講義風の文体にした理由。『シナリオ・センター式 物語のつくり方』コンセプトの話
シナリオ・センターのあらいです。
『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)が、順調すぎてちょっと怖いくらいです。
先日、2刷が決まったというご報告をしましたが、3刷も決まりました!Amazonの文学理論カテゴリーで、連日1位だそうです。
手に取ってくださった皆さま、ありがとうございます。
役に立ってますか?役に立ってたら、嬉しいです!!
そんな「『シナリオ・センター式 物語のつくり方』が1冊の書籍になるまでをレポート」しています。今回は、文体について。
文体とは、大袈裟な感じですが、本書は講義風の語り口にしています。これは、ライターではないぼくの、背伸びせずに書こうという、窮余の一策です。
堅苦しい文章になりがち
出版の企画が決まり、「原稿を書かなきゃ!」となったぼくは、まず悩みました。本1冊の原稿を、どんな文章で書けばいいのだろうかという点です。
まとまった文章は、大学院ぶりです。
まとまった文章を書こうとすると、肩に力が入ってしまいます。院生時代の自分が顔をのぞくのか、小難しい表現だったり、入り組んだ復文だったりを書いてしまったり……
まずは、その悪癖に陥らないようにすることを心がけました。だって、たくさんの方にとって、読みやすい本にしたいですから。
文章についての6つのルール
読みやすく、かつわかりやすい本にしたかったため、2022年11月のノートにこんなルールを自分に課しました。恥ずかしいけど、ノートの一部分です。
・一文を短く
・論理展開を明確に
・わかりやすい文章にする
・しゃべっているような文章にする
・話し尽くしていることも丁寧に書く
・リトマスをかける
ノートに、「わかりやすい文章にする」と書いて、それってどういう文章よ、と考えて、「しゃべっているような」を足した気がします。
文章を書くことへの苦手意識のあるぼくにとって、変な色気は禁物です。
たとえば、
・素敵な表現にしよう
・頭よくみせよう
・「すごい!」と思わせよう
などです。
けっこう、この手のカッコつけは、やってしまいがちです。合コンでモテようとして、気取っちゃうあの感じと似ている気がします。で、得てしてそういう気持ちの時は、モテないわけです。
飾らずに書く
ということで、とにかく飾らずに、書こうと思いました。
では、飾らずに書くって、どういうことだとなるわけですが、ぼくの場合は、講座をやっている時のそれかな、と思いました。
ぼくは、小学校から企業まで、さまざまなところで、出前授業や研修などをさせてもらっていますが、いつでも、ダラッとしています。
数年前にNHKさんの『あさイチ』に呼んでもらったときも、まわりから「全然、緊張してなかったね」と言われましたが、それは緊張してなかったのではなく、いつものようにダラッとしていたからだと思います。
ぼくにとっての「ダラッと」というのは、手を抜いているとかではなく、カッコつけない、飾らない、背伸びしない、大きく見せようとしない、ための方法なんです。
本書の文章もそのスタンスにしようと思いついたのです。
なので、ねらいでもなんでもなく、結果的にというか、実力的に、講義風になりました。
読者の皆さんが、表現技術だけに集中できるように
本書は、タイトルのとおり「シナリオ・センター式」なわけです。シナリオ・センター式というのは、シナリオ・センターがこれまで53年に渡って、脚本家や小説家の方にお伝えしてきた表現技術の総称です。
伝えるべき表現技術は、多くの作家の方を輩出してきたものです。すでにお墨付きです。
ぼくがやるべきは、わかりやすく伝えること。そして、書籍として読む際に、読みやすいこと、それだけです。
普通の書籍なら、誰が書くか、が大切ですが、が、が、が、
「シナリオ・センター式」である以上、「ぼく」の存在は究極いらないのです。「ぼく」が出てこないことで、読者の皆さんは、「わたし」に集中できます。つまり、書きたい物語をどう書けばいいのか、だけを考えられます。
実際はどうでしょうか?そうなっていたら、いいなぁ。
ということで、『シナリオ・センター式 物語のつくり方』の文体についてでした。ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
シナリオ・センターのあらいでした。
どんな本なのか?甚だ簡単ですが、まとめています。
・レポート記事の目次ページ
・マガジンにまとめています
『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)7月28日より好評発売中。
シナリオ・センターは『日本中の人にシナリオをかいてもらいたい』と1970年にシナリオ講座を開始。子ども向けキッズシナリオも展開中。アシスト、お願いします!! https://www.scenario.co.jp/project/kids_assist/index.html