![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59206936/rectangle_large_type_2_f9205283f58d0b4ba679eda75b6cbc7c.jpeg?width=1200)
想像するスイッチとしてのシナリオ
「シナリオなんて書いたことないけど、趣味としてシナリオを書いてみたいのですが……わたしなんかが受講していいのでしょうか?」
たまに、シナリオ講座のお問い合わせで、そんな質問をされます。
もちろん、答えはYESです。
受講料がもらえるから? 違います!あ、それもあるけど……何よりも、
シナリオは、書き手の想像力のスイッチになるからです。
一般的には、シナリオは、映画やテレビドラマなどのドラマを映像にするための設計図、と呼ばれます。
なので、シナリオを書く、シナリオの書き方を学ぶ、という方の中には、プロのシナリオライター・脚本家になることを目指している方も多いです…それは素晴らしいし、ゼッサン応援中です!
ですが、プロを目指す人にも、そうでない人にも、想像するスイッチとしてのシナリオの魅力を味わってほしいのです。
シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が設立。
ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど700名以上の脚本家、小説家を輩出する学校。毎クールの連ドラ7割ほどの脚本を出身ライターが執筆。
想像するスイッチってなんだ?
スイッチというのは、ちょっと抽象的な言い方かもしれません。イメージとしては、照明のスイッチです。
スイッチOFFの時には、部屋は暗いままです。
スイッチONにすると、部屋に明かりがともります。
それと同じで、シナリオを書いたことがない時には、気づかなかったことにも、シナリオを書くことで気づくことができます。
シナリオがスイッチとなって、視界が広がります。
シナリオがスイッチとなって、対象がくっきりと見えるようになります。
シナリオは何に光を当てるのか?
シナリオがスイッチとなって、光を当てた先には、どんな世界が広がっているのでしょうか。
冒頭に、『シナリオは、映画やテレビドラマなどのドラマを映像にするための設計図』と書きました。
ドラマを作るために必要なのが、シナリオです。
では、ドラマとは何か?
ドラマとは、人間を描くことだと、シナリオ・センターの創設者の新井一は言います。かなり口酸っぱく!
『ドラマを追求するためには、その人物なり、周囲の事情というものが決定します。その人物が、どうした事情にいて、どうした環境(周囲)におかれているかを、はっきりと作者自身が見つめなければ、ドラマはできません。(中略)
人間の真実をどう見つめるかということなのです。そして、その真実以外はいらないということなのです。』(『シナリオの技術』p84)
シナリオは、人間に光を当てる、といえます。
シナリオを書くことは、ドラマに登場する人物を通して、さまざまな人間について想像するきっかけを作ってくれます。
たとえば、人はふつう、犯罪を犯すことはありません。
ですが、シナリオの中で、登場人物に万引きをさせるとします。店内をうろつく万引きをする登場人物は、どんな気持ちでしょうか。慣れたものでへっちゃらなのか、初めてでドキドキしているのか、だとしたら、その感情は登場人物のどんな行動や表情に現れるのか……さらに、そもそもなぜ万引きをしないといけないような状況なのか、登場人物の事情を考えます。
ふつうでは、経験し得ないことや考えてもみなかったことに対して、シナリオが想像するきっかけとなるのです。
プロになることが全てではない
プロになろうと思っていても、そうでなくても、シナリオの書き方を学ぶことで、シナリオの表現技術だけではなく、人間への想像力を養えます。
というか、プロになろうがなんだろうが、楽しみながらこっち養ってほしい!いや、というか、プロになるためにこそ、必要なのが人間を見つめる作家の眼に他なりません。
もちろん、結果の一要素として、プロフェッショナルがあります。ですが、プロではないからと言って、その経験がムダに終わるなんてことはありません。
サッカーをやっている子どもたちが、みんなプロ選手になるわけではありません。でも、その経験から、『チームワーク』を学びます。
バンドをやっているからといって、デビューするわけではありません。でも、その経験から、『一体感』を学ぶことができます。
絵を描くのが好きな子が、画家になったり、イラストレーターになったりするわけではありません。でも、その経験から、『対象への観察力』を養えます。
むしろ文化を牽引するのは、一部のプロフェッショナルではなく、それを支える多くのアマチュアです。鴻上尚史さんの『演劇入門 生きることは演じること』の終わりに、に詳しいです。
頂点を引き上げる仕事と裾野を広げる仕事は、全く同じ重要性があります。
プロが一流でアマチュアが二流ではないし、プロには存在意義があって、アマチュアは自己満足でもないのです。
『演劇入門 生きることは演じること』
どんな理由であろうと、シナリオを書くことは楽しいし、今まで考えて見なかっったこと、想像もしたことがないタイプの人のことを考えるきっかけになります。
シナリオをスイッチに、あなたの世界を広げてもらいたいのです。
▼夏休みにシナリオなんてどうでしょう
▼活動をアシストしてくれる人も大募集中です!
いいなと思ったら応援しよう!
![あらいかずき/シナリオ・センター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54087363/profile_90a88b056dc56b481b85c4bf730408f5.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)