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【習慣を行うスイッチと報酬の特徴:ジャンケンで故意に負けられない理由】

習慣を作る上で、大切なのは“行動する時のスイッチを何にするか”と問題があります

「テレビを観る前に筋トレする」

「仕事から帰ってきたら資格勉強する」など

ただ筋トレや勉強を目標とするより、何かスイッチを置いたほうが格段に習慣化する可能性が高まります(if-then)

そのスイッチの例として、前回「人」前々回「時間」を紹介してきました

※参考記事

※参考記事

https://note.com/preview/nab833c0c2195?prev_access_key=0cdba2230261041d8e7b0f12c58f5be1

これらのスイッチは無限にあります

季節をスイッチにしたり、モノにしたり、感情でも構いません

自分のやりやすいものをスイッチにすればいいだけです


例えば…
車に毎日乗る人なら、踏切のランプ点灯やカンカンという音がスイッチになり、ほぼ無意識で横断を辞めブレーキを踏み続ける


このように周囲には沢山のスイッチがあり
今回はこのスイッチがどのようなものか特徴を書いていきます

そもそも人は“注意の引くものに意識を向けます

「当たり前だろ!」

と言われそうですが、当たり前レベルの事しか最初は習慣化出来ないので、このレベルの話をしていきます

喉が渇けば冷たい飲み物を探し、飲み物を飲んでいる人がやたらと目に付く

以前話した、報酬予測誤差(予測とは違った報酬)はやたらと神経系が反応してドーパミン信号を発信する

この神経化学物質が状況と反応を頭の中で結びつけ、習慣が形成されて記憶される

※参考記事

同時にドーパミンは、自分が注意を向ける矛先にも誘導させる働きがあり、過去に得た報酬の合図に確実に反応させようとしてきます

この合図で活動をはじめた神経系は、すぐさま信号を送って反応に影響を及ぼしています

意識を向ける対象を決める前に習慣が出す合図に気がつくのはそのためです

※参考文献

習慣が発動する合図は、日常のさまざまな要素を抑えて何よりも早く注意を向けさせます

過去に報酬をもたらした合図に注意が向きやすいことを示した研究があります

※参考文献

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1104047108

この研究では、学生にパソコンの画面に“緑と赤の◯が映ったらキーボードを押す”と言うもの

ただ少し捻ってあって、◯の中に“一(横棒)”か“ I (縦棒)”が描かれてあり、その向きに合わせて、キーボードの横キーと縦キーを押し分けてもらう内容となっている


脳内ではまず
さまざまな色の◯から緑と赤を探す→◯の中の棒の向きを確認→キーボードを押す
となる


学生に習慣化させるため、“240回”という繰り返しと、正解すると“10セント”という報酬を付けた


すると
十分に習慣化され、どんどん正答スピードが上がっていきました

さぁここからがこの研究の本番で

上記研究から8日後に、今度は“色は関係なく、沢山現れる◯の中から、△など違う形を見つけてキーボードを押す”というタスクを課しました

すると学生たちは極端に反応スピードが落ちて、学生本人たちも「◯が気になる」「赤の◯に注意を奪われる」と答えていました


ジャンケンで「故意に負けられない」のも同じですよね

8日前に行われた習慣化すら、抜けないのに、小さい頃から行ってきたジャンケンの習慣がそう簡単に抜けるはずがない


この研究は同じ先生が追加研究をしてくれていて

※参考文献

“背景が森で緑の◯ならキーを押す”

“背景が都市で赤の◯ならキーを押す”

に切り替えて、正解なら報酬を出した

次に色の付いた◯に関係なく、背景に合わせてキーを押してもらった

すると被験者たちは、正答に◯は関係ないにも関わらず「背景が森だと緑の◯だと一度目がいってしまう」「背景が都市だと赤の◯に目がいってしまう」と答えていました


ここで面白いのが、「報酬がないとこの効果がほぼ現れなかった」ということ

研究者曰く、この研究背景に原因があり

研究のような私生活には何の特もない無意味行為(キーを押す)は“徹底的に制御された環境下では報酬が凄い効果を発揮する”

逆に“制御された環境下なのに報酬が無いと効果がない”と言っています

しかし私生活では、健康の為にダイエットや将来楽しむために貯金など、研究とは違って意味がある行為が多く存在します

そのような時は「報酬」と「スイッチ」を確立することで、強い習慣化が形成されていくそうだ

重要なのは
この報酬は、直接的な「お金を貰う」でなくても習慣化されるところ

例えば
よく高い買い物をしてくれる上得意客がオフィスにいれば、たちまちその顧客に注意が向き、オフィスに他に誰が居るかなんて気にせず、顧客に挨拶に行くだろう

人は特定の“何か”を使うことで何度も報酬を得れば、その“何か”は自動的に注意を引くようになる

この仕組みのお陰で人は有益な行動を取り続ける(習慣化)ことが可能となってくる








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しげ@学生時代の落ちこぼれを引きずる30代パパ
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