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イタリア文学者・河島英昭はこのように書いています。これはイタリアでは案外珍しいことなのではないでしょうか。例えば、夫の親戚がいるため頻繁に訪れるフィレンツェでは、自転車より圧倒的にバイクのほうが優勢のように思います。 河島英昭がフェッラーラを訪れたのは約20年ほど前のことですが、今でもその時と変わらず自転車はたくさん走っていました。私が撮った写真にも、自転車が山のように写り込んでいます。 少々驚いたのは、旧ゲットーの道路脇にキーチェーンもなく無造作に置かれた自転車があった
愛と憎しみのフェッラーラ。 これはイタリア文学者でウンベルト・エーコ『薔薇の名前』の訳者でもある河島英昭(1933-2018年)のエッセイのタイトルです。このエッセイに惹かれた私は、夫を誘い、秋の終わりにエッセイの舞台である北イタリアの街・フェッラーラを訪れました。 河島英昭はこの『愛と憎しみのフェッラーラ』というエッセイにおいて、この街のゲットーに触れ、次いで作家として名を馳せたジョルジョ・バッサーニ(1916-2000年)という代々フェッラーラに住み続けてきたユダヤ人