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桃と椿と西王母

桃とネクタリンについて書いていたとき、どちらからも「西王母」「椿」というワードが出てきて気になっていました。

「西王母」という名前の桃があります。
西王母は、不老不死の桃(蟠桃)を管理するとされる中国の女神ですから、桃の名前としてふさわしい。

ネクタリンの和名は「ズバイモモ(椿桃)」
桃のような産毛がなくツルンとしているので「油桃」とか「光桃」と言われるのはわかるのですが、なぜ「椿」なんだろう、と不思議でした。

さらに、椿の品種に「西王母」というのがあるのです。桃、西王母、椿、椿桃と、まるでしりとりのように繋がっているかのようです。しばらく忘れていたのですが、最近椿の花を見ていて桃のことを思い出しました。

ネクタリンは、椿の実に似ている。
「椿桃」という名前から、椿の花ばかり連想してしまっていたのですが、花ではなく実が、ネクタリンの実そっくりなのです。熟すともっと黒っぽくなって3つに割れ、中から出てくる種から椿油をとるそうです。なるほど、赤くてツルンとしていて、たしかにネクタリンに似ています。光桃や油桃より椿桃のほうが呼び名として素敵ですしね。

椿の実はネクタリンに似ている、ということに気づいたのと同時に、椿の花は桃に似ている、ということにも気づきました。とくに「西王母」という品種の椿の蕾は、ピンク色でふっくらとまるくて上がキュッと絞られていて、まるで西王母が手にしている桃そのもの。

さらに「西王母」というお菓子があるのです。ういろうなどで桃を象ったお菓子で、桃の節句の頃、作られるそう。桃を象った、と言いましたが、じつは「西王母」というお菓子、お店によっては椿の花を象ったものもあるようです。「西王母」と聞いて、桃を思いうかべるか椿を思いうかべるか、人それぞれなのかもしれません。いずれにせよ、名前が「西王母」ですから、桃の節句にぴったりのお菓子ですね。

桃のような形の蕾をもつ椿の名前が西王母。椿の実のようなネクタリン。ネクタリンは不老不死の神の食べもの。それを司るのは西王母。やはり、しりとりのように繋がっていたのでした。

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