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フィンランド大学院留学:出願、お金の問題をどう乗り越えるか

海外留学に特化した奨学金プラットフォーム「スカラシップパートナーズ」に登録している現役留学生ライターによる「世界の留学体験レポート」。
今回はフィンランド「ヘルシンキ大学の大学院」に留学中のなぎーさんが、海外大学院の留学費用に関する記事を書いてくれました。


こんにちは!なぎーです!
フィンランドのヘルシンキ大学の大学院でまちづくりについて勉強しています。

今回の記事では、海外大学院留学について、語学留学や交換留学と比べた特徴、準備スケジュールやお金の観点から見ていきたいと思います。

あくまで私自身の経験なので、国や地域によって違いはあるかもしれませんが、参考になりましたら幸いです!

大学院正規留学の特徴、語学留学・交換留学との違い

海外大学院への正規留学するということ

海外の大学院に正規留学することは、語学の勉強のための留学や交換留学とどのように異なるのでしょうか。

まず、一番の違いは学位の取得を目的としているということです。

語学力の向上を主目的とする語学留学や、日本の大学に在籍しながら一定期間協定校に留学する交換留学とは違い、大学院の正規留学では現地の大学に正規生として在籍し、専門性を高めながら修士号や博士号の取得を目指します。

交換留学でも取得した単位の互換制度はありますが、それによって現地の大学の学位を取得することはできないので、大きな違いと言えます。

さらに、現地で取得した学位によって現地就職がしやすくなるという場合も多々あります。

例えば、フィンランドでは現地の大学院で修士号を取得すると、1年間の職探しのビザに申請することができます。
修士課程の修了後、プラス1年間はフィンランドに滞在できるということです。もちろんビザがもらえるからといって、職探しも簡単というわけではありませんが、長期間その国での滞在を希望している人にとっては利点になります!

また、国や地域によっても異なりますが、北欧の大学院(修士課程)ではコースワークがメインです。

そのため、2年間の修士課程の場合、1~3セメスターは授業を履修し、最後のセメスターで修士論文を執筆します。

これは研究に重点が置かれている日本の修士課程と違う点だと思います。
日本だと2年間かけて修士論文を執筆し、また学会にも参加するなど研究にフォーカスしていると思いますが、北欧の大学院では学部で身につけた知識に基づき、より専門的な内容の授業を受け、最後の学期で修士論文を仕上げます。

修士論文は自身で新たに研究をする場合もあれば、企業や研究機関に半年間所属し、協働しながら書き上げるというケースもあり、そのままその企業に就職する人もいます!

雪景色のアールト大学のキャンパス。歩くだけでワクワクします。

出願準備スケジュール

次に、海外大学院への進学に向けた大まかなスケジュールについてです。
以下には理想的なタイムラインを示していますが、個々の状況に応じて違う点もあると思うので、そこはご了承ください。

  1. 渡航したい国のプログラムや研究室の情報収集
    (入学の2年前〜1年前くらい)

    海外大学院への進学を考え始めた段階で、インターネット検索や知人からの話などで積極的に情報を集め、自分が行きたいプログラムをリストアップしましょう。

    自分の興味分野の教授などがいたらメールなどで連絡をとり、オンラインで話をしたり、時間とお金に余裕があれば実際にキャンパス見学をして教授と会ったりするのもおすすめです。

    *専攻を変える場合
    学部時代の専攻から変更して出願する場合は、大学の他学部履修や交換留学、サマースクール、MOOCなどで戦略的に学びたい分野の単位を取得するのもいいと思います。また、インターンなどで課外活動としてその分野の経験を積むという手もあります!

  2. 語学試験のスコア取得
    (〜入学の1年前くらい)

    志望大学の出願要件を確認し、IELTSやTOEFLなどの語学試験を受験します。出願ギリギリになってスコアが足りないと焦るので、早め早めに準備するのがいいと思います。ただ、スコアの有効期間は取得してから2年間なので、早過ぎないように!

  3. 奨学金の申請
    (入学の1年半前くらい〜)

    募集要項を確認して、研究計画や留学先大学の志望理由、指導教官の推薦状を用意する必要があります。国や地域によっても違いはありますが、早いものだと入学前年の5月締め切りのものもあります。
    国内奨学金の申請は夏ごろから本格化し、大学院出願後に提出する奨学金も含めると約1年間ほど申請に追われます。

  4. 大学院への出願
    (入学の1年前〜半年前くらい)

    海外大学院への出願は、国内大学院のように試験と面接という形ではなく、基本的に成績証明書や志望動機、推薦状などを提出して書類で審査されることが多いです。場合によってはポートフォリオや論文のサンプルの提出を求められ、さらに面接があることもあります。

    北欧の大学院の出願の際には推薦状の提出は必須ではありませんでしたが、一部の国では推薦状が3枚必要など色々と条件が違うこともあるので要確認です!

大学のキャンパス近くの海。夕焼けのグラデーションが素敵。

お金の問題(学費・生活費・奨学金)

フィンランド留学:学費やビザ申請に必要なお金

大学院留学を考える上でネックとなるのがお金の問題。
まず、フィンランドを例に学費や学生ビザの申請にかかるお金について見てみたいと思います。

◼︎私の在籍する修士プログラムUrban Studies and Planningの学費

年間 15,000€
(年間 約243万円、以下2025年1月3日現在1€=161.85円として計算)

参考:University of Helsinki

修士課程は2年間なので、トータルで約486万円です。

以前の記事でも書きましたが、福祉国家として知られているフィンランドでもEU圏外出身の学生の学費はかなり高くなっています(ちなみにフィンランド語での学位の取得は無料)。
近年は円安の影響も大きいですが、日本だと私立大学よりも少し高いくらいの価格帯です。

◼︎フィンランドの学生ビザ申請に必要な口座残高

滞在が1年以上の場合:9,600€(約155万円)
滞在が1年未満の場合:800€*滞在期間
(1ヶ月あたり約13万円)

 参考:https://migri.fi/

また、フィンランドでは、学生ビザを申請する際に自身の銀行口座の残高証明を提出する必要があります。
2024年11月に引き上げられ、留学生にとってはかなり厳しい状況となっています。家族の貯金残高を一時的に自分の口座に移動するという方法もありますが、結構大きい金額を一度に用意するのは大変ですよね、、

フィンランド留学:生活費

ここでは、寮費や食費などフィンランドでの生活にかかるお金について見ていきます。

フィンランドのイメージとして、高負担・高福祉な社会システムが考えられると思います。私の感覚として、確かにスーパーの値段や外食は高いのですが、寮や学食、学割など学生向けのサポートはとても充実していて、学生に優しい国だと言えます!

参考までに、11月の私の支出を以下に記してみます。

フィンランドの生活費 (11月の実際の支出)

11月の支出はトータルで729€ (ユーロ)、日本円だと大体11万8千円くらいでした!

外食したり、遊びに行ったりすることが少ないので、東京で暮らしていた時よりもかなり抑えられている気がします笑

家はヘルシンキで学生向けアパートを提供するHoasの寮です。相場よりも3割くらい安く住むことができます。

私はドイツ人のフラットメイト一人と住んでいて、日本と比べてもそこまで高いというわけではないと思います。水道とインターネットは含まれているのですが、光熱費は含まれていないので、自分たちで電力会社と契約する必要がありました。
ただ、日中はそこまで電気を使わないのでかなり安く済んでいます!

携帯は現地の携帯会社のDNAでデータ使い放題+電話は従量課金制のプランを契約しています。
日本と比べると払っている金額は半額くらいです。
電話はほとんどかけることがないので、課金制でもどうにかなっています(電話番号を使うのはSMS認証が多い感じです)。

食事は自炊することが多く、授業がある日は大学の学食で食べています。学食も学割のおかげで一食3€ほどで食べることができます。サラダなど取り放題なので、いつもお皿いっぱいに載せています笑

クリスマスの日の学食は5.5€(ユーロ)でハムやマッシュポテトが食べれました

フィンランド留学:奨学金

大学院留学をするにあたって、大学の学費免除や国内の奨学金にいくつも申し込みました。

国内の奨学金は競争率が高く、奨学生として採択されるまでの高い壁を感じました。やっとの思いで書類が通過しても面接でダメだったりと、大学院に合格したとしても本当に留学できるのかずっとヒヤヒヤしていました(卒業式の日にも進路が決まっていなかったので内心ドキドキでした笑)。

現在は、ヘルシンキ大学の学費免除と生活費の援助を受けています。
大学の学費免除の申請は、出願の際に英語3,000字で奨学金が必要な理由や奨学金によってどのように学業に専念できるのかについて述べる必要がありました。

また、他にも日本国内の2つの財団の給付型奨学金を併給して生活費の援助をいただいています。ただ、財団の援助は基本的に一年間しかないので、今後は留学先からも応募できる奨学金に申請したり、アルバイトをしつつ足りない分の生活費を賄ったりする必要があるという状況です。

ちなみに、大学院受験の際、私はヘルシンキ大学の他に、アールト大学、スウェーデンのKTH、デンマークのオールボー大学に出願しました。

他の大学は合格したものの、教育社会学から都市計画に専攻を変えたこともあってか、残念ながら学費免除はもらえませんでした(特にKTHは学費免除の倍率がとんでもなく高かったです!)。

私の周りでは日本含むEU外の国からフィンランドに正規留学している人は学費免除をもらっている人が多いですが、近年の移民排除の動きもあって、免除をもらえる人数が減っているという噂です。

しかし、奨学金の受給が厳しいとはいえ、必ずしももらえないわけではありません。大学院留学してみたいと思ったらまず申し込んでみるのがいいと思います。また、日本国内だけでなく、現地の奨学金や大学の奨学金もあるので、ぜひ調べてみてください。

奨学金情報については以下のサイトも参考になります!

学科の友達とキャビントリップに行った時の写真。湖とサウナが最高でした。

海外の大学院留学を検討している人へ

今回は、大学院留学の特徴や準備スケジュール、また学費や生活費、奨学金などのお金の問題について紹介しました。

主に北欧の大学院修士課程にフォーカスしてお話ししましたが、少しでも皆さんの参考になったら嬉しいです!

海外大学院というとかなりハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、一歩ずつ準備していけば決して超えられない壁ではないと思います。周りと進路が違ったりして不安になることもあるかもしれませんが、それを乗り越えた先にはきっと道が開けているはずです。

皆さんのチャレンジを全力で応援しています!

なぎーさんの過去の記事


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