しゅみお

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noteでは大衆音楽に関連した社会や文化について書いています。現在は戦前のジャズの曲を中心に執筆中。ヒップホップ、ブルーグラス、エレクトロニカ、ソウルも好きです。

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トラッドジャズ・スタンダード目次

いろいろジャズを聴いていると探究心が芽生えてくる。ジャズは黎明期からどこでだれが録音に参加したのかが明確なものが多いのでとても探しやすく、また曲は時代をあらわしていて、そういったものを調べるのも面白い。とくに日本では『ジャズ詩大全』などすばらしいシリーズも多い。またジャズは英語でも日本語でもさまざまな分野から学術的に研究されている。それに日本語でも英語でもジャズにかんするサイトやブログが本当に豊富。調べてると面白いので続けていたら結構溜まってきたので、noteに残したいなあと

    • Rêverie

      「夢/夢想 Rêverie」は1890年にフランスの作曲家であるクロード・ドビュッシー Claude Debussy が作曲したピアノ独奏曲。ジャズにて演奏されるクラシック曲の一つ。ラリー・クリントン Larry Clintonは「夢想」を元にしたMy Reverieを発表している。またジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtがジャズにアレンジし録音したことからジャズの中でもマヌーシュ・ジャズのスタンダードとなっている。この場合は「ジャンゴズ・ドリーム Dja

      • Djangology

        「ジャンゴロジー Djangology」は1935年にジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtとステファン・グラッペリSteohane Grappelliが作曲したジャズ・ナンバー。ジャンゴが作曲したナンバーでも代表作の一つ。 ジャンゴの単独作品かグラッペリとの共作か多くの曲でそうらしいのだが、どうやら曲のメインのメロディや構成はジャンゴが単独で書いたもののようだ (Dregni, 2008, p. 64)。というのも、ジャンゴは楽譜が読めなかったので、曲を

        • Flèche d'Or

          「フレッシュ・ドール Flèche d'Or」は1952年にジャンゴ・ラインハルトが作曲したジャズ・ナンバー。タイトルを日本語に訳すと「黄金の矢」になる。後期ジャンゴを代表するビバップ・ナンバー。 黄金の矢かつてロンドンとパリを結ぶ列車に「黄金の矢」というものがあった。その列車の呼び方がイギリス側ではGolden Arrowで、フランス側はFlèche d'Orだった。当初は一等車のみの上客向けのみであったが、1950年以降に一般にも開放された。だから、ジャンゴがこの曲を書

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        • トラッド・ジャズ&スイング・スタンダード
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          Georgia on My Mind

          「ジョージア・オン・マイ・マインド/我が心のジョージア Georgia on My Mind」は1930年にホーギー・カーマイケル Hoagy Carmichael が作曲し、スチュワート・ゴレル Stuart Gorrell が作詞したポピュラーソング。ジャズのみならずソウルやR&B、ブルーグラス、ウェスタン・スウィング、カントリー、ロックなどさまざまなアメリカ大衆音楽の大スタンダード。 南部についての曲ホーギー・カーマイケルは古臭いアパートに住んでいた当時、友人であった

          Georgia on My Mind

          Flambée Montalbanaise

          「フランベ・モンタルバネイズ/モントーバンの炎 Flambée Montalbanaise」はギュス・ヴィズール Gus Viseurが1940年に作曲し、発表したミュゼット・ナンバー。しばしば、スウィング・ワルツやミュゼット・スウィングと呼ばれる。 ミュゼットの名曲1920年代のジャズ・エイジに流行したジャズの人気はアメリカに止まるだけではなく、世界中に広がり、それぞれの地域の音楽に結びついた。フランスにおいては「ミュゼット musette」にジャズを取り入れたり、逆にジ

          Flambée Montalbanaise

          Montagne Sainte-Geneviève

          「モンターニュ・サント=ジュヌヴィエール Montagne Sainte-Geneviève」はジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtが作曲したジャズ・ワルツ。また「ジャンゴ・ワルツ Django Waltz」とも呼ばれる。 ジャンゴがダンスホールで演奏していたワルツジャンゴは1922年から1928年の間にダンスホールで演奏をしていた。その頃に少なくとも4つのワルツを作曲しており、これはその一つ。ジャンゴ自身はこの曲を録音をすることがなかった。が、ジャズ・

          Montagne Sainte-Geneviève

          Daphne

          「ダフネ Daphne」は1938年にジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtが作曲したジャズ・ナンバー。いわゆるガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム I Got Rhythm」のコード進行を使用した「リズム・チェンジ」の曲。日本語だと「ダフネー」と伸ばされることもある。私は伸ばした方が好みではある。ちなみに英語では「ダァフニー」と発音される。 エロースに撃たれたアポローンとダフネータイトルのダフネーとは、ギリシャ神話に登場する精霊の名前から取られている。

          Idolizing

          「アイドライジング Idolizing」は1926年にアーヴィン・エイブラハムソン Irving Abrahamson、レイ・ウェスト Ray West、サム・メッセンハイマー Sam Messenheimer が作詞作曲したジャズ・ナンバー。 偶像化まさに恋人を「偶像化 idolize」するという内容。キリスト教においては、この偶像化というものが重い意味を担うことがある。なぜなら偶像化とは、信仰の対象にするということなのだから、当該社会における倫理規範の根源を揺るがしかね

          Ida! Sweet as Apple Cider

          「アイダ、スウィート・アズ・アップル・サイダー Ida! Sweet as Apple Cider」は1903年にエディ・マンサン Eddie Munson が作曲し、エディ・レオナード Eddie Leonard が作詞したポピュラーソング。ジャズ以前にできた曲だが、トラッドジャズでしばしば演奏されるトラッドジャズ・スタンダード。 アップル・サイダーのように甘い歌詞は「アイダ」と呼ばれる女性を讃えている。ここで出てくるサイダーは炭酸のりんごの発酵酒。タイトルの通りにとって

          Ida! Sweet as Apple Cider

          I Double Dare You

          「アイ・ダブル・デア・ユー I Double Dare You」は、1937年にジミー・イートン Jimmy Eaton とテリー・シャンド Terry Shand が作詞作曲したポピュラーソング。トラッドジャズのスタンダード。 勇気を出してここで使われているdouble dareとは「いつもよりも勇気をもって」と言った感じの表現。だからAメロの冒頭から「勇気を出してここに座ってごらんよ。勇気を持って聞いてほしい。」と相手に向けて歌われる。つまり、もじもじした相手に「大丈夫

          I Double Dare You

          If I Had You

          「イフ・アイ・ハド・ユー If I Had You」は1926年にジミー・キャンベル Jimmy Campbell とレグ・コネリー Reg Connelly による「アーヴィン・キング Irving King」のコンビとテッド・シャピロが作詞作曲したポピュラーソング。ジャズのスタンダード。 ウェールズ公が愛した曲この「イフ・アイ・ハド・ユー」は「もし君が隣にいたら僕はなんだってなれるし、なんだってできるんだ」「世界に対して、笑い方っていうはこうやるんだって教えられる」「雪

          If You Can't Smile And Say Yes (Please Don't Cry And Say No)

          「イフ・ユー・キャント・スマイル・アンド・セイ・イエス 」は1944年にティミー・ロジャース Timmie Rogersとルイ・ジョーダン Louis Jordan が作詞作曲したポピュラーソング。ジャンプ・ブルース、ジャイヴ、ジャズで演奏される。 自分勝手な男の曲Aメロから「おれが準備できてるときは、ちゃんとキスしてくれ!笑顔でイエスと言えないなら、泣いてノーと言わないで」と歌われる。ここらへんで「おや?」となるが、察しの通り、歌詞の主人公は自分勝手だ。現代には合わない歌

          If You Can't Smile And Say Yes (Please Don't Cry And Say No)

          Hear Me Talkin’ to You [Ma Rainey]

          「ヒア・ミー・トーキン・トゥ・ユー Hear Me Talkin’ to You」は1928年にマ・レイニー Ma Rainey が書いたジャズ/ブルース・ナンバー。表記の揺れとしてHear Me Talkin’ to Yaがある。が、いずれにしてもルイ・アームストロングの「ヒア・ミー・トーキン・トゥ・ヤ Hear Me Talkin’ to Ya」とは別の曲。 老若男女を魅了するフィメール・ブルースこの曲は基本的に女性が男性に向けて歌うフィメール・ブルースで、老若男女を誘

          Hear Me Talkin’ to You [Ma Rainey]

          Hear Me Talkin’ to Ya [Louis Armstrong]

          「ヒア・ミー・トーキン・トゥ・ヤ Hear Me Talkin’ to Ya」は1928年にルイ・アームストロング Louis Armstrong が作曲したジャズ・ナンバー。マ・レイニーにほとんど同名の「ヒア・ミー・トーキン・トゥ・ユー Hear Me Talkin’ to You」があるがまったく違う曲。 ナイトクラブのショーピースアームストロングの「ヒア・ミー・トーキン・トゥ・ヤ」は「ナイトクラブのショーピース」(Harker, 2011, p. 148)、つまり《ナ

          Hear Me Talkin’ to Ya [Louis Armstrong]

          Takes Two to Tango

          「テイクス・トゥー・トゥー・タンゴ It Takes Two to Tango」は、1952年にアル・ホフマンAl Hoffmanとディック・マニング Dick Manningが書いたポピュラー・ソング。そこまで録音されているわけではないが非常によい曲。 二人でロマンスを分かち合う英語の it takes two to tango は直訳すれば「タンゴを踊るのには二人が必要」という意味だが、そこから「争いごとなどの責任は両方にある」という意味の慣用句として使用される。 だ

          Takes Two to Tango