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075構図のはなし16(いい写真とは22)

卒業アルバムと学校写真のエキスパート 一級写真技能士の田賀谷浩です。今回もお目通しいただきありがとうございます。
構図のはなしを一段落とする締めとしてカメラ自体の構え方について。

縦位置

画面が縦長になる向きで撮影することを「縦位置で撮る」と言います。構図の特徴としては、他のものが写らないので主要な被写体をより強調しやすく、撮影者が何を撮りたいかの意思がより強くしやすいものになります。
人物を撮る場合、かつてはコンパクトカメラもホームビデオも横長で構えるように作られていることもあり、プロやハイアマチュアでない限り一般の方が撮る場合はほとんど横位置でしたが、縦長で構えやすいスマホでの撮影が当たり前になった事で静止画も動画も縦位置ばかりに一変しました。

といいながら縦位置の特長をより積極的に活かしている画像はまだまだ少ないように思います。
人間の眼は左右に付いていることから視野が横方向に広くなっています。縦位置構図は横長の視野を遮るものであるため、程よい緊張感が画面に表出してきます。同時に自然と縦方向に視線が動きやすくなる結果、高さや奥行きなどを感じやすくなりますし、さらに視線を上下に動かすのは左右に動かすのに比べて時間がかかるので、結果的に時間の経過を感じやすくなります。

作例としてとある施設の階段を撮影した場面を持ってきました。窓の明るさ(白)と階段のシルエット(黒)とで上下左右4つに分割した画面効果でリズムがあることもありますが、二人の人物の向きも相まって下から上への時間の経過が感じやすくなっていると思います。

作例 人の形も相まって下の階から上の階へ視線が動く

横位置

画面が横長になる向きで撮影することは「横位置で撮る」になります。前述のとおり人間の眼が横並びなこともあり視野が遮られている緊張感が少ない事もあり、特に風景を捉える構図としてはより自然になります。
自然である分ややもすると画面構成が漠然としがちになるので、より的確に主体を画面に配置する事がまとまりのある絵になるので、構図のプロトコルを意識した構成がより大切になるのです。

要約すると、
 縦位置は高さや奥行き、時間の経過を写したいとき
 横位置は空間の広がりや自然な描写を写したいとき

と使い分けるとより良い写真が撮りやすい ということになります。

のべ16回に分けて構図のプロトコルに触れて参りましたがいかがだったでしょうか。主要な被写体が写っていれば事足りることではありますが、より絵になる画面構成で撮影することが出来れば撮影者の意図や写った被写体をより良く写す事にもなるので活かしてみてはいかがでしょうか。

なるほどと思われたり参考になったと感じられたりした際には是非「スキ」をいただけると励みになります。お読みいただきありがとうございました。

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