スタディツアーレポート@ジャカルタInternational forum「Social Common Capital and the Future」
2023年6月25日、「Social Common Capital and the Future」 と題して、社会的共通資本に関する国際フォーラムがインドネシア大学サレンバキャンパスにて開催された。
社会的共通資本とは、経済成長分野における日本の代表的な経済学者である宇沢弘文(うざさ・ひろふみ、1928〜2014)が提唱した理念であり、現代社会の抱える様々な課題の解決の観点から近年再注目を浴びている。
本フォーラムでは、社会的共通資本に関して、様々な分野で活躍する専門家が登壇して、スピーチやディスカッションを行い、社会的共通資本と未来について考える。また、本フォーラムの開催に伴い、その前には、ジャカルタ近郊にて関連した場所を訪れる視察も実施した。23日には登壇者の1人でもある建築家Yu singさんの設計事務所であるAkanoma Studioに訪れ、24日には登壇者である東京大学教授 岡部明子さんやインドネシア大学教授 Evan Elisaさんの研究のフィールドでもあるジャカルタのチキニ地区におけるスラム街の一つであるカンポンチキニにも訪れた。
また、現地滞在中にもいくつかの関連した視察が決まり、上記以外にも社会的共通資本に関係した視察をいくつか行なった。
ここでは、筆者の個人的な所感を交えながら、それらの視察とフォーラムでの様子の抜粋によるレポートを作成した。
社会的共通通資本とは
ここでは導入として、「社会的共通資本」についての紹介を簡単にさせていただく。
宇沢弘文氏の著書である「社会的共通資本」(2000)によると、「社会的共通資本」とは「一つの国ないしは、特定の地域に住むすべての人々がゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境や社会的装置」と定義されている。著書によると、具体的には、自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本の三つの大きな範疇にわけて考えることができる。自然環境には、大気、海洋、森林、河川、水、土壌などが含まれ、社会的インフラストラクチャーには、道路、交通機関、上下水道、電気・ガスなど、制度資本には、教育、医療、法律、金融、文化などが含まれる。ただし、この分類は、あくまで社会的共通資本の捉え方を分かりやすく示したものであって、網羅的でなく、排他的でもないことに留意しておく。
そして、この「社会的共通資本」の概念は、現代社会においてSDGs、サスティナビリティといったキーワードが注目されるのに伴い、再び注目を集めている。持続可能な社会を目指していく中で、この「社会的共通資本」の果たす役割は大きな可能性を秘めていると考えられているからである。
今回のフォーラムと視察の概要
先述の通り、私たちの主な行程は以下のようであった。
フォーラム当日における各CEOとのやり取りを通じて、インドネシアにて再生可能エネルギーの普及に取り組むPT. Awina Sinergi International(以下、Awina)とMSMEsと呼ばれるインドネシアの小規模製造拠点を活用したBtoB、BtoG物販に取り組むLokasokaへの訪問がきまった。それに伴い、参加可能なメンバーにより、26日にAwina、30日にLokasokaを視察した。
その他にも、6/27~7/1にかけては、イード・アル=アドハーと呼ばれるイスラム教の祝祭期間であった。それに伴い、カンポンチキニで行われた祝祭の様子も29日に見学させていただいた。
ここでは、それらは追加日程として示させていただいた。
※続き(全文)、詳細は以下ファイルをご覧ください。