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Brise Napolitaine

「ブリス・アポリテーヌ/ナポリのそよ風 Brise Napolitaine」は 1933年にヴェテーゼ・ゲリーノ Vetese Guerino と ジャン・ペイロニンJean Peyronnin によって作曲されたミュゼット・ナンバー。

ゲリーノは1895年にイタリアのガッララーテに生まれフランスで活動したアコーディオン奏者。シンティ・ロマの生まれで、遅くとも1903年に一家でフランスに移住している。ゲリーノのバンドは1930年にはパリにおいて「もっともダイナミックで音楽的に成熟したミュゼット・バンドの一つ」だった(Dregni, 2004, p. 63)。この曲の詳しい背景についてはあまり知られていないが、自身のバックグラウンドから、この「ナポリのそよ風」が作曲されたことが推察される。現在ではミュゼットのスタンダードとして多くのバンドのレパートリーになっており、Django Fakebookにも収録されている。

録音

Guerino et son Orchestre Musette de la Boîte Matelots (Paris, March 14, 1933)
Vetese Guerino (Accordion); Pierre Pagliano (Violin); Pierre “Baro” Ferret (Guitar); Django Reinhardt (Guitar); Lucien Gallopain (Guitar); “Tarteboulle” (Bass)
ゲリーノの録音。ジャンゴも参加しているが、リードはバロ・フェレが担っている。これを聴いているとジャンゴのスタイルはジャンゴが独自に開発したのではなく、むしろこうしたミュゼットのバンドやほかのギタリストから影響され作り上げられたのだと感じる。軽いスウィング感のあるワルツ。

Yvette Horner (NOT GIVEN–Possibly in Paris, Released in 1956)
Yvette Horner (Accordion); Others Unkown
ほかの参加メンバーがわからないのだけどイヴェット・オルネの録音も素敵。

The Paris Musette (Paris, January 1993 & March 1994)
Armand Lassagne (Accordion); Jacques Quézin (Violin); Didi Duprat (Guitar); Jean-Philippe Viret (Double Bass); Alain Bouchaux (Drums);
ジャン・フィリップ・ヴィレが参加した録音でパリ・ミュゼット・シリーズのコンピの一枚。アーマンド・ラサーニュのアコーディオンを中心に組み立てられており、踊るようなメロディが素敵。

Baguette Quartette (San Francisco, 2004)
Odile Lavault (Chromatic Button Accordion); Rachel Durling (Violin); Olivier Zyngier (Guitar); Rich Trevor (Bass)
サンフランシスコを代表するミュゼット・バンドのバゲット・カルテットの録音。アコーディオンとヴァイオリンがリードを分かち合っている。

The Bailsmen (NYC, Released in 2020)
Charlie Castelluzzo (Guitar); Gabriel Evan (Soprano Saxophone); Abraham Pollack (Bass); Brandon Vetrano (Guitar);
ニューヨークで活動しているバイルスメンの録音。アコーディオン・レスの珍しい録音。

Jazz Partout (Kirkkonummi, Finland, Released in 2010)
Accordion (Mika Huusari); Petri Krzywacki (Electric Guitar); Kimmo Iltanen (Acoustic Guitar); Matti Tegelman (Bass)
フィンランドで活動しているミュゼット・バンドのジャズ・パートアウトの録音。

The Banjo & Accordion (Released in 2020)
稲川友則 (Banjo); 柴田貴子 (Accordion)
静岡を中心に活動しているバンジョー&アコーディオンの録音。5弦バンジョーとアコーディオンという珍しい組み合わせ。枯れた音のバンジョーがかっこいい!

Marcel Fontaine (NOT GIVEN, NOT GIVEN)
マルセル・フォンテーヌの録音。ほとんどなにも情報がないのだけれど、アコーディオン、トランペット、ベース、ドラムの編成。シンプルなアレンジなんだけれど、アコーディオンのソロもそれに絡むトランペットもかっこいい。

参考文献

Dregni, Michael. (2004). Django: The Life and Music of a Gypsy Legend. Oxford: Oxford University Press.


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