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名詞の不可算・可算(単数・複数)⑥-7:単複同形名詞1(特殊な可算名詞:定番説明)
副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)
名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り版24
単複で混乱が生じる英語の名詞の深掘り、今回は学校英語でもお馴染みのはずの単複同形名詞。基本は名詞の不可算・可算(単数・複数)問題ですが、まずは定番説明をご紹介(次記事では独自の視点を加えて整理し直し)。英語の不可算U・可算C(単数S・複数P)の本質は何か、『英語の名詞は「数える・数えない」の2分類でシンプル』で済ませて良いのか、という視点も重要。
この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。
★これまでの検証内容(いずれも「単複混乱」がキーワード)
⑥-1:集合名詞
⑥-2:常時複数形1
⑥-3:pair複数形1(数え方)
⑥-4:常時複数形2(どう数える?)
⑥-5:pair複数形2(特殊な数え方)
⑥-6:常時複数形3(さらに特殊な数え方)
⑥-7:単複同形名詞1(特殊な可算名詞:定番説明)
1. 集合名詞とは?:集合名詞[collective nouns]の3型(定番説明)
2. 常時複数形名詞とは?: 「常に複数形の名詞」(「絶対複数」)
3. pair複数形とは?(通常は「常時複数形」の下位項目に分類):
「対に(2つの部分から)なっている衣類・道具(器具)」
「1つに見えても2つの構成要素が組み合わされてできているもの」
4. pair複数形の特殊な数え方:pairの片方だけをどう数える?
5. pair複数形以外の常時複数形:学問名など
6. 常時複数形の単数問題:単数形はある・ない? 必要ない? 1つはあり得ない?
「1つ」はどう数える?:単語それぞれ事情が別
7. 常時複数形のさらに特殊な数え方:
単数形が存在しない名詞で、"pair"も使わずに「1つ(単数)」をどう数える/表す?
◉ 英語ではなぜこんなに単複(可算不可算)の混乱が起こるのか?
◉『英語の名詞は「数える・数えない」のシンプルな2分類』定番説明は理想論
可算・不可算名詞2分類という理想 vs 単複変化しない常時複数形という現実
※一部は日本語でも難しい表現なので英語で難しくても当然、という視点も必要
★今回の⑥-7検証内容
❶ 単複同形名詞とは?:まずは定番分類&説明
❷ 単複同形名詞の使用上の注意
※今回の語群もそれなりに知名度が高いものですが、定番説明とは少し違う視点から見ていただけるようお手伝いできたら幸いです。
★単複同形名詞の定番分類&説明
①群れをなす生物(英文法解説改訂三版では「群居性の魚や動物」)
a. 魚・魚の名前
fish (魚), tuna (マグロ), salmon (サケ), carp (鯉), trout (マス)
数える時は、one fish, two fish, three fish, etc.
「魚・魚の名前」はほぼ単複同形、「魚の種類」の意味で複数形fishesも可能
fishは「魚肉」の意味なら不可算名詞(可算の場合と区別が困難)
b. 動物の名前(例外)(fishと異なり、animalは単複変化する可算名詞)
複数形なし:sheep (羊), deer (鹿), reindeer (トナカイ), moose (ヘラジカ)
数える時は、one sheep, two sheep, three sheep, etc.
複数形も可:bison(s) (野牛), buffalo(es) (水牛), elk(s) (ヘラジカ)
大多数は単複変化:cows, pigs, chickens, cats, dogs, birds, etc.
「群れをなす動物」なら必ず単複同形名詞とも言えず、基準が微妙
②語尾が-s/-esの名詞で発音が[s]や[z]で終わるもの
means (手段), series (連続), species (生物種), barracks (兵舎), corps (部隊)
③国民を意味する名詞で発音が[s]や[z]で終わるもの
Chinese, Japanese, Vietnamese, Sudanese, Senegalese,
Portuguese, Swiss
④外来語
②で挙げたcorps (部隊)はフランス語由来の外来語でもある
yen (円)も単複同形名詞:通貨単位(英語ではdenomination)なのでやや特殊
⑤語尾が-craftの名詞
aircraft, spacecraft, watercraft, hovercraft
よく単複同形の例として挙げられるようですが、単複変化する例も多く微妙
★軽く問題演習
問題1:"I like fish."の和訳を全て列挙
※不可算名詞なのか単複同形の可算名詞複数形なのか?
問題2:"the fish"の和訳を全て列挙
※可算不可算に加えて単複同形名詞という要素も加わり、さらに複雑に
問題3:"I like sheep."の和訳を全て列挙
問題4:"the sheep"の和訳を全て列挙
問題5:以下の2文を和訳(よく使われる決まり文句)
a. The end justifies the means.
b. It's just a means to an end.
さて、今回の単複同形名詞も「不可算可算の理想と現実」問題の典型例(可算・不可算名詞2分類という理想 vs 単複同形名詞は単複変化しなくても可算名詞という現実)。考えるべきポイントは「単数か複数か?」と「可算か不可算か?」。これが英語では大問題(日本語では何の問題も発生しないのに)。さらには、「単複変化しない単複同形名詞でも可算名詞で通用するなら、そもそも単複変化は必要? 他の可算名詞も単複変化しなくても問題ないのか?」。英語名詞の可算不可算&単複(英語の都合)と日本語名詞の違い、ご理解いただけたでしょうか。
いわゆる学校英語や学術英語で整理しきれていない部分を考えてもらうための教材、英語の「名詞の不可算・可算(単数・複数)の理想と現実」問題が少しでも伝われば幸いです。
授業ではちゃんと解説しますが、一般公開はここまで。あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。
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