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ドイツで考えたこと

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#冬

trübe

ドイツ語に「trübe」という語があります。 ハイネがその詩集「Deutschland. Wintermärchen」の冒頭で、このtrübeという語を用いていますが、それにどなたかが「曇った」という訳語を充てていました。辞書を引けば「濁った、くすんだ」などと並び「曇った」と書かれていますから間違いではないのですが、そこから東京あたりの「曇り」を思い浮かべてしまうと、まるで話が違ってきます。 ドイツの人々が天気を「trübe」と形容する時、高層霧(Hochnebel)が一