ヨーロッパ文化教養講座(フランス映画「ベネデッタ」)
2023/11/16
17世紀イタリアの修道女ベネデッタの裁判記録(レズビアン容疑)を元にした、御年85才のポール・バーホーベン監督の最新作。
映像が重厚、物語の展開も予想しない方向へすすみ、面白い映画だった。
コメントと感想:
1.映像は非常にエロチック。それだけでも、心を乱される。
また、ベネデッタ役のビルジニー・エフィラが、イエス・キリストが乗り移ったときの、演技(と声 吹き替え?)が素晴らしい。
2.苛め、拷問、聖痕の血のしたたりなど、場面場面が痛みを強調してそれも刺激的。
3.それに加えて、主人公ベネデッタが、イエス・キリストとの接触によって、聖痕を得たのが事実なのかどうか、というサスペンスの要素もある。
4.また、当時の教会の支配層が、現在の悪徳政治家となんら変わりがないという点を容赦なく描き出し、ほとんど悪意を感じるほど。
一方では、一般大衆や支配層でない修道女の信仰は、純粋で真っ直ぐに描かれている。
クリスチャンとしては、人間は上に立てば立つほど、おごり高ぶり、天国から遠くなるのだということを思い知らされる映画だった。