要登場人物で、1F(使用人)のトーマス・バロー(ロブ・ジェームズ=コリアー演)は、気品のある整った容姿で、貴族の館にぴったりの使用人である。特に女性の視聴者からの人気も高いそうだ。
でも、屈折した性格で、悪巧みが好きで、仲間からも嫌われている。その要因となっているのが、彼が、同性愛者だからだ。
2022年の今は、LGBTに関する話題もオープンに話されていて、NHKでは、杉咲花主演の「プリズム」という、ゲイとバイをテーマにしたドラマも放映されている。同性婚も日本でも、先ずは事実婚の一形態として、認められ始めている。
ところが、ダウントンアビーの時代のイギリスは、同性愛は違法で取り締まりの対象だったらしい。調べると、1885年に同性愛(男性)を禁止する法律ができたようだ。最初は、少女を対象にしていた、わいせつ禁止を少年も対象に拡大するときに、男性同士の性愛も対象に加えたらしい。
この法律は、1980年代まで続いたということに驚かされた。
そればかりでなく、今でも世界の約80カ国で同性愛が禁止されているとのこと。先進国シンガポールでも、未だに禁止法が有効だそうだ。(ただし、首相が、この法律を使って取り締まることはしないと名言しているそうだが)
ダウントンアビーの始まりは、タイタニック号が沈んだというニュースを電報で、クローリー伯爵家に伝えるシーンから始まる。このときは、貴族の館にも、電話すらなかったのだ。
それから、まだ100年ちょっとしか経っていない。2122年はどんな世の中になっているのだろうか?