【理念】科学の現場を"みせる"ことでわたしたちが作りたい社会
こんにちは。SELです。今回はSELの理念についてお話します。
SELが掲げる理念
私たちは理念として、次のようなVision・Mission・Valueを掲げています。
Vision(企業や組織・未来・社会の理想像)
科学の基礎研究が応援される社会を草の根から作る
Mission(チームの存在意義・実現したい中心的な目的)
社会と市民を科学でつなぐ
Value(ミッションを実現するために大切にする価値観やスタンス)
科学コミュニケーションは巻きコミュニケーション
科学の現場をみせる
それぞれの意味と理念にこめた思いをお話させてください。
科学が応援される社会をつくりたい
SELのはじまりは、大学院で研究に携わっていた学生たちが立ちあげた学生団体でした。歴代のメンバーも、現在活動するメンバーも専攻する分野や研究テーマはさまざまです。その中には「基礎研究」と呼ばれるテーマに取り組むメンバーも多数います。
基礎研究は、さまざまな現象や物事の原理を解き明かしたり、まだ明かされていない自然や科学の根本的な問いを追求したりする研究活動のことを指します。これら基礎研究の成果は短時間で実用的な技術や製品に結び付くものではありません。「この研究がこの先なにの役に立つのか、どのように自分たちに還元されるか」がイメージしづらい側面があり、興味関心がなかなか寄せられなかったり、予算や研究者が確保できなかったりという課題があります。
例えば、「地球の生命はどこでどのように生まれたのか」という問いを探究するのも基礎研究分野の1テーマです。この問いに挑戦している研究の1つが小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトです。2020年末、太陽系が生まれたことの水や有機物が残っていると考えられる小惑星リュウグウからサンプルを持ち帰ることに成功しました。実はこのはやぶさ2プロジェクトも、予算上の問題などから一時は計画遂行が危ぶまれたこともありました。
スポーツチームやアイドルにはファンと呼ばれる人がいます。どちらも応援者がいなければチームや活動の存続は叶いません。同じように科学や基礎研究も、研究に取り組む人だけでは成り立たず、応援し支えてくれる(財政面でも)存在が必要となります。
では、どうすれば基礎研究がもっと応援されるようになるのでしょうか。
社会と市民の架け橋になる
科学や基礎研究が応援される社会をつくるために、私たちは「社会と市民を科学でつなぐ」ことを目指すことにしました。ここでの「社会」とは、大学や研究所などの研究機関や研究開発を進める企業、そしてその中で働く研究者たちのことを指します。
皆さんは「科学」や「研究」、「研究者」という言葉を聞いてどのようなイメージをもちますか?
私が大学院生の時、家族や友人に近況を報告したときの反応の多くは「難しそうなことをやっていて、なんだかすごいね」「詳しくはよく分からないけど、あなたが頑張っているなら応援するよ」というもので、ありがたくもちょっと寂しい気持ちになったことを覚えています。自分がいる世界が、近しい人々からも遠い世界のように感じられてしまっているのかと。
「科学は難しい」というイメージが抱かれがちで、研究の世界と市民の間にはちょっとした溝があるように感じます。
そこで、SELがその間に入り、「科学、基礎研究とはなんぞや」「研究者はどんな人たちなのか」を知ってもらう機会をつくる役割を担いたいと考えたのです。
知ってもらい、そこに魅力や重要性を感じてもらえたら、きっと応援してくれる人も増えていくはず。
科学への興味関心を持ってもらうためにまずは触れてもらう。そのための機会を作る。そして人々の興味関心を育て、さらにはその興味関心を研究へとつなげることで、従事者や応援者をふやす。
私たちの科学を軸にした活動が社会と市民の架け橋となり、「科学の基礎研究が応援される社会」の実現に繋がってほしいと考えています。
科学の現場をみせて、人を巻き込み、科学で社会と人をつないでいく
科学や研究に触れる機会をつくるとき、私たちは「科学の現場をみせる」という考えを大切にしています。この「みせる」には「魅せる」と「見せる」の2つの意味をかけています。
例えば、これまで行ってきた事例としては、「研究者に会いに行こう!」というシリーズの講座があります。現役の研究者やその卵である大学院生が自身の研究内容や日々の様子をトークや体験を通して知ってもらうイベントです。
他にも、私たちが運営する手作り科学館 Exedraでは展示や体験はもちろん、研究経験のあるスタッフと直接おしゃべりできることも魅力の1つに掲げています。
また、Exedraで活動する「研究部」では大学院で研究に励んでいたスタッフのサポートを受けながら小中学生が毎月、研究に取り組んでいます。
できるだけホンモノの研究を見せることで、その魅力に触れてもらえるようにしたいと思っています。
科学と科学に携わる人々の可能性を広げる
この記事の筆者・宮本の小学生の頃の将来の夢は天文学者でした。父と一緒に星空を見上げる時間が好きだったからです。その頃から自然や科学に興味を持ちはじめました。環境と周囲の応援に恵まれ、分野は違えど「研究に携わる」という夢を叶えることができました。
いま、SELの活動を通じて私が出会う子どもたちの中にも「研究者になりたい」と話してくれる子どもたちがたくさんいます。生物学者になりたい、化石博士になりたい、宇宙のことを調べたい、ロボットをつくりたい…
そんな子どもたちが研究への憧れと夢を持ち続け、叶えることができる将来をちゃんと残していたいと私は思います。
日本の科学研究がより発展していくための可能性を広げたい。研究やコミュニケーターとしていま科学に携わる/携わりたい人々だけでなく、未来でそれを担う人々の可能性も守りたい。
私たちの活動は業界を変えるような大きなものではないかもしれませんが、目標とする未来に向けて小さなことから1つ1つ取り組んでいけたらと考えています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
それではまた!
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