刑事コロンボの『結』が秀逸すぎ。観客を虜にする、いさぎよさ
皆さんご存知の『刑事コロンボ』シリーズ。毎回終わり方がめちゃめちゃ、秀逸です。おしゃれ。というか、無駄がない。まさに『結』の見本市。
映画やドラマのシナリオはもちろん、小説やマンガ、ブログにも使えるかもしれません。毎週水曜日に、BSプレミアムで放送中なので、是非チェックしてみてください。
そもそも起承転結の『結』の機能とは……
ズバリ、テーマの『定着』と『余韻』です。
「ラストシーンは、機能としては、ドラマの余韻と定着です。無言のテーマの訴えがあったのち、そのテーマをちゃんと定着される芝居をおかなければなりません」(新井一『シナリオの基礎技術』p77)
ドラマ自体は、「結」では終わっているのです。
『刑事コロンボ』でいえば、コロンボ刑事が犯行をあばくところで、ドラマは終わりなわけです。なので、あばいてその後は不要なわけです。たとえば、犯人が言い訳するシーンや後悔するシーンなんて、必要ないわけです。だって、主人公はコロンボ刑事なんだから。
犯人をあばいたら、終わるいさぎよさ
『刑事コロンボ』では、犯人を暴いたら、ドラマは終わります。暴いたコロンボ刑事の表情、暴かれた犯人の表情が打ちだされ、もうエンドロール。トータル5秒くらい。大体そんな感じ。いさぎよい!
たとえば、今日16日に放送された『アリバイのダイヤル』なんかもそう。
アリバイが崩れる(ドラマ終わり)
↓
犯人が動揺して酒を飲む
↓
コロンボ刑事のアップ
↓
エンドロール
放送回によっては、「え?終わり」ってくらいのいさぎよさ。
いさぎいいから、先を想像してしまう
『刑事コロンボ』の犯行は、基本的にすごい社会的な地位を持っている人たち。その人たちが、エゴやらなにやらのせいで、犯行を犯すわけです。
で、決まって、高飛車で傲慢。そして頭がいいからトリックも秀逸。そんな癖の強い自信満々の犯人たちなので、あばかれた後に、どんなことを言うのか、どんな悪あがきをするのか、ちょっと観たい気がするのです。
でも、観れない。だって、『結』いさぎいいから!
その分、想像しちゃうんです。「こんなこと言いそう」「やりそう」と。これって制作側の勝ちですよね。だって、その続きが気になっちゃうんだもの。番組終わっているのに。妄想が止まらない!
そう『結』の機能は、余韻なわけです。で、観客にとっての最上級の余韻って、やっぱりその物語の中に居続けることができることなのではないかと思うんです。
これ『20枚シナリオ』にも、1時間もの、2時間もののコンクールにも共通だと思います。『結』はいさぎよく、ですね!
プレゼンも、『結』を意識すると変わるよ、という話。(いさぎよくない(笑))