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【極寒は睡眠改善薬になるのか?:睡眠と体温】

最近発表された研究で
人間は「-90 °Cの超低温」にさらされると睡眠の質が向上するという興味深いものがありました

※参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0011224024001032

研究では、毎日 5 分間、冷凍室で-90 °C (-130 °F)の冷気にさらされた人は、気分の改善や不安の減少が起こり、徐波睡眠時間が延長されるなど睡眠が改善があったそうです

実際に今までの睡眠研究でも、体温と睡眠には深い関係があるとは言われてきました

運動や食事などの行動によって体温を適切に調整することで、入眠を促したり睡眠の質を向上させることができます

【運動と体温の関係】
 運動は体温を上昇させ、その後の体温低下が入眠を促すと考えられています

具体的には、起床直後午後5時中強度の有酸素運動(ウォーキングなど)を行うと、慢性的な不眠症に良いと言われています
また、この運動により睡眠時間の増加や睡眠の質向上も確認させています

※参考文献

体温とは関係なく、運動により体内のpHを下げ、アデノシンの増加を誘発させる事も確認されています
(※アデノシンは適度にモチベーションを下げて身体を過度の活動から守るための物質で、疲れを知らせてくれる物質でもあるため眠気も誘発する)

※参考文献


【食事と体温】
寝る直前の食事は、体内が積極的に消化活動を行うために体温が上昇し、それが睡眠を妨げる要因になることがあります

そのため、食事は寝る3時間前までに済ませると良いと言われています


【シャワーと体温】
この種類の研究は多く行われていて、過去の研究を5,322件の調査をまとめると

寝る前の1〜2時間前に40〜43℃が良いそうです

熱いお湯が体内温度調節システムを刺激して、全身に血液がまわり、シャワー後は手足末端部の放熱効果(眠る前に赤ちゃんの手足が熱くなるやつ)で体温が冷める
しかし、深部体温(触って感じる皮下温度ではなく脳や内臓の温度)が下がるまで90分かかる事を忘れてはいけない

※参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1087079218301552

【サプリと体温】
グリシンは体内で1日45g生成されるアミノ酸なんですが
グリシン受容体を通し、抑制性神経伝達物質として作用したり、体温を低下させたり、血管拡張を増加させることで睡眠改善になると言われてます

下記研究では、健康な被験者にグリシンを摂取させる事で、睡眠の質改善と、深い睡眠に早く入ったっていう事も言われています

※参考文献

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1479-8425.2007.00262.x

ただ、血液脳関門(脳に余計なモノが入らないようにする門番)をグリシンが通過するには、3グラム摂取が必要かと思われます

※参考文献


今回の研究により
結構安易に睡眠薬を手に入れられる時代ですが、薬を使わず睡眠が改善するかもしれないですよね

料理の修業時代に築地の大型冷凍庫によく出入りしてたけれど、仕事の睡眠不足があれで改善していたら嬉しいなぁ

慢性睡眠不足と脳の萎縮の関係性が今でも悔やまれる……

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しげ@学生時代の落ちこぼれを引きずる30代パパ
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