【忖度なしの美容成分調査:トラネキサム酸編】
※※トレンドやブランドは一切気にせず、第三機関の質の良い研究や複数の論文を参考に書いていきます※※
過去にも【化粧水・美容液・乳液・洗顔・日焼け止め:科学的にオススメシリーズ】というのも、ざっくり紹介したんですが…
※参考記事
「結局、美容成分の何が効果あって何がプラセボなの?」という意見が、学校の生徒やら職場やら色んなところから相談受けるので、noteでも書いてみようと思います
今回は《トラネキサム酸》について
トラネキサム酸は美容好きなら、だいたいの人が知っている成分ですが、これは人工合成されたアミノ酸の一種でリジンの誘導体です(基本的には止血剤や抗炎症剤として、外傷治療として使われていた)
つまり
外傷治療などには一定の効果は期待できるのは確かです
スキンケアに使われだしたのは結構最近の話で、錠剤やクリーム、美容液などで使われていますね
主に色素沈着(肝斑(かんぱん))に使用されますが、
そもそも肝斑のメカニズム自体が不明確なので、トラネキサム酸が効くとは言い切れない状態ですね
じゃあ何でトラネキサム酸が肝斑に効くって言われるようになったかと言うと…
①色素を作り出すメラノサイトと角質細胞がやり取りするのをブロックする
②紫外線に反応して色素を生み出す炎症メディエーターを減らす
(炎症メディエーター:体内で炎症反応を起こしたり維持したりする内因性の物質の総称)
という理論だそうです
調べてみると、レビュー論文も一応出ていて
※参考文献
結果としては、トラネキサム酸を錠剤で飲むのは、肝斑の効果があるそうです
ですがこの研究では1日250〜1500mgを8〜12週間飲んでも副作用はほぼ無かったものの、血栓リスクは高めるそう
ただ、美容分野ではまだまだ新しい薬なので、今後色々研究されてからのが良いかと思います
肝斑はシミに似ていますが、トラネキサム酸は面白いことに他のタイプの色素沈着には効果がないんです
※参考文献
2012年の研究では、そばかすや加齢によるシミにはほぼ効果が無い
と出ていたり
※参考文献
トラネキサム酸を内服&外用薬併用した研究では、逆に皮膚が黒づむ現象が起きたそうです
なので、肝斑以外には使わない方がいいかと思います
トラネキサム酸外用薬に限った研究を見てみても、やはり肝斑以外には効果無さそうです
※参考文献
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/ced.14115
この研究では、3〜5%のトラネキサム酸は、ハイドロキノン2〜4%と同じくらい効果があり、副作用も少ないとあります
つまり
トラネキサム酸は、現段階では肝斑には内服、外用薬どちらも効果はありそうです
しかし、他の色素沈着には意味がないので、結局皮膚科に行って何の色素沈着なのかしっかり確認が必要そうですね