
香りの形 おじさんの香りで学ぶ有機化合物の命名法
「香り」って面白いな~と最近思っていて、色々な香りの分子構造を紹介する「香りの形」シリーズを始めました。前回は「ツバキの香り」について書きました。https://note.com/science_with_art/n/n906bdbb373da
本日の香り
本日の香りは、学校で(?)、職場で、電車の中で出会うちょっと困った2つのニオイ「加齢臭」と「ミドル脂臭」。
おじさん(おばさん)になるとそこはかとなく漂ってしまうこれらのニオイを「香り」とは呼びません(呼べません…)。
しかし「ニオイ」も「香り」も正体は有機化合物の「分子」であることは同じ。その分子がヒトの鼻に入ったときの、快不快により「ニオイ」扱いされるか「香り」と呼んでもらえるか、だけの違いです。
よって、今日はあえてニオイを差別せず、化学的目線で眺め、有機化合物命名法を学びましょう。
下の「参考」に今回の記事を理解するための基礎知識があります。
加齢臭「ノネナール」の命名
加齢臭の原因物質は、ノネナール(2-ノネナール)という物質で、以下のような分子構造です。加齢臭は、中高年(50代以降~?)男性のものというイメージが強いですが、女性にも発生します。タイトル画には、代表してカワイイおじさんの絵をのせてしまいました。が、女性も気をつけます…

命名は、炭素数9(ノナ)、C=C二重結合1つ(ノネ)をもつアルデヒド(語尾が~al)なので、ノネナール。C=C二重結合の位置は、ホルミル基の炭素1番とすると、2番目と3番目の炭素の間にあるため、2-ノネナール。
ミドル脂臭「ジアセチル」の命名
30代~40代の男性には、加齢臭(2-ノネナール)とはまた違う特有のニオイがあります…。マンダムはこのニオイの原因物質は、乳酸から生じる「ジアセチル」であると特定、「ミドル脂臭」と名付けました。

以下の部分構造をアセチル基と言います。このアセチル基が2つくっついた形をしているので、ジアセチルといいます。

職場で、電車で、困ったニオイに出会ったら、このニオイ、どんな分子構造なんだろ?っと思いを馳せると楽しくなります。こんな構造だから、そんな名前なのねっと親近感がわきました。
前回は、資生堂のツバキの香りに関する研究論文を紹介しましたが、今回は、男性のニオイを真剣に研究するマンダムの記事を以下に紹介します。男性のニオイを真剣に研究するマンダムの記事は、一読の価値ありです!香りもニオイも有機化合物。化学的アプローチが不可欠です。
参考
