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ドイツ語の発音はそれほど難しくない。基本的に書いてある文字をローマ字読みすれば良い。 一体いつどこで目にしたのか、ドイツに来てドイツ語を勉強し始めた頃、既に私の頭の中にはそんな文章が刷り込まれていました。英語との付き合いは長いのに、未だにその発音に自信がない私。「ドイツ語の発音は簡単だから」と、最初から完全に甘く考えて勉強し始めたのでしたが、まもなく泣きを見ることになります。 ドイツ長期滞在許可を得るために、私は短期間のうちに一定のレベルのドイツ語を習得しなければなりません
母がヨーロッパの文学や音楽に強い関心を寄せていたせいか、ヨーロッパは幼い頃から私の身近にありました。大学での専攻は比較政治で、主にヨーロッパの政治・歴史・思想について勉強していました。30代を過ぎたころから、ヨーロッパには度々旅行していました。そのせいか、私はドイツに移住した後も、ドイツという国の文化や習慣などに対し、コペルニクス的転回を強いられるようなカルチャーショックなるものを受けたことはありません。確かに「日本にいる時のようには物事が運ばないのだ」と思うことはあっても、
ドイツ語に「trübe」という語があります。 ハイネがその詩集「Deutschland. Wintermärchen」の冒頭で、このtrübeという語を用いていますが、それにどなたかが「曇った」という訳語を充てていました。辞書を引けば「濁った、くすんだ」などと並び「曇った」と書かれていますから間違いではないのですが、そこから東京あたりの「曇り」を思い浮かべてしまうと、まるで話が違ってきます。 ドイツの人々が天気を「trübe」と形容する時、高層霧(Hochnebel)が一