『平成狸合戦ぽんぽこ』のたぬきがウカれたのと同じような状態になる教室
小学校や中学校での出前授業を10年以上やってきて、ある法則に気づきました。
子どもを子ども扱いすると、講座はうまくいかない。
シナリオ・センターでは、キッズシナリオという形で、現在5000名近い子どもたちにシナリオを書く楽しさを伝えています。
6月22日からは『考える部屋』という小・中学生向けの1年間にわたる創作講座も開始しました。
うまくいかない、と言っても、まぁそれなりに成立はするんです。子どもたちは大人に気を使うので、そこそこ話しを聞くし、そこそこ手もあげるし。
ただ、なんとなく子どもたちが跳ねない感じというか、スパークしきらない感じというか、そんな状態になります。
子どもたちの達成感よりも、大人のどや感の方が勝ってしまうというか……
子どもを子どもあつかいしがちな大人
キッズシナリオなんてことをしていると、子ども好きないい人っぽく思われることがあります。ですが、ぼくは子ども好きでもいい人でもありません。ふつうの人です。
なので、子どもと接する時も、ふつうに接します。
子どもと話す時、トーンが変わる方がいますが、あれ、不思議です。相手に合わせて、わかりやすい言葉を選ぶことと、幼稚なしゃべりかたをすることは別ものです。
でも、どういうわけか、子どもと接する時に、幼稚なしゃべりかたをする人は多かったりします。同年代にそんなしゃべり方はしません。だったら、子どもにだって使う必要はないと思います。ぼくは使いません。子どものプライドが傷つくのではないかと思っています。
子どもの言うことをちゃんと聞かない大人
例えば、友達の子どもと遊ぶとき、みなさんどうしてます?
5歳くらいの子どもが、お気に入りの図鑑を持ってやってきます。で、
「あのね、これはね」
とか言って、いろいろ説明してくれます。
ぶっちゃけ、よくわかりません。そんな時、わかったフリする大人って多い気がします。ぼく、わかったふりしません。
だって、わからないから。だから、わからないところは聞きます。5歳だろうが、10歳だろうが、30歳だろうが、何歳だろうが、相手の話がわからない時は、素直に「わからん!教えてくれ」と自分がちゃんと理解できるまで教えてもらいます。
5歳児だと、「え?どういうこと?」と聞きなおして、間違っていれば「そうじゃないよ」と教えてくれます。「ん〜でも、よくわからん」とか言ってるとケラケラ笑いながらどんどん説明してくれます。
その説明もよくわからないので聞き続けるんですが、そのうち子どもの方がめんどくさくなるようです。結局、何にもわからないことも多いです。
出てきたアイデアは全部拾う
教室でもなんでも、子ども扱いしません。
なので、アイデア出しなどで、教室の笑いを取ろうとすっごいふざけたことを言った子がいても全部拾います。下ネタも、汚い言葉も。シナリオには、正解も不正解もないですし。
そうすると、「まともに扱ってくれるんだ」と思うのでしょうか、やたらテンションが高くなります。全部拾っていくと、意外にそのあとは行き過ぎた発言は出なくなったりします。
だからといって、静かになるのではく、教室の子どもたちは『平成狸合戦ぽんぽこ』のたぬきたちがウカれたような状態になります。
子どもたちのシナリオを書くテンションやアイデアを発想する力が、凄まじい勢いで、ぼくらを襲います。
ぼくらは疲れます。そう、キッズシナリオは疲れます。でも、子どもたちが楽しそうにシナリオを書いて、見せ合ってとやっているので、まぁいいやと思って見守っています。
学校への出前授業は、授業時間を担当する分だけ責任があります。だから、それなりに授業をうまく成立される仕掛けはあるにはありますが、そもそもの部分は、子どもを子ども扱いしないってところにあるんじゃないかと思っています。
▼例えばこんな雰囲気です▼
▼キッズシナリオをやりたい教育関係の方、ぜひ▼
▼キッズシナリオを応援する方法あります▼
▼前にも似たようなこと、書いてました▼
シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が創立。
ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど600名以上の脚本家、小説家を輩出するの学校です。2010年から『一億人のシナリオ。』というプロジェクトを開始。キッズシナリオというプログラムがあります。