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新刊と既刊のはざまで悩みまくって、原稿を書く前にやったこと

シナリオ・センターのあらいです。

昨年8月に上梓した『シナリオ・センター式 物語のつくり方』に続き、今年6月19日に『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』が上梓されます。
1年も経たずに2冊目を出すというのは、書くことに加え、頭の整理も大変でした。特に書きはじめるまでが!

そして、思います。
原稿の内容をぶれさないためには、書く前にたくさんのことを考えるよりも、軸の部分を考えることが大切だ! と。

というわけで、2冊の本を書くために考えたことを整理してみます。ある程度まとまった文章を書くときにお役に立てたら嬉しいです!

何を書くか?

まずは当たり前ですが、何を書くかを考えます。『シナリオ・センター式 物語のつくり方』なら、新井一の『シナリオの基礎技術』などで書かれている表現技術の内容を整理する、です。

では、『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』は? ほぼ同じです。新井一の『シナリオの基礎技術』などに書かれている表現技術の内容をわかりやすく伝える、です。

違いは、内容を整理するか、内容をわかりやすく伝えるかの違いくらいです。
ただ、このままだとあまり違いがありません。なので、次のことを考えます。

誰のための文章か?

何を書くかがざっくり決まったら、誰のために書くかを考えます。
『シナリオ・センター式 物語のつくり方』なら、創作に悩んでいる全ての人です。
『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』なら、創作をしたい14歳の人、これから14歳になる人、そしてかつて14歳だった人です。

お気づきの通り、ほぼほぼ対象が変わりません。これは、そもそもシナリオ・センターの理念が『日本中の人にシナリオを書いてもらいたい』だからです。(ちなみに、そろそろ「世界中の人」にしたい!)
はっきりとした違うは、『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』の方が、年齢が具体的なくらいです。

ということで、困ったことにこれだけだと、2冊の差別化はできません。そこで、もう少し対象をしぼります。といっても、よくあるペルソナ的なものは作りません。なぜなら、ペルソナを作ったとして、読者は24歳のビジネスパーソンで、昔から書くのが好きで、休日はカフェで読書をして……うんぬんかんぬんっとやっても、それっぽいことをしているだけでイメージが湧かないからです。私の場合、ですが……

読み終わった後のセリフを考える

その代わりにやるのが、読み終わった後のセリフを考えることです。物語の構成でいう『結』の余韻の部分を先に考えてしまうというわけです。

「『結』の余韻?」という方は、拙著『シナリオ・センター式 物語のつくり方』もしくは『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』をお読みください。笑

要は、読み終わったあとに、誰がどんな気持ちになってほしいかを考えます。
『シナリオ・センター式 物語のつくり方』なら、キッズ向け講座「考える部屋」に参加していた16歳のしおちゃんが、「こうすれば、私ももっと上手く書けそう!」です。
『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』なら、キッズ向け講座「考える部屋」に参加している11歳のゆみが「書きたくてウズウズする!」です。

もう少しイメージを膨らませて、『シナリオ・センター式〜』は、読者が部屋で作品を書いていて、筆が止まった時に本棚から手に取る感じ。
『14歳からの〜』なら、ベッドに横になりながら、ニヤニヤしながら読む感じ。

こんな風にイメージを膨らませていくと、内容は新井一の「シナリオの基礎技術」を基にしていても、どう伝えるかとという切り口が変わります。切り口が変われば、語り口も変わります。
結果、まったく異なるアプローチの書籍になります。

たくさんの要素を考えるより、シンプルに3つだけ考える

企画の段階で、「何を書くか」「誰に書くか」そして読んだ方に「どんな気持ちになってほしいか」を考えます。
よくヌケモレなく考えるために、5W1Hと言いますが要素が多いと混乱します。重要度が異なるはずなのに、6つの要素が同列になっているからかも知れません。
なので、まずは3つ! 

といっても、これは2冊書いてみての結果論です。実は、『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』の執筆序盤は、「何を書くか」「誰に書くか」だけでは、『シナリオ・センター式 物語のつくり方』との違いがはっきりせず、かなりテンパりました。2回くらい編集者の方に泣きつきましたから。

まぁそれは、別のお話として書きたいと思います。ちなみに、このテンパリから抜けられたのは「テーマ」の明確化です。おっと、こちらは4つ目の要素と言えますね。テーマの大切さは、またの機会に! それではまた〜

シナリオ・センターのあらいでした。


書店で見かけたら、手にとってみてくださいませ!

大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ 『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)2024年6月19日より発売!

『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)2023年7月28日より好評発売中。おかげさまで、6刷3万部!


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あらいかずき/シナリオ・センター
シナリオ・センターは『日本中の人にシナリオをかいてもらいたい』と1970年にシナリオ講座を開始。子ども向けキッズシナリオも展開中。アシスト、お願いします!! https://www.scenario.co.jp/project/kids_assist/index.html